監修者:小島 明(エイペックス 人事マネージャー)
退職を伝えるタイミング 5つのポイント
円満退職を目指すなら、退職希望日の1~3カ月前が目安です。法律上は、無期雇用の場合、原則として2週間前の申し出で退職できます
まずは就業規則・雇用契約書を確認し、退職の申し出期限やNotice Periodなどの定めに従うようにしましょう
退職の第一報は直属の上司へ。同僚や取引先への共有は、上司と相談してから進めます
転職先が決まっている場合は、正式なオファーレターを受領し、条件を確認・サインしてから現職に退職の意思を伝えましょう
外資系企業への転職では、Notice Periodに加え、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックなど、採用プロセスの状況にも特に注意が必要です
本記事では、退職を伝えるベストなタイミングの考え方から、直属の上司への切り出し方、引き止めへの対応、役職別の注意点まで詳しく解説します。外資系企業で転職する場合に確認したいオファーレターや、転職先が決まっている場合の注意点についても紹介します。
結論|退職を伝えるベストタイミングは1~3カ月前
退職を伝えるベストタイミングは、退職希望日の1~3カ月前です。
法律上は、無期雇用の場合、民法627条により原則として2週間前までの申し出で退職できますが、「法律上退職できる時期」と、「円満退職のために伝えるべき時期」は別に考える必要があります。
また、会社の就業規則や雇用契約書に定められている申し出期限についても、確認する必要があります。そのうえで、引き継ぎや有給休暇の消化まで考慮すると、1~3カ月前が実務上のひとつの目安です。
退職を伝えるタイミングは退職希望日から逆算する
退職を伝える具体的な日は、退職希望日から引き継ぎや有休消化に必要な期間を逆算して決めます。基本的な考え方は以下の通りです。
・退職を伝える日 = 退職日 −(社内調整期間 + 引き継ぎ期間 + 有休消化期間) |

社内調整とは、退職を申し出てから退職日や引き継ぎ方法などを会社と調整する期間のことで、1~2週間かかる場合があります。また、退職までに必要な期間は、役職・業務内容・有休残日数などによって異なるため、有休が多く残っている人や、引き継ぎに時間がかかる人ほど早めに伝える必要があります。
退職の1〜3カ月前に伝えるのがおすすめな理由
退職を伝えるタイミングは、円満退職できるかどうかを基準に考えることが大切です。1〜3カ月前という時期は、就業規則で定められた通知期間を守りつつ、引き継ぎや有休消化の時間を十分に確保しやすい目安です。
一方で、必要以上に早く伝えると、退職までのモチベーションや周囲との関係を維持しにくくなったり、重要な業務から外れることで働きづらさを感じたりする可能性があります。自身や組織の状況が変化する可能性もあるため、早ければ早いほど良いとは限りません。

退職は誰に・いつ伝える?順番とタイミング
退職の意思は、まず直属の上司に直接伝え、退職日を調整したうえで、退職届の提出や同僚・取引先への共有を進めるのが基本です。ここでは、退職を伝える順番とタイミングを4つのポイントに分けて解説します。
ポイント① 退職の第一報は直属の上司が原則
退職の第一報は、原則として直属の上司に伝えます。上司が知らないうちに同僚から伝わると、不要な行き違いやトラブルにつながる可能性があるためです。
ただし、例外として直属の上司がハラスメントの当事者であるなど、直接の相談が難しい場合は人事部門や上位の管理職に相談して問題ありません。
ポイント② 上司が落ち着いて話せる時間を30分程度確保する
退職を伝えるベストな時間帯は、上司が落ち着いて30分程度話せるタイミングです。午前・午後のどちらが良いなどの明確な決まりはありませんが、朝一番や会議の直前、繁忙時間帯は避けましょう。
夕方の終業間際も、その後に上司が人事や上位の管理職へ相談する時間を確保しにくいため、できれば避けるのが無難です。特に金曜の終業間際は、対応が週明けに持ち越される可能性があります。
ポイント③ 退職届は退職日が決まってから提出する
退職の意思を伝えることと、退職届を提出することは別の手続きです。退職届を提出するタイミングは、退職意思を伝えたあと退職日について上司と合意してからが基本です。
会社によって提出時期や様式が定められている場合があるため、就業規則や社内の手続きを確認してから提出しましょう。詳しくは、【退職交渉完全ガイド】円満退職のための正しい手順とポイントを解説!で解説しています。
ポイント④ 同僚・取引先への共有は上司と相談してから
同僚や取引先へ伝える時期は、上司と相談して決めるのが基本です。退職日が確定し、社内への周知について了承を得てから伝えましょう。
特に取引先への連絡は、必ず会社の方針と上司の指示を確認してから行います。後任の紹介とあわせて、最終出社日の1〜2週間前を目安に行うケースも多くあります。
【例文付き】退職の切り出し方|円満退職につながる伝え方
退職を伝える際は、退職の意思を曖昧にせず、今後のキャリアなど前向きな理由を簡潔に伝えることが大切です。ここでは、上司への切り出し方から引き止められた場合の対応まで、具体的な例文とともに紹介します。
ポイント① いきなり退職を伝えず、まず上司と話す時間を確保する
ポイント② 退職の意思と希望時期を明確に伝える
ポイント③ 退職理由は前向きかつ簡潔に伝える
ポイント④ 引き止められても曖昧な回答をしない
① 退職面談をお願いするときの切り出し方【例文】
いきなり退職の意思をメールやチャットで伝えるのではなく、まずは二人で話せる時間を確保しましょう。以下の例文のように、相談したいことがある旨を簡潔に伝えれば十分です。
・「お忙しいところ恐れ入ります。ご相談したいことがあり、後日15分ほどお時間をいただけないでしょうか。」 ・「お疲れさまです。ご相談したいことがございます。今週中に15分ほど、お時間をいただける日はございますでしょうか。」 |
用件を先に伝えてしまうと、面談前に話が広がったり、心の準備がないまま電話がかかってきたりすることがあります。詳細は対面の場でと決めておきましょう。
リモートワークの場合も、チャットやメールで退職意思を伝えるのではなく、口頭で個別に話せる時間を確保しましょう。
② 退職意思の伝え方【例文】
退職面談では、上司に今までの感謝を伝えたうえで、退職の意思と希望時期を明確に示します。形式は相談の体裁であっても、退職は決定事項として伝えることがポイントです。迷いがあると受け取られると、説得の対象になりやすいため、面談前に以下の内容を整理しておきましょう。
退職の意思:退職する意思が固まっていること
希望退職時期:いつ頃の退職を希望しているのか
引き継ぎへの姿勢:残りの期間で責任を持って引き継ぐこと
退職理由についても聞かれることが多いため、簡潔に答えられるよう準備しておきましょう。具体的な伝え方は次で解説します。一方で、転職先の社名や、会社・上司への不満を詳しく伝えることは控えましょう。
・「これまで大変お世話になり、ありがとうございました。私事で恐縮ですが、一身上の都合により、○月末をもって退職させていただきたく、ご報告に参りました。引き継ぎは責任を持って対応いたしますので、何卒よろしくお願いいたします。」 |
「相談」ではなく「報告」と伝えることで、退職の意思が固まっていることを明確にできます。
③ 退職理由を聞かれたときの答え方【例文】
退職を伝えると、ほぼ必ず理由を聞かれます。具体的に答えすぎると、その一つひとつが引き止めの材料になる可能性もあります。 万が一事実であっても会社への不満を並べるのではなく、今後のキャリアや働き方など「これから実現したいこと」を軸に、前向きかつ簡潔に伝えましょう。
・「かねてから○○の分野に携わりたいと考えており、その機会をいただけることになりました。社内での異動も考えましたが、時期を含めて今が決断すべきタイミングだと判断いたしました。」 |
また、転職先の社名を聞かれても伝える必要はありません。 特に、同業他社への転職では、伝えたことで取引先への挨拶を制限されたりするケースもあります。
④ 引き止められたときの伝え方【例文】
退職を伝えると、カウンターオファーといって昇給や昇格などを提示され、引き止められることがあります。迷いを見せると話が長引くため、感謝を示しつつ、退職の意思が固いことを明確に伝えましょう。
・「大変ありがたいお話です。ただ、待遇面だけでなく、今後どのような経験を積んでいきたいかを考えたうえでの結論であり、退職の意思は変わりません。最後まで責任を持って引き継ぎをさせていただきます。」 ・「次の入社日が決まっており、退職日を動かすことは難しい状況です。その代わり、引き継ぎ資料は前倒しで用意し、後任の方への説明も残りの期間で完了させます。」 |
エイペックスの転職支援でも、特に専門職やハイクラス人材に対してカウンターオファーが提示されるケースがあります。カウンターオファーを受けた場合は、転職のきっかけとなった本質的な課題がその提示によって解消されるのかを冷静に考えることが大切です。
また、後任探しに時間がかかるという理由で、退職日を延ばすよう求められるケースもあります。入社日が決まっている場合はその事実を伝えたうえで、責任を持って業務の棚卸しやマニュアル作成を行う姿勢を示すと良いでしょう。

小島 明(エイペックス 人事マネージャー)のワンポイントアドバイス:
「退職を伝える際は、「会社に迷惑をかけたくない」という気持ちから、退職時期を必要以上に後ろ倒しにしないことも大切です。転職先の入社日と現職の退職可能日を早めに確認し、引き継ぎ期間を確保したうえで、双方にとって無理のないスケジュールを組みましょう。」
退職を伝えるときに避けたい3つの言い方
退職の意思を伝える際は、言い方によっては退職を迷っていると受け取られたり、引き止めや条件交渉につながったりすることがあります。特に、以下の3つの言い方は避けましょう。
【役職別】退職を伝えるタイミングと注意点
退職の申し入れは「1~3 カ月前」が目安ですが、これはあくまで基準であり、すべての人に共通するとは限りません。役職や担当業務によって必要な準備期間は異なり、特に後任の選定や引き継ぎに時間がかかる管理職・ハイクラス人材ほど、余裕を持って伝えることが重要です。ここでは、役職別の目安を紹介します。
一般社員の場合:1~2カ月前がひとつの目安
担当業務の範囲が明確で、後任への引き継ぎに時間がかからない場合は、1〜2カ月前を目安に伝えるのが理想です。ただし、有休が多く残っている場合や担当業務が多岐にわたる場合は、引き継ぎと有休消化に必要な期間を考慮して、早めに伝えることをおすすめします。
管理職・マネージャー・専門職の場合:2~3カ月前を目安に余裕を持つ
管理職や専門職は、後任の選定やメンバーへの引き継ぎ、専門的な知識・ノウハウの移管などに時間がかかるため、2〜3カ月前を目安に早めに伝えると良いでしょう。
特に管理職の場合、部下の評価や予算策定、組織計画などの業務の区切りも考慮する必要があります。部下への共有時期や範囲についても、上司や人事と相談して決めることが大切です。
部長・役員などの場合:3カ月以上前を検討
部長や役員など、組織への影響が大きいポジションでは後任の選定や権限移管に時間がかかるため、3カ月以上前を目安にできるだけ早めに相談することが重要です。
また、雇用契約書に長めのNotice Period(通知期間)が設定されている場合もあるため、退職を考えた段階で契約内容を確認しておきましょう。
外資系企業へ転職する場合に注意したい退職タイミング
外資系企業への転職で特に重要なのは、正式なオファーレターを受領し、内容を確認・サインするまで現職へ退職を伝えないことです。口頭で内定を伝えられた段階や条件提示の途中では、年収・役職・入社日などの条件が最終確定していない可能性があります。
そのうえで、現職へ退職を伝える前に、以下の3点を確認しましょう。
正式なオファーレターを受領し、内容を確認・サインしたか?
バックグラウンドチェックやリファレンスチェックなど、必要な採用プロセスの状況を確認したか?
現職の雇用契約書に定められたNotice Periodを確認したか?
転職先によっては、オファー後にバックグラウンドチェック(経歴調査)やリファレンスチェックなどが行われる場合があります。これらのプロセスがある場合は、どの段階でオファーや入社が確定するのかを確認したうえで、現職へ退職を伝えるタイミングを判断することが大切です。
また、外資系企業では、現職の雇用契約書にNotice Period(退職通知期間)が定められている場合があります。契約内容を確認して必要な期間を把握するとともに、選考やオファーの段階でNotice Periodと入社可能時期を転職先に伝え、入社日をすり合わせておきましょう。

小島 明(エイペックス 人事マネージャー)のワンポイントアドバイス:
「Notice Periodがあるなかで、残っている有休をできるだけ消化し、十分な引き継ぎ期間も確保しようとすると、すべてを希望通りに調整することが難しい場合があります。そのようなときは、何を優先するのかをあらかじめ整理しておくことが大切です。円満退職と転職先へのスムーズな入社を優先するのであれば、有休をすべて消化することだけにこだわらず、現職と転職先の双方に無理のないスケジュールを検討しましょう。」
退職を伝えるタイミングに関するよくある質問
ここでは、退職を伝えるタイミングについて、よくある疑問にお答えします。
Q. 退職を伝えるのは何日前までですか?
A. 無期雇用の場合、法律上は原則として退職を申し出てから2週間で退職できます。ただし、円満退職を目指す場合は、引き継ぎや有休消化などを考慮し、退職希望日の1~3カ月前を目安に伝えるのがおすすめです。また、就業規則や雇用契約書に退職の申し出時期が定められている場合があるため、必ず事前に確認しましょう。
Q. 退職を伝えるのが早すぎるとどうなりますか?
A. 退職を早く伝えすぎると、退職日までの期間が長くなり、職場で働きづらくなったり、周囲との調整が難しくなったりする場合があります。半年以上前など極端に早い申し出は避け、引き継ぎや有休消化に必要な期間を考慮して、退職希望日の1~3カ月前を目安に伝えると良いでしょう。ただし、管理職や専門職など、後任の選定や引き継ぎに時間がかかる場合は、余裕を持って伝えることも検討しましょう。
Q. 1カ月前に伝えたのに「遅い」と言われました。どうすれば良いですか?
A. まず、就業規則や雇用契約書に定められた申し出期限を確認しましょう。規定に沿って申し出ているのであれば、必要以上に気にする必要はありません。そのうえで、引き継ぎのスケジュールや後任への説明計画を具体的に示すと、上司や会社側の不安を解消しやすくなります。
Q. 退職日を先延ばしにするよう求められたら、応じる必要がありますか?
A. 転職先の入社日などの事情がある場合、会社からの要望に必ずしも応じる必要はありません。ただし、引き継ぎなどの事情を考慮し、可能な範囲で調整する姿勢を示すことが円満退職につながります。入社日が決まっている場合はその旨を伝え、引き継ぎ資料の前倒し作成など、現実的な代替案を提示すると良いでしょう。
Q. 退職を切り出すのにベストな時間帯はありますか?
A. 特定の時間帯が決まっているわけではありません。上司の予定を確認し、業務が比較的落ち着いていて、周囲を気にせず話せる時間を選ぶのがおすすめです。朝一番や会議の直前、終業間際などは避け、事前に「少しご相談したいことがあります」と伝えて30分程度の時間を確保しておきましょう。
Q. 上司に退職の話を聞いてもらえない場合はどうすれば良いですか?
A. まずは、改めて面談の時間を確保してもらえるよう依頼しましょう。それでも話し合いが難しい場合は、人事部門や上位の管理職に相談する方法があります。直属の上司がハラスメントの当事者であるなど、正常な話し合いが難しい場合も、無理に一人で対応する必要はありません。
Q. 賞与(ボーナス)をもらう前に退職を伝えると減額されますか?
A. 賞与の支給条件は会社によって異なるため、退職を伝えたことだけを理由に減額されるとは一概にいえません。賞与の支給日在籍要件や算定期間などが定められている場合があるため、就業規則や賞与規程を確認しておきましょう。賞与を受け取ってから退職することを検討している場合は、支給条件と退職時期をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
転職先が決まったら、退職のタイミングもプロにご相談ください
退職のタイミングは、単に「何カ月前に伝えるか」だけで決められるものではありません。特にハイクラス人材の場合、転職先で期待される役割や入社時期、現職でのポジション・処遇、Notice Periodなどを踏まえ、退職から入社までを戦略的に設計することが重要です。
また、退職を申し出た際にカウンターオファーを受け、現職に残るか転職するかを改めて検討するケースもあります。目先の条件だけで判断せず、中長期的なキャリアの方向性まで含めて、どちらが自身のキャリアにとって最適なのかを見極めることが大切です。
エイペックスでは、ハイクラス・外資系転職に精通した人材コンサルタントが、オファー受諾後の退職日の設計や入社日の調整、カウンターオファーを受けた際の判断まで、転職先への入社に向けたプロセスをサポートしています。
「現職のNotice Periodを考えると、いつ退職を伝えるべきか」「入社日をどこまで調整できるか」「カウンターオファーを受けた場合、どう判断すべきか」といった具体的なご相談も承っています。転職先が決まった後はもちろん、転職を検討している段階から、お気軽にエイペックスの人材コンサルタントにご相談ください。