革新的な医薬品創出に向けた動き(AMEDの発足など)

Nick 2017/03/23 製薬

2014年、「独立行政法人日本医療研究開発機構(AMED)法」と「健康・医療戦略推進法」が成立しました。前者がAMEDを法的に位置づけるための法律で、後者がAMEDを中心とした新しい医療分野の研究開発体制の整備のための法律です。

AMEDとは

AMEDは15年4月に正式に創設され、各省庁が配分してきた研究費を集約・管理した上で、有望なシーズを持つ事業を採択し、国主導による医薬品開発を推進します。初代理事長に慶應義塾大学医学部の末松誠部長が就任しました。これまでの研究支援体制では、文部科学省、厚生労働省、経済産業省がばらばらに研究開発を支援しており、基礎から実用化までを切れ目なく支援する体制や、臨床研究・治験の実施に当たり、臨床データの収集や治験を進めるための体制が不十分であることなどが課題として指摘されていました。

そこで、予算を一元的に管理する米国の国立衛生研究所(NIH)の体制にならった、医療分野の研究開発を総合的に推進する司令塔機能が必要になりました。こうして「日本版NIH」とも称された、AMEDの誕生につながりました。AMEDは研究開発と環境整備・助成のための中核機関として機能します。AMEDにより基礎段階から実用化まで、研究開発の進捗に応じた最適な研究費の確保を期待できるほか、厚労・文科・経産での研究開発関連の重複投資が避けられ、効率化も図られます。さらに研究者にとっては、情報提供や申請の窓口・手続きがAMEDに一本化されることで、研究以外の事務負担が減ることも期待できます。

 

予算約1,400億円で創薬など9プロジェクト

重点的に取り組むべきプロジェクトは、

・オールジャパンでの医薬品創出
・オールジャパンでの医療機器開発
・革新的医療技術創出拠点プロジェクト
・再生医療の実現化ハイウェイ構想
・疾病克服に向けたゲノム医療実現化プロジェクト
・ジャパンキャンサーリサーチプロジェクト
・脳とこころの健康大国実現プロジェクト
・新興、再興感染症制御プロジェクト
・難病克服プロジェクト

の9つで、合計約1,400億円の予算で研究開発を促進させます。また、各研究課題について、プログラム・ディレクター(PD)やプログラム・オフィサー(PO)が進捗状況を把握し、適宜指導や助言を行います。

AMEDは「創薬支援戦略部」や「臨床研究・治験基盤事業部」、「バイオバンク事業部」、「国際事業部」などの6部局で構成する事業部門が中心となって研究開発の推進を行います。このほか研究不正を防止する「研究公正・法務部」や「知的財産部」から成る支援部門に加え、経理など一般的な管理部門で構成します。人員規模は有期雇用の職員を含め、約300人での開始となりました。そのうちの約100人は厚労省や医薬基盤研などから正規職員として移籍しました。

 

2015年度までに新規抗がん剤シーズを10種取得

各プロジェクトでは具体的な達成目標を設定しています。2015年度までに、創薬関連では有望シーズへの創薬支援を40件、企業へのアカデミアシーズの導出を1件行うことを目剤しました。治験関連では、ファースト・イン・ヒューマン(FIH)試験(企業治験含む)を年間26件行うことや、医師主導治験を年間21件行うことを同年度までの目標としました。がん治療関連では新規抗がん剤の有望シーズを10種取得することや、早期診断バイオマーカーおよび免疫治療予測マーカーを5種取得することを目標としました。

また、2020年頃までに、企業への導出を5件、FIH試験や医師主導治験を年間40件とする目標を掲げました。がん治療関連では、小児がん、難治性がん、希少がんなどに関して、未承認薬・適応外薬を含む治療薬の実用化に向けた6種類以上の治験の導出や、小児がん、希少がんなどの治療薬に関して1種類以上の薬事承認・効能追加を獲得することを目標に盛り込んでいます。