医薬品の承認審査のプロセス、そして迅速化について

Nick 2017/01/26 製薬

承認審査のプロセス、迅速化についての記事です。
現役のCRAの協力の下、書いた内容です。

承認審査のプロセス

欧米なので新薬が承認されるものの国内では承認されていない未承認薬と適応外薬を解消するため、厚生労働省は国内外の製薬企業に国内での開発を要請する仕組みを2010年から始めました。第1弾は学会などから開発を求める374件の要望が上がり、このうち165件を開発要請、20件の公募を行いました。2012年からの第2弾は要望290件に対し、2014年1月16日時点で開発要請83件、公募17件を行っています。

未承認薬解消の仕組みはまず厚労省が、学会や患者団体から開発してほしい医薬品の要望を受けつけます。米国、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア(第1弾はカナダ、オーストラリアを除く)のいずれかの国で承認を受けた品目で、国内で未承認または適用のない品目が対象となります。寄せられた要望を厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が医療上の必要性が高いかどうかを判断します。

必要性が高いと判断された医薬品のうち、その品目を持つ製薬企業が国内に本社または支店を持つ場合は当該企業に開発要請を行います。国内に当該企業が無い場合は、公募で開発企業を探す仕組みです。開発要請品目のうち、科学的根拠が十分にあると検討会議などが判断した適応外薬は治験を省略、または一部実施することで承認が下りる「公知申請」の品目となります。未承認薬と公知申請にならなかった適応外薬、公募品目は製薬企業が新たに治験を行います。

 

日本版NIH構想・創薬支援ネットワーク機能強化、迅速化につなげる動き

今まで各省で、ばらばらに配分してきた医療分野の研究開発費を一元化して研究機関に配分する「日本版NIH」構想が始まります。新たな独立行政法人に「日本医療研究開発機構」を2015年4月1日に設立し、司令塔役の新独法が年額約1,200億円の研究費の個別研究テーマを選定し、研究の進捗管理、事後評価なども担います。研究を基礎段階から一気通関で管理し、革新的な新薬の実用化につなげるのがねらいです。

デフレからの早期脱却と経済再生を実現するための安倍政権はアベノミクスの「第三の矢」として成長戦略を打ち出しました。戦略の目玉事業として日本版NIHを創設し、革新的な医薬品が次々と創出され、経済成長に貢献することを期待しています。

日本は基礎研究の論文数は世界第3位ですが、臨床研究となると25位と激減します。基礎から臨床応用の橋渡しを担うベンチャー企業が育たず基礎の臨床の間に「死の谷」があるといわれてきました。また各省が縦割りで研究開発費を配分してきたため、同じ目的の予算が重複し、各省で研究開発の向かう方向が異なり、非効率だとの指摘も受けてきました。このため日本版NIH構想では、政府が研究開発予算を配分する上で、指針となる臨床研究の中長期的な目標などを示した「医療分野の研究開発に関する総合戦略」を立てます。

この総合戦略のもと、菅官房長官直轄の「健康・医療戦略推進本部」が医療分野の研究開発費の配分調整を行います。その調整に従い各省庁が予算要求を財務省に行い、確保された予算を元に新設する新独法が個別研究テーマの選定や、研究の進捗管理、事後評価を行います。研究を基礎段階から一気通貫で管理することで死の谷を克服するねらいもあります。

新独法ではさらに研究費の不正使用や研究の不正行為が無いかどうかの監視機能、臨床研究中核病院などの体制整備、アカデミアが持つシーズの情報提供など創薬支援ネットワークの業務も担います。新独法の職員は、厚生労働省や経済産業省、科学技術振興機構(JST)、医薬基盤研究所など6組織から102人を移籍させています。

 

2020年頃までに年間40件のファースト・イン・ヒューマン試験を目標

政府の総合戦略では、2020年頃までに日本発の認知症、うつ病の根本治療薬候補について治験を開始することを目標に掲げました。 iPS細胞技術を活用して作製した新規治療薬の臨床応用を目指します。

創薬支援ネットワークなどを活用し、アカデミアシーズの企業への導出を2015年度までに1件、2020年頃までに5件それぞれ達成することを掲げ、2020~30年頃までの目標には、抗がん剤などの医薬品副作用の予測診断の確率を上げました。また文科省と厚労省が一体となり、治験環境の整備を図ることで、2015年前にファースト・イン・ヒューマン試験(企業治験含む)を年間25件、2020年頃までに年間40件を目指すとしていました。創薬支援では、2015年度までに有望シーズの創薬支援を累計40件、企業への導出1件を目指し、2020年頃までには2015年度の目標の5倍となる200件、5件をそれぞれ目指す目標を盛り込んでいます。