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オフィスで退職届を上司に提出する従業員

【退職交渉完全ガイド】円満退職のための正しい手順とポイントを解説!

​苦労が実り転職先が決定したあとは、現職の退職交渉を始めなければいけません。しかし、ここで円満に交渉を進められず、希望通りのスケジュールで退職できなかった・・などの失敗談もあります。しっかりと正しい手順を把握してスムーズな退職を目指すために、退職交渉に必要な9つの手順と各手順における具体的なアクション、実際にあった退職交渉の成功事例、よくある質問と回答(Q&A)をご紹介します。

目次

  • 退職交渉に必要な9つの手順とは?

  • 各手順のポイントと具体的なアクション

  • 実際にあった退職交渉の成功事例

  • 退職交渉に関するよくある質問と回答(Q&A)

  • まとめ

退職交渉に必要な9つの手順とは?

新卒であってもベテランの管理職であっても、退職には踏むべき基本のステップがあります。円満退職を目指し、気持ち良く最終勤務日を迎えるまでには以下の9つの手順があります。

  1. 会社の就業規則に目を通し、退職通知期間など基本ルールを確認する

  2. 自身の退職理由を整理し、適切なタイミングで上司に退職面談を申し込む

  3. 退職面談に臨み、退職意思の明確な表明と同時に感謝の意を示す

  4. 退職交渉の際にはカウンターオファーに備える

  5. 上司と相談のうえ退職日や有給休暇取得日を決定し、退職届を作成・提出する

  6. 残務整理を行いながら、後任者への引き継ぎ資料の作成を始める

  7. 上司と相談のうえ、チームメンバーや取引先に退職報告を行う

  8. 必要書類の提出や受け取りに漏れがないか、人事部などと確認する

  9. 退職日に配るお礼の品を用意するなど、退職後も円滑な人間関係を構築できるよう心掛ける

これらの9つのステップを踏まえることで、円満に、かつプロフェッショナルに退職することが可能です。ただし、各手順にはポイントがあり入念な準備が必要となりますので、以下で各ステップで必要となる具体的なアクションを見ていきましょう。

各手順のポイントと具体的なアクション

1. 会社の就業規則に目を通し、退職通知期間など基本ルールを確認する

退職の決意を固めた時点で、会社の就業規則にある退職に関する項目を精査しましょう。自分の権利と義務を理解し、トラブルを防ぐためには以下のポイントの確認が必要です。

  • 退職通知期間:法律では退職日の2週間前(休祝日、退職日、申し出日含む14日前)までに事業主に告知することが定められていますが、企業によっては退職日より1か月~3ヵ月前の申告を就業規則で定めているところがあります。会社の就業規則に法的拘束力はありませんが、事情が許す限り社会人のマナーとして会社が求める退職の申告時期を守りましょう。

  • 競合避止義務:競合企業への転職や競合となる事業の設立については、就業規則で禁止している企業もあります。基本的には労働者の「職業選択の自由」が適用されますが、顧客情報の持ち出しなど営業秘密や経営戦略の漏洩は避けるようにし、将来のキャリアに傷をつけないよう行動しましょう。

2.自身の退職理由を整理し、適切なタイミングで上司に退職面談を申し込む

次に、退職理由を自身で整理してからタイミングを見て直属の上司に面談を申込みましょう。

  • あなたの退職の意向を最初に知るべきなのは「直属の上司」です。決して他の人に先に話をしないようにしましょう。

  • 立ち話や電話などで済まそうとせず、メールなどで面談を申込み正式な場を用意してもらいましょう。上司と直接会えないのであれば、オンライン面談でも構いません。

  • メールでは退職について触れず、あくまで面談で直接退職の意思を伝えましょう。

  • 退職理由については不満や愚痴ではなく、自身のステップアップなどポジティブな理由を説明できるように考えておきましょう。

メールの例

件名:ご相談

〇〇マネージャー

お疲れ様です。

大変お忙しいところ恐縮ですが、私事で折り入ってご相談があり、今週どこかで20分程お時間頂けないでしょうか。

お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

鈴木​

3. 退職面談に臨み、退職意思の明確な表明と同時に感謝の意を示す

退職面談では、退職意思と退職理由の伝え方が重要なポイントとなってきます。切り出し方次第で交渉の印象が変わるため、戦略を練りマナーを守ることが肝要です。以下のポイントをしっかりと頭に入れて面談に臨みましょう。

  • あなたの意思が堅いということを理解してもらうことが大切です。「相談」ではなく「報告」であると自身に言い聞かせ、「来月末で退職いたします」などはっきりと意思表示をしましょう。

  • 突然の申し出になることを謝罪しつつ、上司やチーム、会社に対する尊敬と感謝の気持ちを伝えましょう。

  • 転職理由はあくまでポジティブに。会社への不満は漏らさず、転職が自身のキャリアプランにとって必然の選択であることを強調することで、決定に至った経緯を説明することが重要です。

  • 今後の交渉を有利に進めるため、プロフェッショナルな態度を崩さず自信を持って伝えましょう。

  • 場合によっては書面(退職願)を提出しても構いません。

このように、この段階での丁寧なコミュニケーションが今後の退職日や有給休暇取得の交渉、これからの関係構築の基盤になってきます。しっかりと準備をして臨みましょう。

4. 退職交渉の際にはカウンターオファーに備える

退職交渉の際には、「カウンターオファー」が提示されることがあります。いわゆる引き止め工作で、上司や人事から給与アップや昇格などが提案されることをカウンターオファーと言います。
引き止められた場合の対応としては、毅然とした態度を保つことです。カウンターオファーを承諾することには多くのデメリットが伴うため、おすすめはできません。(カウンターオファーがキャリアに大きな傷をつけてしまう理由は、こちらの記事をご覧ください。)
「後任がいない」と困っている様子を伝えられたり、こちらも辞めることへの罪悪感から承諾してしまう人もいますが、退職の意思が堅いことを伝えることが重要です。後任がいないと言われた場合は、上司に仕事を引き継いでもらうよう交渉しましょう。

カウンターオファー対策など退職交渉について人材コンサルタントに相談する

5. 上司と相談のうえ退職日や有給休暇取得日を決定し、退職届を作成・提出する

退職が決定したら、退職日を決定して退職届を作成・提出します。退職日については、プロジェクトの区切りや業務の引き継ぎを考慮した上で決定することが円満退職への道を開きます。残っている有給休暇も消化できるよう余裕を持った日付を設定するようにしましょう。

また、きちんと書面で残すため退職届を作成しましょう。会社規定の書面がなければ、シンプルなA4かB5の用紙に下記のように記入し、白の封筒に入れて表面に「退職届」、裏面に自分の所属部署とフルネームを記入し、会社の規定に従って提出しましょう。​

一般的な退職届のテンプレート

退職日の目途がついたら、新しい会社と転職エージェントへの連絡も忘れずに。

6. 残務整理を行いながら、後任者への引き継ぎ資料の作成を始める

退職交渉後は、今後の新天地での準備に加え現職でも良好な人間関係を維持することに努めましょう。退職したとしても、今後どこで人間関係がつながるかわかりません。

後任の負担をできるだけ減らせるよう引き継ぎ資料の作成をスタートし、誠意ある態度を見せることが円満退職につながります。後任がまだ決まっていない場合でも、誰でも業務を引き継げるようなマニュアルや必要事項のリストアップをしておきましょう。 

7. 上司と相談のうえ、チームメンバーや取引先に退職報告を行う

退職が決定したからといって、上司の許可なく同僚や取引先に報告してはいけません。普段通りに業務を行い、上司と相談のうえ適切なタイミングで報告します。社外の取引先については上司と相談のうえ、後任と一緒に出向いて報告・お礼ができると良いでしょう。問い合わせにも対応できるよう、一般的には退職の2~3週間前に退職の挨拶を済ませるのがベストです。

8. 必要書類の提出や受取りに漏れがないか、人事部などと確認する

退職に伴い様々な書類の「提出」や「受取り」が必要となってきますので、人事部などと連絡を取り漏れがないようにしましょう。パソコンや社員証などの備品の返却も最終日などに忘れずに行い、デスク周りを片づけて後任者が気持ち良く使えるよう綺麗にしておきましょう。その後は有給休暇の消化となります。(退職手続きに関わる重要書類については、こちらの記事をご覧ください。)

9. 退職日に配るお礼の品を用意するなど、退職後も円滑な人間関係を構築できるよう心掛ける

最終日に、社内でお世話になった人たちに直接感謝の気持ちを伝えましょう。以下のポイントを踏まえて挨拶とお礼を行い、退職後も円滑な人間関係が構築できるよう努めましょう。

  • できるだけ直接挨拶をし、個々のサポートへの具体的な感謝を伝えましょう。その際にお礼の品(小さなお菓子やミニギフトなど)を配りながら挨拶するとスムーズです。

  • 会議などで退職を伝える場合には、今までの経験が自己成長につながったことへの謝意を述べ、前向きな印象を残しましょう。

  • 部署やチームに向けて、メールで全体への感謝を述べることも効果的です。

  • 関係性の深かった同僚や上司には、手紙やメッセージカードを贈って感謝の気持ちを個別に伝えても良いでしょう。

  • 退職後も、可能であればSNSや業界のイベントを活用して定期的かつ自然なかたちで良好な関係を保つよう心掛けましょう。プロジェクトの達成や昇進などお祝い事があれば、メールなどでお祝いの気持ちを伝えましょう。

退職交渉に関するアドバイスを人材コンサルタントに直接相談する

実際にあった退職交渉の成功事例

どんなに万全の準備をしていても、退職交渉の過程では様々な問題が起こることもあります。そこで、エイペックスを通して退職・転職を成功された2人の方の退職交渉の実例を見てみましょう。

成功事例①

  • 転職者:40代男性

  • 退職交渉における課題:転職先が決まったものの、入社日について転職先と希望が合わず難航(転職者はボーナス支給後の7月に、会社は新プロジェクトの発足メンバーが揃う5月~6月の早期の入社を希望)。

  • 担当コンサルタントからのアドバイス:ボーナスをもらうためと正直に打ち明けてしまうと印象が良くないため、それよりも重要なプロジェクトが進行中であるなど、現職での責任の大きさや迷惑を掛けたくない気持ちを強調すること。

  • 解決策:転職先での新プロジェクト発足の重要性は理解すべきであるため、残っている有休を使って重要日に新会社に出勤してもらった。結果、転職先でも非常に良い条件で良いイメージでスタートすることができ、前会社からもボーナスをもらえWin-Winの関係を築くことができた。

成功事例②

  • 転職者:50代男性

  • 退職交渉における課題:転職先から内定を獲得し上司に退職の意向を伝えたが、進行中のプロジェクトがある間は辞めることは契約上禁じられており、辞めると法的措置をとられる可能性があると告げられた。

  • 担当コンサルタントからのアドバイス:まず、このようなことを告げられた場合、その場で解決しようとせず一旦持ち帰り担当コンサルタントに相談すること。職業選択の自由は憲法で保障されており退職は問題ない、場合によっては上司からの一方的な主張である可能性も考えられる。

  • 解決策:このようなケースが発生すると、誰でも落ち込んだりメンタルが不安定になる可能性がある。終始一貫して自信と余裕を持った態度で退職交渉に臨み、また転職について前向きで建設的な気持ちを持ち続けることが大切。このケースでは、担当コンサルタントと緊密に連携を取りながら、諦めることなく無事退職することができた。

エイペックスの人材コンサルタントに転職成功のポイントについて聞く

退職交渉に関するよくある質問と回答(Q&A)

退職交渉においては、多くの疑問や不安が生じるものです。そこで、具体的な事例をもとによくある質問と回答をご紹介します。

Q.退職交渉はいつから始めれば良いですか?

A. 退職交渉のタイミングは、就業規則や雇用契約に定められた通知期間を守りつつ、可能な限り早めに切り出すのがベストです。後任決定や引き継ぎを考慮すると退職の1~3ヵ月前であれば適切ですが、オファーレターにサインをして転職が決まったらなるべく早く伝えるようにしましょう。円満退職を目指す上で、計画的に交渉を進めていくことがすべての当事者にとってプラスに働きます。

Q. 退職理由はどのように伝えれば良いですか?

A. もし退職理由が現職での不満や人間関係であっても、退職面談は不満を漏らすタイミングではありません。ポジティブな言葉選びで、退職が自身のキャリアプランにとって必然の選択であることを強調しながら前向きな理由を説明しましょう。お互いが気分の悪い状態で退職してしまうと、せっかく築いてきた人間関係が台無しになってしまう可能性があります。

Q. 転職先を聞かれたら正直に話すべきですか?

A. 退職面談で新しい会社について聞かれることはよくありますが、トラブルを防ぐためにも会社名は伏せておきましょう。こちらから伝えるメリットは何もないうえ、万が一転職先に連絡をされてしまっても困ります。聞かれた場合は、業界や職種までに留めておきましょう。

Q. 退職願と退職届の違いは何ですか?

A. 退職願と退職届は混同されがちですが、前者は退職を打診するための「お願い」であり、タイミングとしては最初の退職面談で提出するものです(提出しなくても構わない場合が多くあります)。後者は、面談後退職が認められそれを届け出るための書類であり、ほぼ必ず会社に提出するものです。

Q. 退職届は必ず提出しなければいけませんか?

A. 口頭のみの意思表示の場合、あとで「言った・言わない」「聞いた・聞いていない」等のトラブルが発生する恐れがあります。就業規則を確認し、指定の書面があればその通りに作成して提出しましょう。

Q.退職を引き止められた場合はどう対処したら良いですか?

A. 恐らく多くの管理職は部下からの退職の申し出に慣れており、はじめは「退職願は受理できない」「考え直して欲しい」と伝えて部下の意思の堅さを確認します。
大切なのは退職の意思が変わらないことを毅然とした態度で示すことです。たとえ「もう一度考えよう」という結論で面談が終わっても、後日メールでも構いませんので再度意思の堅さを伝えましょう。どうしても退職が受理されない場合は、さらに上の上司や人事部などに直接提出するなど相談相手を変えましょう。

Q. 上司から「退職の手続きに時間がかかる」と言われました。どうしたら良いですか?

A. 一旦退職の意向を示すと、後任探しや関係部署との調整など多くの関係者を巻き込むため、時間がかかることが想定されます。しかし、皆日々の業務が優先であなたの退職については後回しにしていることも考えられますので、自ら積極的に進捗を確認していきましょう。「待ち」の姿勢では、いつまで経っても退職日が決まらない可能性もあります。

Q. 一度提出した退職願や退職届は取り下げられますか?

A. 退職願についてはあくまで「お願い」の段階ですので、取り下げが可能はこともあります。しかし、直属の上司からその先に話が行っていることも十分考えられ会社に迷惑を掛けていること、また残ったとしても周りからの評価が悪くなる可能性があるなどリスクを伴うことも考慮しましょう。対して退職届は正式な書類となりますので、こちらからの取り下げは難しいと考えましょう。

Q. 有給休暇をすべて取得して退職することはできますか?

A. 有休消化の可否は企業の就業規則によって異なりますが、法律上では有給休暇は労働者の権利として認められています。すべてを消化するために、最終出勤日のあとにつけて退職日をずらしても問題ありません。ただし、それによって引き継ぎが完了できなかったり、入社日をずらしたりしてはあなたの評判を悪くさせてしまいます。交渉時には後任者に迷惑を掛けないよう配慮しつつ、有休消化の希望を誠実に申し出ましょう。​

Q. 有休消化中でもボーナスは支給されますか?

A. ボーナスは会社に在籍している期間に支給されますので、たとえ有休取得中であっても支給対象になります。ただ、「退職予定者」に対しては賞与を減額することが会社の就業規則や賃金規定で明記されていることもありますので、ボーナスの希望があれば退職交渉はボーナス支給後にするのが理想です。

Q. 消化できなかった有給休暇は買い取ってもらえますか?

A. 有給休暇の買い取りについては、労働基準法で原則禁止されています。ただし、退職が決まった場合は例外的に買い取りが認められているため会社に申請することは可能です。ただ、有休の買い取りは企業の義務ではありませんので、「買い取ってくれるのか」「買い取ってくれる場合はいくらになるのか」については、就業規則や人事部等に確認しましょう。

Q. 有休消化中に新しい会社で働いても大丈夫ですか?

A. 有休消化中であっても在籍しているのは前の会社であり、その期間中に次の会社で働き始めると二重就労、つまり「兼業」の状態となります。兼業自体は悪いことではありませんが、就業規則で禁止されている場合が多いため、両方の会社に確認を取ることが必要となります。

まとめ

以上のように、退職交渉には正しい手順とポイントがあり、権利を守りながら有利な条件を引き出すにはコツがあります。ぜひ、具体的なアクションを参考にしていただき、退職交渉に臨む際の不安を少しでも和らげてください。

エイペックスでも、過去に引き止めに合ってしまった方やそれによって後悔された方など退職交渉の失敗談を聞きますが、是非一人で悩まずにプロの力を頼ってみてください。転職活動はもちろんですが、エイペックスでは難しい退職交渉から入社・研修に至るまできめ細かくアドバイスを提供し円満退職を支援しています。

多くの苦労を要して勝ち取った新しいキャリアです。転職エージェントと二人三脚でスピーディーに退職交渉を完了させ、新たなステージに自信と情熱を持って気持ちを向られるようにしましょう。

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