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スマートフォンで経営層人材の採用に向けてダイレクトソーシングを行うビジネスパーソン

日本で経営層採用にダイレクトソーシングが機能しにくい理由とは?エグゼクティブ採用の戦略を解説

もしあなたがグローバル企業のHRチームに所属しているとして、ミーティングで日本市場でのエグゼクティブサーチの費用について話が出ると、

「まずはLinkedInに求人を掲載して、応募を待つのはどうですか?ニューヨークではそれでうまくいっています」という声が上がるでしょう。

これは非常に的確で、多くの国ではダイレクトソーシングは最も効率的かつ効果の高い採用手法のひとつとして機能しています。

しかし、日本は同じ前提が通用する市場ではなく、特にリーダー層の採用においてはそれが顕著です。

LinkedInへの求人掲載だけに頼ると応募が限られ、「数か月経っても理想的な候補者が現れない」ということはよくあります。仮に応募があっても、「勤務地が一致しない」「求める経験やスキルとマッチしない候補者しかいない」という話もよく耳にします。

そこで本記事では、日本市場においてダイレクトソーシングが機能しにくい理由と、リーダー層の採用を成功させるために取るべき効果的なアプローチについて詳しく解説します。

​ダイレクトソーシングは米国で機能しても、なぜ日本では機能しにくいのか

ダイレクトソーシングは、主に次のような前提のうえに成り立っています。

  1. LinkedInのようなプラットフォームには、適切な候補者が存在している

  2. 登録する候補者は、自身のプロフィールを定期的に更新している

  3. 求人投稿は実際に候補者のもとに届き、一定の反応が得られる

  4. 求人に応募することは一般的で、リスクの低い行動と認識されている

米国では、これらの前提は概ね成立します。しかし、日本の経営層・シニア人材の行動特性に当てはめると、同じ前提がそのまま通用するとは限りません。

例えば、日本におけるLinkedInの普及率は6%程度とされており、米国の約60%と比べて大きな差があります。また、登録していてもアクティブではないアカウントが一定数含まれており、シニア層へのダイレクトアプローチに対する返信率は一桁台前半にとどまるケースが一般的です。

さらに重要なのは、日本ではシニア層の多くは、自ら積極的に転職の意向を外部に示さない点です。文化的背景として、LinkedInでプロフィールを新たに作成したり、更新したりする行為自体が、「転職を検討している」と受け取られる可能性があり、現職での将来のキャリアに影響を及ぼす恐れがあると考えられるのです。

その結果、LinkedInのみを採用チャネルとして依存した場合、期待値と実際の採用成果との間に大きなギャップが生じやすくなります。

米国約60% 日本約6%のLinkedIn普及率比較と日本の低失業率・潜在層中心の市場構造が経営層採用に与える影響

​出典:LinkedIn公式統計(2024年)、総務省統計局「労働力調査」(2023年)より作図

日本の経営層は「潜在層(パッシブ人材)」が中心という現実

日本における経営層レベルの人材は、多くが現職で活躍しており積極的に転職活動を行っているケースは稀です。

日本の失業率はOECD諸国のなかでも低い水準にあり、有効求人倍率も特にシニア層や専門性の高いポジションでは、一貫して1.0を上回る状況が続いています。

このような市場環境では、企業が求めるエグゼクティブ人材の多くは求人サイトを日常的に閲覧したり、プロフィールを頻繁に更新したりしているとは限りません。むしろ現職において安定的に活躍しており、転職の意向があることを示すことに慎重な姿勢を取る傾向があります。

こうした経営人材にアプローチするためには、守秘性に十分に配慮しながら信頼関係を構築し、そして候補者にとって意味のある提案を行うことが不可欠です。

転職活動を公にすることへの文化的なハードル

日本では、転職の意向があることを公に示す行動自体が、一定のリスクを伴うものとして受け取られる傾向があります。

シニア人材の場合、現在でも長期雇用や組織への忠誠といった従来の価値観を重視する傾向が一定程度あり、それがキャリア上の意思決定にも影響を及ぼしています。そのため、単に情報収集を目的とした相談であっても、候補者が慎重になるケースは少なくありません。

例えば、自社以外の企業との接触が直接的または間接的に現職企業に伝わる可能性を懸念する声はよくあります。特に経営層に近いポジションであるほど、そのような動きは社内における評価や現職へのコミットメントに関して疑念を招くだけでなく、場合によっては組織の安定性に対する見方にも影響を与える可能性があるからです。

このような状況下では、突然届くLinkedIn上のメッセージや求人を公開するだけでは、シニア層との有意義なコミュニケーションに必要な信頼関係や守秘性を十分に担保することは難しいのが実情です。

また多くの場合、候補者は連絡してきたリクルーターが誰なのか、本当に信頼できる存在なのか、どの企業案件について話しているのか、そしてなぜ自分が対象として選ばれたのか、といった点について十分な情報を持っていません。

そのため、候補者に対してアプローチの背景や意図を丁寧に説明し、信頼関係を構築することが、有意義な対話を開始するための重要な前提条件となります。

こうした理由から、日本における経営人材の採用では、関係性を基盤とした非公開かつ信頼性の高いチャネルを通じたアプローチが重要になるのです。

経営層へのダイレクトアプローチにおける返信率の現実

欧米では、LinkedIn上でのダイレクトアプローチでも、一般的に15%〜25%程度の返信率が見込まれます。

一方日本では、ディレクターレベル以上のシニア層からの返信率は一桁台前半にとどまることが多く、場合によってはほとんど反応が得られないケースもあります。

これは単に採用スピードの問題にとどまらず、候補者の質にも影響を及ぼします。 公開型のダイレクトアプローチに反応した候補者のみを前提に採用活動を進めてしまうと、本来企業が採用すべき最も安定して高い成果を上げている人材ほどこうしたチャネルを利用しない傾向があるため、接点を持てないまま選考が進んでしまうリスクがあるのです。

さらに、企業のリクルーターや採用担当者が、候補者のこれまでの経験やバックグラウンドだけでなく、将来的なキャリア志向まで十分に把握できていないケースも少なくありません。その結果、候補者のプロファイルや意向と十分に整合しないアプローチを行ってしまうことで、初期接点の段階でネガティブな印象を与えてしまい、その後の関係構築が難しくなることがあります。

LinkedInのInMail返信率の比較図:欧米市場ではリーダーシップ採用で15〜25%、日本ではシニア層採用において一桁台前半からほぼゼロ

​出典:SalesSo「LinkedIn採用統計まとめ」(2025年、プラットフォームベンチマークおよびアウトバウンド採用データ)より作図

Apexの事例:なぜ日本の経営層採用には戦略的なサーチプロセスが必要なのか

以下の事例は理論上の話ではなく、Apexが実際に担当したMedical Affairs部門のヘッドポジションに対するサーチアプローチの実データとなります。ぜひ、ご覧ください。

  • まず、日本の医師免許を保有する115名を候補者として特定

  • そのうち95名にアプローチ

  • 66名から返信獲得

  • 13名がポジションへの関心を示す

  • 10名が一次面接に進む

  • 最終的に7名が、グローバル本社を含めた最終面接に進む

このように、非常に限定的なターゲットに絞ったサーチであっても、要件にマッチし、かつポジションに関心を持つ候補者の母集団は極めて少ないことが分かります。

このケースの場合、グローバル企業に所属する日本の医師免許保有者は250名程度と推測されていました。さらにここから、

  • 高いレベルの英語力を保有している

  • 事業会社でのキャリアに関心がある

  • 新設組織への不確実性を許容できる

といった条件が加わることで、実際に検討が可能な候補者がさらに絞られました。

この事例が示すとおり、日本における経営層採用で重要なポイントとなるのは、母集団の「量」に依存するプロセスではなく、「戦略的なターゲティングに基づくサーチプロセス」にあることが分かります。

Apexコンサルタントの洞察:日本のハイクラス人材の採用が信頼関係を基盤に成立する理由

「日本の転職市場においては、最も高い成果を上げている優秀な人材ほど、LinkedInのようなプラットフォーム上で積極的に転職活動をしているケースは多くありません。こうした人材の多くはすでに現職で要職に就いており、転職する場合でも信頼できる人物からの紹介や、精度の高いヘッドハンティングを通じて初めて検討する傾向があります。

このような人材へのアプローチを成功させるためには、慎重かつ適切なコミュニケーションが不可欠です。一般的なテンプレートを用いたスカウト文面では、初期段階で信頼関係を損なってしまう可能性すらあります。

そのため私たちは、精緻なマーケットマッピングと長期的な信頼関係の構築を通じて、それぞれの候補者の専門性やキャリア志向に合致した案件のみを提案するようにしています。このような関係性を基盤としたアプローチを取らないと、本来出会うべき最適な候補者と接点を持つことができないためです。

つまり、日本の採用市場は信頼関係を前提として成立する市場構造だといえます。市場全体を適切にカバーし、企業が求める時間軸のなかで重要なポジションを充足するためには、十分なリソースと継続的な取り組みが必要です。こうしたリソースを持たない以上、企業が最上位のハイクラス人材にリーチすることは極めて難しくなります。」 —アンドリュー・アライタ(製薬チーム シニアコンサルタント)

エイペックスコンサルタントの写真

洞察提供者
アンドリュー・アライタ
エイペックス株式会社 シニアコンサルタント
製薬業界の臨床開発、クリニカルオペレーション、安全性(PV)、薬事、プロジェクトマネジメント、マーケティング、事業企画などのポジションを専門とするリクルーター

製薬業界内の多岐にわたる職種において、大手グローバルヘルスケア企業からスタートアップまで、多くのクライアント企業の採用活動をサポート。顧客との長期的なパートナーシップの構築と、各企業の採用ニーズに合わせたきめ細かなサポートに定評がある。

LinkedInのプロフィールはこちら →

日本において経営層採用の遅れがもたらす企業へのリスク

日本市場では、経営層の採用が遅れることによる機会損失は、エグゼクティブサーチの費用を上回るケースも少なくありません。 シニアリーダー層の採用には通常120日から180日程度を要し、さらに着任後に本来の成果を発揮するまでに、6か月から12か月程度の期間が必要であると見込まれています。

例えば、月間1億円規模の事業を担うポジションが6か月間空席となった場合、最大で約6億円相当の価値創出の遅れが生じる可能性があります。

また、採用遅延の影響は金銭面にとどまりません。特に信頼関係を基盤としてビジネスが進む日本市場においては、

  • 意思決定の遅延

  • クライアントとの関係性への影響

  • 組織内チームの安定性への影響

といった経営上の重要な領域にも波及する可能性があります。

グローバル本社の意思決定者が理解すべきポイント

もし日本法人のチームがエグゼクティブサーチの予算確保を求めている場合、それは単にコストの高い手法を好んで選択しているわけではありません。

むしろ日本市場においては、低コストとされるその他の採用手法が構造的に機能しにくいためです。

ダイレクトソーシングがうまくいかない理由は、実行力の問題ではありません。前提としている採用市場の構造そのものが、日本では当てはまらないことにあります。

日本におけるエグゼクティブサーチの実際の進め方については、日本におけるエグゼクティブサーチ:Cレベル人材の採用に向けての記事もあわせてご覧ください。

Apexの強み:ゼロからのサーチではなく、継続的な市場アクセスに基づくアプローチ

多くの採用手法の場合、サーチ開始後にマーケットマッピングを構築するのに対し、Apexでは日本のリーダーシップ人材の市場を継続的に更新しており、市場理解がある状態からサーチを開始できる点が特徴です。

特にApexのコンサルタントが重視するのが、シニア人材との長期的な関係構築です。継続的に時間と労力をかけ、候補者の経験だけでなくキャリア志向や長期的な方向性まで常日頃から理解を深め続けています。

そのため、サーチ開始時点でゼロから候補者のサーチを行う必要がないのが、Apexの大きな強みのひとつです。すでに市場理解がある状態からスタートできるため、マッチ度の高い候補者を迅速に特定し、各候補者のニーズに合わせたアプローチでマッチングを進めていくことが可能です。

また、候補者へのアプローチは単なるポジションの紹介にとどまりません。各候補者の志向やキャリアの方向性に沿った形で、案件を目標につながる機会として提示しています。

このような迅速な市場アクセスと候補者それぞれに最適化されたアプローチは、ダイレクトソーシングや単発的なスカウトでは再現が難しいのが現実です。つまり、候補者とのエンゲージメントは接触数ではなく、「関連性」と「信頼関係」によって生まれるとApexでは考えています。

日本における経営層採用はApexにご相談ください

Apexは、日本市場におけるリーダーシップ採用を支援するための知見・ネットワーク・実績を備えるエグゼクティブサーチファームです。

これまで12年以上にわたり、製薬、法務・コンプライアンス、IT、ファイナンスなど幅広い業界において、シニアリーダー層の採用を支援してきました。市場構造だけでなく、そのなかで意思決定を行う人材への深い理解を強みとしています。

また、機密性の高いCレベルポジションの後任採用から、専門性の高いニッチなリーダーシップポジションまで、それぞれのサーチの難易度や緊急度に応じて最適なアプローチを設計しています。

日本における経営層採用についてご検討中の方は、ぜひApexまでご相談ください。貴社の事業成長を支えるリーダーシップ採用を、チーム一丸となってサポートいたします。

​Apexコンサルタントとの採用戦略ミーティング

  • 募集ポジションの概要や案件をお伝えください。

  • 経験、能力、人間性や資質など、最適と思われる候補者の要件をお伝えください。

  • 採用スケジュールや懸念事項があれば、事前にご相談ください。

  • ご相談内容はすべて守秘義務のもと厳重に管理いたします。

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