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外資系企業のインハウス弁護士の一日:そのリアルな仕事内容

企業に勤めるインハウス弁護士の数は過去20年で飛躍的に伸びており、特に外資系企業での活躍の場が広がっています。企業の社員として勤めることで様々なメリットがあるインハウス弁護士。そこで、ある外資系企業でリーガルカウンセルとして働く弁護士の方の一日を追ってみました!

インハウス弁護士(インハウスロイヤー)とは?

一般的にインハウス弁護士(インハウスロイヤー)とは、社員もしくは役員として一般企業に所属する弁護士のことで、企業内弁護士とも呼ばれています。日本組織内弁護士協会(JILA)※によると、2001年には全国でわずか66名(採用企業39社)だったインハウス弁護士は、2021年には2,820名(採用企業1,324社)と飛躍的な伸びを見せており、しかも一つの企業で複数の弁護士が在籍するケースも大変多くなっています。(採用数トップのヤフーは42名)https://jila.jp/material/statistics/

日本でのインハウス弁護士増加の背景には、グローバル化の加速、マーケットの複雑化など様々な要因が挙げられます。これらにより、企業が直面するリーガルリスクが複雑化・多角化し、各企業が法務機能を強化する動きがあるのです。特にグローバル化を進める国内企業や多国籍に事業を展開する外資系企業でのニーズは年々増加しており、エイペックスが専門とするすべての業界でもインハウス弁護士の募集は途切れがなく、この傾向は当面続くと予想されています。

インハウス弁護士の仕事内容とは?

弁護士が一般企業に就職すると、法務、コンプライアンス、知財部門などに所属することになります。法律事務所ではなく企業で働くということは企業法務に専任するということで、刑事事件や一般的な民事訴訟で法廷に立つような機会はなくなります。

そんな企業内弁護士ですが、その仕事内容は各企業やポジションによって多岐に渡りますが、例えば以下のような業務が挙げられます。

  • 担当事業部でのプロジェクトに参画、法的サポート・アドバイス・ソリューションを提供

  • 契約書の作成・レビュー・契約交渉

  • リスク管理体制の構築(問題の特定、法的調査の実施、関連法規遵守のためのサポート)

  • 社内外のステークホルダーとの協働(法律事務所との連携など)

  • 社内向け法務研修、法務関連指導(社内コンプライアンス向上のための施策実施など)

  • 問題発生時の法的対応

  • 規制当局への対応

  • コーポレートガバナンス関連業務(株主総会/取締役会運営、開示関係業務など)

  • M&Aの法務対応

  • 知的財産の管理、商標調査 

  • 関連業界の動向調査/情報収集 

  • グローバルプロジェクトへの参画

特に外資系企業の場合内資に比べてより深く案件に関与する傾向にあり、内資のように細かい事務フローが要求されないのも良い点と言えます。会社のビジネスにより深く関与してみたい方、グローバルに活躍されたい方にはとてもやりがいのある環境であり、結果社内クライアントからの信頼も得やすいポジションと言えます。

外資系企業のリーガルカウンセルのとある一日

そこでよりリアルな仕事内容を知りたい方のために、外資系企業のリーガルカウンセルとして働く弁護士の方のとある一日をご紹介します!

  • 9:00 - 出社

    外資系企業はフレックスタイム制度を採用していることが多く、出社時間はフレキシブルです。出社したらメールチェック、スケジュール管理、その日にチェックすべき文書の優先順位の確認などを行います。

  • 10:00 - 担当ビジネスユニットの顧客との外部ミーティングに出席

    契約書の交渉を行うため、顧客とのミーティングに出席依頼を受けました。ビジネスイシュー以外はカウンセルがリードして契約交渉を進めていきます。内資企業では契約書に対して修正・コメントはもちろんしますが、前面で対外的に関与することは少なく、対して外資では担当のビジネスユニットを細かく割り当てられていることが多く、そのビジネスユニットの「顧問弁護士」としての色彩が強くなります。従って案件を熟知している安心感からか、フロントエンドのミーティングに招待されることがよくあります。ミーティングのあとは合意事項を契約書に落とし込み、改訂版をビジネスユニットに送りました。

  • 12:00 - チームメンバーとランチ

    インハウスで働くメリットとしては、法律事務所に比べて勤務時間が短くワークライフバランスが取りやすいという点です。いつもではありませんが同僚とランチに出向く時間も取れます。法務業務はテレワークに向いているので、特にコロナ禍後はリモートワーク、フルリモートワークを認める企業が数多くあり、家で家事をこなしながらゆっくりランチを取ることも可能です。

  • 14:00 - 新商品承認会議に出席 

    担当ビジネスユニットが発売を検討する新商品の承認会議に出席依頼を受け、マネジメントからの法的な質問に回答しました。新商品については起案段階から相談を受け、法的なリサーチや助言を行います。ローンチまで宣伝方法やコンプライアンスなど様々なイシューについてまずはじめに相談を受けることが多いです。外部法律事務所の利用を含め適切に捌く機転も必要です。

  • 16:00 - ピッチ資料を最終レビュー 

    担当ビジネスユニットが顧客に来週提出するピッチ資料をレビューしました。特に法的イシューがなくても、カウンセルは大いなる常識者として資料の最終確認を求められることがあります。この時点ではプロジェクトの法的イシューは対応済みでしたので、言葉遣いの適切さや自社に不利益すぎる条件を提示していないか、ざっと確認するに留めました。資料の内容についてはクライアントにはとても喜んでもらえ、内資よりもクライアントからの反応を直接聞けるのでやりがいを感じます。

  • 17:30 - 案件のクローズを祝う内輪のパーティーに出席

    コロナ禍でパーティーの開催は自粛されていますが、プロジェクトがクロージングになるとビジネスユニット部長主催でパーティーが開催されることがあり、よく出席していました。カウンセルはピッチから契約締結、クロージングまで深く関与するので、プロジェクトメンバーの一員としてこのような祝賀会に招待されることもよくあります。外資系ですとカジュアルなスタイルが多いので参加しやすいですし、クライアントとの関係性を深める良い機会ですので積極的に参加しています。

いかがでしたか?外資系企業ではより深く案件に関わって社内弁護士としてのプレゼンスを押し出して行くことが可能であり、そこにやりがいを見つけると仕事がどんどん面白くなっていきます。ビジネスに関わる密度が濃いため、法務の専門家としてだけでなくマネジメントとしての役割も担え、社内クライアントからの信頼を獲得できれば今後のキャリアの選択肢も増えていきます。将来的には法務やコンプライアンス部門長、CLOやGC(ゼネラルカウンセル)などのキャリアパスが考えられますが、事業への関わり方次第でより現場に近いポジションなど企業内弁護士キャリアパスは自分自身で作り上げていくことが可能です。

インハウス弁護士の活躍の場は確実に広がっています。その他インハウスロイヤーとして働くメリットはこちらの記事でご紹介していますので、是非新しいフィールドに積極的に挑戦されてみてはいかがでしょうか?そのためには、エイペックスのようなリーガルポジションを専門とする転職エージェントへの登録が必須です。今すぐの転職でなくとも今後のキャリア形成のご相談だけでも大丈夫ですので、まずはお気軽に問い合わせしてみてください!

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