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経理担当者が知っておきたい有形・無形業界での会計処理の違い

有形資産を扱う業界(メーカーなど)と無形資産の業界(IT、メディアなど)で、財務・経理のキャリアに差はあるのでしょうか?今回は両業界の会計処理の差異も併せて考察していきます。

有形資産を扱う業界について

有形資産はここでは製造業で主に使用される製造用の設備、建物などが含まれます。一般的に有形資産を扱う業界は、製造業が製品を製造、生産する際に使用するプラントを有しており、これが主な有形資産になります。

例えば化学や素材メーカーでは、化学品の製造一つ取っても原材料の投入から攪拌、化学反応を行うプラントの存在、最終製品化を行うまでの梱包や出荷を行う場所が存在しており、比較的広範なバリューチェーンを有しています。素材メーカーの中でも鉄鋼の製造では、鉄の溶解等のプロセスもあるので溶解炉などが重要な資産になります。

いずれのバリューチェーンにおいても有形固定資産が使用されるため、化学や素材、鉄鋼等の重厚長大型のメーカーは減価償却費資産として、取得原価の大きい有形固定資産を多く保有する傾向にあり、減価償却を行う期間も長い傾向にあります。

有形資産業界でよくある会計処理

上記のように有形資産を扱う業界でよくある会計処理には、固定資産に対する減価償却費の計上が挙げられます。

また、巨大なプラント(化学や素材)で行われる会計処理で有名なものとして、修繕費の処理があります。修繕費は資本的支出であれば資産の取得原価に含めて減価償却の計算に含まれますが、そうでなければ発生時の費用処理が行われるのでそこは重要な判断になります。特に、これらの製造業の工場に税務調査が入った際には修繕費の区分について明確な説明を行うことが求められ、会計監査においても指摘される可能性があるので、工場の工務部や経理チームと本社の財務経理部は意識を合わせておく必要があります。

他にも、製品の単価を適切に計算するための原価計算が行われるのも、製造業などの有形資産を扱う業界で特徴的な点です。原価計算においては、共通費をどのような基準で各製品に配賦計算するかどうかが重要なポイントになります。

無形資産を扱う業界について

無形資産を扱う業界は、広告やゲーム、SNSなどの無形資産(知的財産や商標権も含む)を多く有している特徴があります。

またソフトウェア等を多く有していることもありますので、メーカーのように目に見える資産というよりは目に見えない資産を主に扱うものとして、この資産は将来のキャッシュを獲得する能力が高いことから重要性が高いと言えます。

セクター的にはTMT(Technology Media Telecom)に区分される業界で、特にMediaセクターで無形資産が多い傾向にあると考えられます。

無形資産業界でよくある会計処理

無形資産を扱う業界では、有形資産を扱う業界と同様に償却費の処理が行われます。一般的にはソフトウェアの償却年数は5年なので法定耐用年数に従って行われます。

また、人的資産等は重要であるものの、現状の会計基準ではオンバランスしないことになっているのでその点も特徴的です。

収益認識に関しては、顧客に対して役務(サービス)を提供して財貨を獲得したことをもって行われます。その他の会計処理(税効果会計、退職給付会計など)は特段他の企業と変わることはありません。

どちらの業界でも経理・財務のキャリアに差異はない

有形、無形それぞれの業界に従事しこれから転職を考えていらっしゃる方もいるかと思います。各業界においてよく行う会計処理はありますが、細かい実務レベルの話でどちらの業界だからといってキャリアに大きな差異が出るということはありません。転職市場では経理・財務のスペシャリストとして評価されますので、自身が行ってきた業務が転職先でいかに関連性が高いかが採用の鍵になります。

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