オーソライズドジェネリック(AG)やバイオシミラー(BS)の動向

Nick 2017/05/10 製薬

2020年度末までに到来する後発医薬品が80%を占める時代に向けて、キーワードの1つになるのがオーソライズド・ジェネリック(AG)です。新薬の製剤特許を引継いで製造されるので、ジェネリックですが先発品と同じものです。そのため医療機関で採用されやすく、業績を左右する存在になっています。また2016年はバイオシミラー(BS)の開発推進や普及に向けた動きが活発化しました。大型薬品のBSの本格参入が近づいているため、開発や使用をめぐる課題の解決を目指した取り組みを行うBS協議会や、厚生労働省の研究斑が相次いで発足しました。

 

他社に先行してAG投入、市場への浸透を図る

2016年9月に発売されたAGが、気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬モンテルカスト(先発品「シングレア/キプレス」)です。先発医薬品の売上高が薬価ベースで1,000億円規模の大型品となります。モンテルカストはライバル社の後発品より3ヶ月早いタイミングで発売し、これはARBカンデサルタン(同「ブロプレス」)と同じパターンです。他社に先んじて市場を制する一方で、先発品の売上減を最小限にとどめる作戦なのです。

発売したキョーリン製薬ホールディングスの穂川稔社長は2016年11月の記者会見で、モンテルカストAGの9月発売で先発品キプレスの売上高が3割減となったことをふれて、「10月の推移を見ても想定を上回るスピードでAGが浸透している感じを受ける」と述べて、AGに対する市場ニーズが高いとの認識を示しました。

 

新薬系でAG取り込みの動きも

サンドはARB「ディオバン」と利尿剤ヒドロクロロチアジドの配合剤である「コディオ」のAG「バルヒディオ」を2016年6月に発売しました。コディオのAGは有効成分、添加物、製造方法、錠剤の製造場所が先発医薬品と全く同じです。同社がノバルティスと組んで発売するAGはこれで4製品目となります。

また、あすか製薬は、2016年9月にARB配合剤「カデチア」(同「エカード」)を発売しました。武田薬品と組むAGはこれで3製品目となります。
アスペンジャパンはグラクソ・スミスクライン(GSK)の片頭痛治療剤「イミグラン」のAGを2017年1月に発売しました。AGの発売はGSKの抗ウイルス剤「バルトレックス」、抗うつ剤「パキシル」に続き3剤目となります。いずれも既に後発品が参入済みの市場へのAG投入の為、今後の売上が注目されます。ちなみに、イミグランに後発品が参入したのは2012年12月のことでした。

新薬系企業も積極的にAGと取り込もうとする動きが2016年に目立ってきました。第一三共エスファや武田テバファーマなどは、後発品関連会社を持たない製薬企業の特許切れ製品をAGとして引き受けることに積極的な姿勢を示しています。大日本住友が2016年12月に営業開始した100%子会社の「DSファーマプロモ」もそうした例です。

2017年にはARBテルミサルタン(同「ミカルディス」)や高コレステロール血症治療薬ロスバスタチン(同「クレストール」)、抗精神病薬アリピプラゾール(同「エビリファイ」)の後発品の参入が予定されており、先発企業がどのような策を講じるか注目されます。

 

BSは大型品の特許切れ本格化へ、抗リウマチ薬や抗がん薬など

国内では現在5製品がBS市場に参入しています。そのなかで大型品と呼べるのは抗リウマチ薬「レミケード」くらいですが、開発中のBSのターゲットには大型品が数多くあります。抗リウマチ薬ではレミケードに続き「エンブレル」や「ヒュミラ」のBSを開発中です。抗がん薬では「アバスチン」を筆頭に「ハーセプチン」、「リツキサン」などのBSの開発が進んでいます。腎性貧血治療薬「ネスプ」、骨粗鬆症治療薬「フォルテオ」のBSの開発も行われています。すでに申請が行われたものもあり、数年以内にこれらが臨床現場に続々と登場するでしょう。