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大企業における経理マンのキャリア形成|勤務年数別のリアルな仕事内容

​幅広い経理実務を経験でき、福利厚生などの待遇面も良い大企業の経理は大変人気の職種で、エイペックスでも数多くのポジションを斡旋しています。ですが、入社後のキャリア形成をご存じでしょうか?ここでは、「大手製造業」で大卒新入社員が配属される「原価管理」担当のキャリア形成について一例をご紹介します。就職や転職で大企業の経理を考えている方は是非参考にしてみてください。

新人担当者(1~3年目)

大手製造業では各地に工場があり、新人経理マンは工場に配属されることが一般的です。

  • 主な仕事は担当工場のコスト管理や収益管理

  • 2年に1回は昇格試験や成果発表の場がある

  • 飲み会幹事など雑務も多い(雑務を通して知り合いが増えるメリットもある)

職務内容は担当工場のコスト分析や収益分析、予算作成などです。作業はルーティンですが、「分析における差異の理由」は工場に聞くことになりますので、現場との良い関係性を保つために十分なコミュニケーションが取れる能力が必要となってきます。年収は300~400万円程度とそれほど高くはありませんが、昇格するスピードが速く給与は順調に増えていきます。

総括担当者(4~7年目)

およそ4年目になると中堅として担当者を取りまとめるポジションになります。

  • スケジュール管理、担当者の進捗管理などの調整業務が増える

  • 経営幹部への報告の場へ立ち会えるようになる

  • 総括担当1年後に転勤や異動がある

職務内容は、原価計算システムのスケジュール調整、担当者の進捗管理など調整業務が増えます。また経営幹部への報告に同席し、会社全体の動きや経営層の考え方を学びます。上記の経験を通じて、管理職マインドの醸成が図られます。

総括を約1年担当すると、異動や転勤になることが多くあります。本社へ異動になれば決算、税務、資金などの分野を経験する機会があります。

また、営業や購買部門といった別部門へ異動することもあります。経理経験者は財務諸表が読めるため自分でおおよその与信管理ができたり、決算情報から経営環境を想定して商談することができるため重宝されます。また、経理には工場の原価情報や経営層の指示内容といった情報が集まるため、人的なコネクションがあれば欲しい情報を集めて業務に活かすことも可能です。年収は400~600万円前後、過勤務が多い時期です。

管理職(8~18年目)

入社8年目、年齢にすると30歳前後で管理職へ昇進します。部下を育成、管理するマネージャーのポジションです。

  • 経営層への報告、特命事項、全社プロジェクト推進などを担当する

  • 部下の育成、管理(業務指示、勤務管理、一次考課など)を行う

  • 会社全体の収益状況、経営環境、若手の離職率問題など社外秘の情報が入ってくるようになる

経営層への収益報告、特定製品についての特殊原価調査、新しいシステムの導入といった難易度の高い実務を担当します。経理には毎年新人が配属されますが、大企業でも2~3割は入社3年以内に離職します。突然離職されないよう部下のケアも重要な仕事です。

管理職になると社内の情報量は桁違いに増えます。決裁権限はありませんが、ある程度の判断は会社から任せられます。

大卒の総合職であれば管理職まではほぼ一律に昇進します。残業代はつかなくなり、賞与は会社の業績が大きく影響します。年収は企業やその方の能力によって差が大きくなりますが、600万円~1,000万円程度となります。

役職管理職(18年目くらい~)

所属するグループ、室、部の運営と責任を担います。グループリーダー、室長、部長といった肩書がつきます。

  • お金や人事、仕事について決裁権限が与えられる

  • 経営層と直接対話し、施策を他部門へ展開する

会計の実務からは離れますが、判断する場面が多いので常に知識のアップデートは必要です。収益目標達成が重要なミッションとなり、他部門への指示、調整を行います。

また財務・税務会計以外に、会社の経営方針決定の指標として活用する管理会計(Financial Planning & Accounting)に携わる場合もあります。管理会計のポジションに就くと大規模な新規投資、工場の統廃合など経営上の大きな決定に関われる場合もあります。特に分析等に優れている人材であれば、前途の「管理職」の30代のうちから管理会計のキャリアをスタートできることも珍しくありません。

役職管理職になると年収は1,000万円を超えるようになります。55歳前後で会社での出世が頭打ちになると、子会社や関連会社へ出向します。

まとめ

経理は、①会計や税務などの専門知識で適切な会計処理を行ういわゆる制度会計(財務会計)と、②管理会計を駆使し経営スタッフとして働く管理会計の仕事に分かれます。

①の会計や税務の専門職は、知識をアップデートしながら長く同じ業務で経験を積む方が多い傾向にあります。一方、②は経理の知識に加えて、ロジカルに説明する能力や様々なステークホルダーの意見を調整する能力などが必要となってきます。近年は、経理である程度の経験を積んだ方は管理会計を目指す傾向にあり、企業もAIやRPAの活用を促進する中、財務的な側面から経営判断ができる管理会計者を求める傾向にあります。つまり、経理知識以外の付加価値を求められる傾向が大きくなりつつあります。

せっかく経理という専門職に就いたのであれば、どんなキャリアパスが考えられるのか、そのためにどんな経験やスキルを積んだら良いのか、しっかりと将来像を見据えながらキャリアを選択していくことも大切です。特に財務・経理業界の採用トレンドなどは、転職エージェントなどプロの見解が最も最新で有効な検討材料になります。是非、ご自身の市場価値を高める戦略を取りながら理想のキャリアを目指しましょう。

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