大手調剤薬局チェーンの規模拡大競争

Nick 2017/10/23 製薬

ここがポイント

医療機関の分業率が7割を超え、新規出店も飽和気味になっている調剤薬局市場。規模拡大を競う大手調剤チェーンの主戦場はM&A(合併・買収)に移り、アインホールディングス(HD)は大手調剤チェーンで初めて1,000店舗を突破しました。

一方、調剤報酬改定や薬価改定などの影響で、いずれも利益の確保に苦しんでいます。特に大手医薬品卸系の調剤薬局事業は岐路に立たされています。

 

大手調剤チェーンは、出店の軸足を飽和気味の新規出店からM&A(合併・買収)に移し、規模拡大に突き進んでいます。中小薬局の薬剤師不足と後継者不足などを背景に、ここ数年で加速している動きですが、2016年は100店規模の中堅調剤チェーンの買収が相次ぎました。

 

業界6位の総合メディカル株式会社(以下 総合メディカル)と首位のアインホールディングスは2016年11月、それぞれ「みよの台薬局グループ」(東京都)と「葵調剤」(仙台市)を傘下に収めると発表し、いよいよ調剤市場も寡占時代に入りつつあることを予感させました。

買収を重ねて業界トップの座を奪取したアインでも、100店舗超を一気に取り込むのは初めてで、これにより店舗数は業界で初めて1,000店舗を突破。総合メディカルも673店舗まで拡大しました。

日本調剤株式会社(以下 日本調剤)も国内最初の調剤薬局として知られる水野薬局を経営する水野(2店舗)を傘下に収め、業界の話題をさらいました。

 

ただ、店舗数が多いからといって売り上げ規模も大きいとは限りません。業界2位の日本調剤の店舗数は545店舗(2016上期末)で、売上高では半期で300億円~400億円程度の差をつけるクオール、総合メディカルの店舗数を下回ります。日本調剤の1店舗当たりの売上高が大きいことがうかがえます。

 

基準調剤加算の見直しなどで軒並み減益に

大手調剤チェーン各社の2016年上期の業績をみると、規模拡大によって売上高は拡大していますが、大型門前薬局チェーンに厳しい調剤報酬改定や薬価改定の影響で、軒並み営業減益に陥りました。もっとも、改定年に業績が悪化するのは2016年に限ったことではありません。

今回、大手チェーンの痛手となっているのが、調剤基本料と基準調剤加算、そして後発医薬品調剤体制加算の算定要件の見直しです。

 

調剤基本料には、処方箋受付回数が月4万回超の薬局グループで、処方箋集中率95%超の薬局に狙いを絞った3(20点)が新設され、ここに入ると通常点数の1(41点)の店舗でも1を算定できる適用除外要件が設けられているものの、これをクリアするのは容易でなく、各チェーンで数店舗にとどまるとみられます。

 

従来の1(12点)と2(36点)が統合された基準調剤加算(32点)も、かかりつけ薬剤師指導料の施設基準の届け出や、調剤基本料1の算定といった新たな要件がネックとなり、大手チェーンでは2~4割程度の算定にとどまっています。ハードルが10ポイントずつ上がり、65%以上(18点)、75%以上(22点)となった後発医薬品調剤体制加算の算定もはかどっていません。

 

経費削減が課題に

規模拡大に伴って調剤チェーンには、子会社に対するマネジメントの質がより問われてきています。2016年上期の営業減益幅が大きかった株式会社メディカルシステムネットワークは店舗経費や本部人員の削減に着手。業界4、5位にのしあがった株式会社スズケン、東邦ホールディングス株式会社の調剤薬局事業も営業利益率はワーストに近く、経費削減などが課題になっています。

 

(参考)

2015年度末現在の薬局数は58,326カ所で、対前年を約1%上回り過去最高となりました。人口10万対薬局数の全国平均は45.9施設となっています。