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ドクターとディスカッションをするMR

MRのキャリア:外資系・内資系製薬企業、CSO勤務経験者のリアルな声

MRの仕事とは?現在のトレンドと今後の展望

MR(Medical Representative)とは、製薬会社やCSO(Contract Sales Organization)に勤務する「医療情報担当者」のことで、他業界で言えばいわゆる「営業」に相当するポジションです。医師や薬剤師などの医療従事者に対し、自社の医薬品や治療法、疾患についての情報を的確・敏速に提供することで、最終的には病院や薬局に自社製品を採用してもらうのが活動の目的となります。そのため、日々医療施設に訪問して情報収集をしたり、イベントを開催して製品やサービスをアピールしたりします。

日本のMRは欧米に比べて多いと言われて久しく、2013年をピークにMRの数は徐々に減少しています。相次ぐ製薬企業の早期退職の募集、コロナ禍での医療機関への訪問規制デジタル化の波など、MRにとって逆境とも言える要因が相次いでおり、MRに求められる資質も変わってきています。

このようなトレンドを踏まえ、近年製薬会社は人員のスリム化によるコスト削減のため、MRをCSOに外注するケースが増加しています。CSOでのプロジェクトは今後も拡大が予想されており、メーカーからCSOに転職するMRが増加しているのが一つの大きな流れです。一つの疾患領域を長く担当する製薬会社のMRに比べ、各企業と契約するCSOでは複数領域に携わるチャンスが多く、MRとしてのキャリアを充実させられる側面があります。

そこで今回は、大手内資系製薬会社、大手外資系製薬会社、大手CSOにてキャリアを積まれた50代のMRの方(仮名:鈴木さん)にインタビューを行い、それぞれの企業で働くメリット・デメリット、年収や転職の決め手と成功要因、MRの将来性や求められるスキル、キャリアの積み方などについて詳しく話を聞きましたので、ぜひ今後の転職やキャリア形成の参考にされてみてください!

鈴木さんの略歴:

22歳:大学卒業後大手内資系製薬会社にMRとして就職、プライマリーを中心に営業(年収450万円)

31歳:年収が1,000万円を突破

38歳:転勤希望のため、大手外資系製薬会社に部下なしマネージャーとして転職(年収1,400万円)

39歳:営業所長に就任(年収1,500万円)

44歳:眼科領域のブロックマネージャーに就任(年収1,700万円)

47歳:免疫領域のブロックマネージャーに就任(最高年収2,000万円)

49歳:早期退職制度を利用し退職、副業開始のため大手CSOにコントラクトMRとして転職(MRからの年収700万円)

Q. 内資系、外資系それぞれの製薬会社、またCSOで勤務されていたということですが、それぞれで感じた良い点・悪い点があれば教えてください。

  • 内資系製薬会社で働くメリット外資系よりも人を育てる風土が定着している点があります。入社時から長い期間教育担当がずっとついてくれますし、相談しやすい環境があるため安心して仕事が出来ると思います。会社に対するエンゲージメントも高くなりますから、自社製品に対しても愛着を持って営業活動が出来る面もあると思います。またこれは内資ならではですが、顧客からの要望に対しての柔軟性が高いことは内資系の大きな利点ですね。例えば医師から剤形やパッケージに対するクレームがあった場合でも、内資の場合はすぐに改善して対応してくれたりしますので、現場としても非常にやりやすいと感じます。

  • 内資系製薬会社で働くデメリット:前述のメリットの裏返しになるかもしれませんが、新人の場合は教育担当者に毎日日報で報告しなければならないなど、マイクロマネジメントが外資系よりは強い傾向があるかもしれません。コロナ禍を経て変わった会社もあると思いますが、社内の人間関係に拘束される機会は外資系よりも多いのではないでしょうか。あとは、まだ年功序列の考え方が残っているメーカーも多いので、実力があって早く年収アップ・キャリアアップを目指したい人には外資系のほうが向いているかもしれません

  • 外資系製薬企業で働くメリット製品力があるため、明確なエビデンスに基づいた情報提供活動が出来る点は非常に魅力です。即戦力としてバリバリ働きたい人にとっては成果が上げやすく、それに応じてかなり高い年収を実現できるのが外資系の大きな利点だと思います。パイプラインも豊富な企業が多く、安定した経営を行っている点は安心材料です。また、社内的なイベントなどに関わることも内資系よりは少ないため、外資系のほうがワークライフバランスが取りやすいと感じるかもしれません。

  • 外資系製薬会社で働くデメリットグローバルの方針や意見に左右されやすい点ですね。剤形の使いづらさが指摘されてもなかなか変更に至らなかったり、営業の意見が通らないもどかしさは感じました。M&Aや組織再編、人事異動などもグローバルの動向次第で頻繁に行われますので、安定した組織で定年まで過ごせるかは未知数です。あとは、KPIや昇進・昇格基準が明確な点はとても働きやすいのですが、営業目標だけでなく行動目標も評価基準に含まれることがあり、売上だけあげれば良いという営業スタイルではないのを窮屈に感じる人もいるかもしれません。

  • CSOで働くメリット一言で言って「安定」です。製薬メーカーと違い早期退職が募集されることもないですし、担当プロジェクトや勤務地についてもある程度希望を聞いてくれたり、未経験の領域でも丁寧に研修を施してくれたり、人を大切にする風土が根付いていると感じます。自分は副業をしていますが、メーカー勤務時よりも社内の関わりが少ないためワークライフバランスが取りやすく、自分の時間を確保しやすい点も利点だと思います。

  • CSOで働くデメリット:CSOはメーカーからのプロジェクト受注に対し、他社のCSOを常に意識しています。継続した受注を得るためにメーカー社員からの評価を得ることに重点を置く必要があり、勤務態度などを含めた社員としての資質についてCSOの上司からのマネジメントが強い傾向があるのがデメリットかもしれません。ただ、厳しいノルマのプレッシャーはメーカーよりも感じることが少ないため、きちんと営業活動を行っていれば安定して勤められると思います。

Q. MRとしてどんなことを意識しながらキャリアを過ごしましたか?年代別で教えてください。

  • 20代:まずは担当する医師から信頼されるよう、訪問頻度や顧客ニーズへの対応を敏速・正確に行うことを意識して努めていました。コロナ禍を経てオンラインへの移行もありますが、一番は説明会の回数で常に上位を目指すことが分かりやすいと思っていました。若手の頃は実力はまだ横一線だと思いますので、少し先を見据えながら「ここだけは誰にも負けない」という強みを見つけて構築していくのが、今後のMR人生を豊かにする第一歩ではないかと思います。

  • 30代:30代になると後輩も多くなってくる時期だと思いますので、若手MRを指導しながら営業所全体の雰囲気を向上させるような発言や行動を意識して過ごしていました。この頃は「地域医療連携」についてものすごく勉強をしていて、自分の強みとしてドクターの相談に乗ることでライバル社との差別化を図っていました。そのような自身の付加価値で、基幹病院と地域のかかりつけ医を繋いでドクターの信頼を獲得することが出来ていましたので、それに伴う新製品の導入とエリアでの売上向上にも貢献することが出来たと思います。

  • 40代:これまでの人脈形成がとても大事になってくる時期だと思います。この年代になると管理職の方が多くなってくると思いますが、個人の成績よりもエリア全体のシェアを上げることを意識しなければならなくなります。若手MRや自身の後任候補の育成など部下の成長を後押しする際に、仲間の支援がものすごく大事になってくる場面に遭遇しますので、マネジメントスキルの向上のためにも自身の人脈を広げて活用していくことが大事だと思います。

  • 50代どのようなキャリアを送りたいかはもちろん人それぞれであり、仕事に求めるものも違います。定年を意識してくる頃ですし、第2の人生に向けて準備をする時期にしても良いのではないでしょうか。自分の場合は経済の勉強などにもっと時間を割きたいと思い、仕事とプライベートが両立しやすいCSOに転職しました。

Q. MRとしての一日のスケジュールを教えてください。

コロナ禍前の多忙なときは、朝7:00に病院に行って退社は10:00、11:00ということもよくありましたが、最近はオンラインがメインになりMRの働き方もだいぶ変わってきました。全国の営業所を解約しているメーカーも多いため、朝はWEBでのチームミーティングから始まり、基本は直行直帰というスタイルが定着してきていると思います。施設訪問も何割かはオンラインですので、一日自宅で仕事ということもあります
一日の仕事の流れは担当施設や領域にもよりますが、以下がおおよそのスケジュールとなりますので参考にされてみてください。

9:00:  メールチェック(プライマリー担当の場合特約店に行く場合あり)

9:30: WEBによるチームミーティング~その後研修や訪問のための準備

お昼~ :ドクター訪問(アポイント/オンラインの場合あり)

昼食

午後: 訪問後のドクターへのフォロー(お礼メール、質問への回答など)

夕方: 1件~数件担当施設訪問

19:00: 内勤後退社(オンライン面談の場合は自宅で終了)

 : Web講演会のサテライトを視聴する場合もあり

Q. MRを取り巻く環境が変化していく中で、MRの仕事に将来性はあると感じますか?

製薬企業に求められる薬価抑制によって人員削減の波が数年続いていますが、MRの数自体はある程度減少すれば落ち着くと思います。一旦市場が落ち着けば、他業界の営業と比べても高い給与や充実した福利厚生、ワークライフバランスの取りやすさなど魅力の多い職種だと思っています。
メーカーのほうでも、自社のMRを削減した分CSOに外注する割合が高くなっていますので、決してMRが不要なわけではありません。今後の成長や安定性、様々な領域を経験出来るなどキャリアの幅を広げる意味でも、CSOへの転職は個人的に最もお勧めする選択肢です。
一般的には雇用の安定性を考えてメーカーに残ることが良いと思われがちですが、特に40代以降の方は、自身がその会社で自分らしく生きられるか?給与に見合った活躍がこれからも出来るのか?などを考えることも重要だと思います。今は働き方もそれぞれですので、一度転職エージェントに話を聞いてみると、様々な選択肢が聞けて視野が広がると思います。

転職エージェントに今後のキャリアについて相談する

Q. これからMRとして成長するために、求められるスキルは何だと思いますか?

これからのMRに求められるスキルですが、製薬メーカーやCSOにとっては、一番は「新規採用が獲得できる人材」が最も望まれるわけです。
では、新規採用が獲得できるMRとはどんなMRなのか?それはもちろん「ドクターに信頼されるMR」ということになります。例えば、

  • 学術知識が高いMR。特にオンコロジーや免疫領域などでドクターが欲しい医療情報を提供できる人材。

  • 個別化医療が進む現在、個別の症例ごとに細やかなディスカッションが出来るMR。

  • ドクターを一括りにせず、それぞれの先生の立場を理解し異なるニーズを把握し提案出来るMR。クリニックであれば、診療報酬や医療経済など経営的な側面の話が出来るなど。

  • オンライン面談やWEB講演会が一般的になる中、ITリテラシーが高くオンラインでもドクターとの関係が構築できるMR

などが、これからも求められる優秀なMRと言えるのではないでしょうか。

そのための一つの方法として、Face-to-Faceでもオンラインでも一つ一つの面談を大切にして、次の機会でも会っていただけるよう顧客ごとに面談をアレンジすることも重要だと思います。面談前に十分準備することはもちろん、面談後も先生から出た質問や疑問にしっかりと時間をかけて回答し自分でも復習するなど、一人ひとりのドクターに向き合って信頼関係を築いていくことが次につながっていくと思います。 

Q. MRの転職について教えてください。転職するメリットは何だと思いますか?

私自身は転勤を希望して1回目の転職を、早期退職制度を利用して2回目の転職を実現させました。結果的に、どちらも転職をして本当に良かったと思っています。外資系製薬企業に転職したときは、給与交渉を転職エージェントに任せたおかげで大幅な年収アップが実現し、希望だった転勤も叶いましたし、CSOに転職したときはエイペックスの紹介でしたが、精神的にも安定した職場で働くことが出来ています。

一つの企業に勤めていると分かりづらいですが、転職そのものが自身の市場価値を知る良い機会になりますし、現在の立ち位置が分かったところで今後どうすればより市場価値を高められるのか、今後の計画を立てるきっかけになると思います。ただ、自分だけで判断していくのにも限界がありますので、より良いキャリアを築いていくためにも転職エージェントの力が絶対に必要だと感じています。

転職エージェントとの面談について成功のポイントを学ぶ

Q. 転職成功の秘訣を教えてください。

先程、転職エージェントに頼ることが必要だとお話しましたが、どこでも登録さえすれば良いというわけではありません。私の場合はエイペックスの担当の方とは長い付き合いですが、自分の長所も短所もよくご存じで、自身のキャリアを一緒に考えていただける良きキャリアパートナーと感じています。

また、エージェントを利用する最大の目的は良い転職先が決まるということだと思うのですが、その点エイペックスの担当の方は採用企業側との信頼関係がしっかりとしており、特にCSOの人事の方とのコミュニケーションは抜群に優れていますので、安心して転職活動を進めることが出来ました。良い担当者選びも、理想のキャリアの実現のためには必要となるのではないでしょうか。

まとめ

この10年、20年で働き方が大きく変わったMR。医療従事者から求められる情報も変わってきており、新しいアプローチや方法論にも対応できるMRが求められるようになりました。今後は、転職などによって様々な経験やスキルを蓄積しながら計画的にキャリアを積んでいくことが必要になっています。

エイペックスでは、製薬業界専門のチームがMRの方の転職活動のサポートやキャリア相談を行っており、これまで多くの方がより良いキャリアを見つけて転職を成功されています。今回の鈴木さんのように、長期に渡ってコンサルタントと関係を築くことで、いつでも相談が出来るリソースを得られるということも、厳しい転職市場の中で自身の強みの一つとなります。

もし、今後のキャリアや選択肢について詳しく話を聞きたい、という方は、是非キャリア相談を申し込まれてみてください。


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