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国際弁護士資格を目指す~日本弁護士資格がなくても目指せる3つのキャリアパス

以前こちらのブログ記事で、「国際弁護士資格は取得すべき?メリット・デメリットを解説!」についてご紹介しました。日本の弁護士資格を取得した方にとって、渉外事務所に就職後外国の法曹資格を取得するメリットとデメリットを解説し、多くの方に反応いただきました。

では、日本の弁護士資格を保有していない方の場合、いきなり外国の法曹資格を取得するとどうなるでしょうか。そこで、外国法曹資格を取得した場合に考えられる3つのリーガルキャリアパスについてご紹介いたします!

国際弁護士資格の取得は難しいのか?

外国法曹資格の取得は、日本の司法試験と比較すると難易度は低いとされます。その理由としては、外国の試験は実務家としての知識を試されるものであり不合格にするための試験ではないこと、また、特にコモンロー系の国では判例が確立しており、いわゆる論点が比較的少ないことが考えられます。

現在法律事務所などですでに勤務している方が外国の法曹資格取得を目指す場合、その国での学位取得や受験が求められるため、引き続き日本で就労することは実質困難となります。退職することも選択肢ですが、会社に留学制度や休職制度があればぜひ活用すべきでしょう。

アメリカの司法試験の仕組みについては前述の記事に書かれていますが、多くの留学生はニューヨーク州の資格を目指します。これは実務で最も有用であるのがニューヨーク州法であること、現地で就職する場合の圧倒的な求人数という理由のほか、他州に比べて合格基準点が比較的低い(400点満点中266点で合格、カリフォルニア州は2,000点満点中1,390点で合格)ということも一因としてあるかもしれません。

取得後のキャリアパス

では、日本の弁護士資格よりも先に外国の資格を取得した場合、その後はどのようなキャリアパスが考えられるのでしょうか?主に考えられる3つのキャリアパスを挙げたいと思います。


1. 企業の法務部・インハウスカウンセル

企業法務では一般的に、法務部のメンバーが弁護士資格を保持する必要はありません。一方、インハウスカウンセルというポジションには、何らかの法曹資格が要求されることが多くあります。その場合、日本の弁護士資格を必須としない企業も多いため、外国の資格のみでも転職活動においてインハウスカウンセルへのステップアップを狙うことができます。

現職に残る場合でも、アウトバウンド案件を任されたり、昇格したりなどの効果が期待できます。大きな海外案件では準拠法がコモンロー系の国になることが多く、これらの国の法制度を理解していることは、契約交渉の大変な強みになります。

ただ、苦労して取得した外国法曹資格を対外的に生かす場がほとんどないというケースも多く見受けられます。大型海外案件の場合、現地法に基づくアドバイスや契約書作成を行うのは通常、現地の法律事務所となります。とはいえ、契約書へコメントしたり、疑問点を先回りして整理したり、内部クライアントへのアドバイスの提供など積極的に案件に関与することは十分可能であり、クライアントや企業での自身のプレゼンスを高めることができます。


2. 現地の法律事務所

2つ目として、現地の法律事務所に就職するキャリアパスも考えられます。ただし、母国語が第一言語でない外国人弁護士を積極的に雇う現地事務所はほとんどないのが現状です。

そこで可能性があるのが、日本人弁護士がすでに在籍している事務所や、クロスボーダー取引に主眼を置いている事務所です。留学中に積極的に人脈を構築し、就職に向けて情報収集しておくことが重要となります。

現地の法律事務所に就職するメリットとして、資格を活かした業務ができることが挙げられます。例えば登記事務や会社設立事務など、自分の名の下にクライアントを代理することが可能であり(実際は上司であるパートナー弁護士の名のもとに行います)、クライアントの事業に貢献できるというやりがいを感じられることが多いでしょう。

ただ就職やキャリア形成の際に、業務そのものの実力よりもマーケティング要素に比重を置かざるを得ないことが多々あるでしょう。事務所は、採用した日本人弁護士によって日本のビジネスが増えることを期待して採用しますので、顧客獲得のために自ら動くことが多く、マーケティング活動に割く時間を考慮しなければなりません。また、現地のネイティブ弁護士と比べると異色な存在であり、クライアントや同僚からの信頼を勝ち得るまで忍耐力も必要となります。


3. 日本の法律事務所

稀なケースですが、日本の法律事務所または日本に進出している外資系事務所が、外国法弁護士を募集することもあります。狙いは語学力で、英語案件が多い事務所では特に需要が多く、大手法律事務所が募集をかけていることが多くあります。企業内法務と同様案件管理の色彩が強くなるものの、企業内にいるよりも業界や製品も異なる多種多様な案件に関与して経験を積むことができるのが魅力です。

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