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製薬会社の研究職への道〜元研究員が仕事内容・働き方・年収・やりがいを徹底解説!~

製薬企業の研究職は、新薬やジェネリック医薬品などの医薬品を世に送り出すための研究を行う仕事で、医薬品開発の上流工程に位置しています。新型コロナのワクチン開発でも広く認知されたように、人命への貢献など大きなやりがいを感じられる一方、極めて難易度の高い仕事で入社には狭き門です。

そこで、製薬メーカーの研究職に興味を持っている方のために、内資系の製薬会社の研究者として働いた実績を持つ方から、実際の仕事内容や働き方、年収の実情、研究職として働くメリット・デメリットなどについて詳しく話を聞きましたのでご紹介します!


製薬会社の研究職の仕事内容

製薬会社の研究職と一口に言っても、化学合成部門、製剤部門、薬理部門、安全性部門、薬物動態部門など様々な部門に分かれており、各自が専門領域を持ってそれぞれの部門で働くことになります。研究職としての勤務は恐らく一般にイメージされているとおり、研究所や研究室で朝から晩までチームでターゲット探索、合成展開、薬理評価などを繰り返す日々となり、トライアンドエラーを黙々と繰り返しながら数年単位のプロジェクトを行うことになります。

製薬企業の研究職の仕事内容は、大きく分けて以下の4つです。

  • 病気の領域戦略:自社の強みや開発力、販売力を多角的に分析し、自社で研究開発、販売できる疾患領域を見極めます。自社が持っている技術やノウハウ、販売網などを考慮して、どの領域に注力していくかを決定することになります。ただし、その領域に強みを持つ他社と分業することで自社にとって弱い領域でも研究開発を進めることができるので、疾患領域の強さよりも研究技術の強い分野に特化して研究を進める場合が多いでしょう。

  • 病気のメカニズムの解明:病気の原因となる分子や細胞を特定し、その分子や細胞に作用する物質を探します。病気の原因となる分子メカニズムや細胞を研究したり、既存の薬剤の作用機序を参考にしたりすることで、その後の工程である新しい化合物の探索合成が可能になります。

  • 候補化合物の合成・製剤化:病気の原因となる分子や細胞に作用する物質を合成し、それを医薬品として投与できるように製剤化します。候補物質を合成する際には、化学合成や生化学的手法などが用いられます。また、候補物質を医薬品として投与できる形にするために、錠剤やカプセルなどの製剤の状態にしていきます。最近では低分子化合物以外にも、抗体医薬や核酸医薬、細胞治療、遺伝子治療等の新しい治療手段が用いられています。

  • 有効性・安全性の評価:候補物質を動物や細胞、タンパク質に投与して薬のデータを取得し、その有効性と安全性を評価します。いわゆる非臨床試験と言われるもので、薬物動態試験(ADME)、薬効・薬理試験、安全性試験(毒性試験)などが含まれます。動物試験で候補物質の有効性と安全性を評価した後、ヒトに対する試験、いわゆる臨床試験に進みます。臨床試験では候補物質の有効性と薬物動態だけでなく、副作用など人に対する安全性リスクについても評価します。

製薬会社の研究職は、一般的にはヒトに対する試験の前、基礎研究から非臨床試験までが職務となり(下記表の赤く囲われた部分)、その後の工程は臨床開発職が担当します。開発職は、臨床試験全体をマネジメントして新薬の人に対する有効性と安全性を立証し、製造販売承認を得る仕事です。 

製薬会社の研究職の仕事の流れ

製薬企業の研究職は、新しい医薬品を開発するために〔研究計画・実験・解析・発表・改善〕の流れを繰り返しながら、日々研究を行っています。ここで、研究者の実際の仕事の流れを見てみましょう。

  1. 研究計画:まず、研究テーマを決定し研究計画を立てるところからスタートします。研究テーマは、製薬会社が導き出した疾患領域で抱える課題や社会的なニーズに基づいて決定されます。研究計画は、研究テーマを達成するために必要な手順や時間、予算などを明確にしたものになります。

  2. 実験:研究計画を立てると、次は実験の段階になります。実験は研究計画に基づき、研究テーマを達成するために必要なデータを収集する作業です。製薬企業では効率を重視し、なるべく簡単に結果が出るような手法を取る傾向にあります。

  3. 解析:次に、実験で得られたデータを解析します。解析は、収集したデータを分析し、研究テーマを達成するために必要な情報を得る作業です。解析では、エクセルや解析ソフトなどを用いてデータを分析していきます。

  4. 発表:解析の結果を元に、発表を行います。発表は、チーム内や上司であればかなり頻繁に情報共有がなされます。また、学術的に有用なデータや研究結果であれば、学会や論文で発表することもあります。発表内容はパワーポイントなどで共有しますが、資料にかける時間は必要に応じて変え、経営会議にかけるようなレベルであれば1ケ月以上作成に時間をかけることもあります。

  5. 改善:発表では、「この薬物はいい薬効を持っているが、代謝安定性が課題だからそこを改善しようと思う」など、複数の薬物候補のデータを比較し、多角的な面から考察した結果を共有します。テーマの初期は困難ですが、ある程度進むと「薬効を保つにはどのような特徴が必要か」、「代謝安定性を上げるにはこの特徴を改善すべきだ」など、解決策が見えてきます。それをもとに今後の指針を示し、チームや上司と共有します。結果を見て新たに欲しいデータがあるようであれば、実験を追加しプロジェクトを進めていきます。

このように、製薬メーカーの研究職は日々、新薬候補の誕生に結びつくまでこの作業を繰り返していくのが仕事です。ただ、製薬企業に勤める研究職は研究者の一面もありますので、自身で定めた研究も行うことがあります。


製薬会社の研究職の働き方

次に、製薬企業の研究職の働き方についてご紹介しましょう。企業や研究室によってもちろん異なりますが、一般的には以下のようになります。

  • 9:00出社:メール対応。フレックス勤務や裁量労働制の会社が多く、出社時間は比較的自由

  • 午前:実験作業

  • 午後:データ取得、解析

  • 夕方:部署ミーティング

  • 19:00退社:研究職は比較的残業は少なく、ワークライフバランスが取りやすい

製薬メーカーの研究職は、企業にもよりますが比較的ホワイトな働き方ができる職種と言えます。プロジェクトが立て込んでいたり佳境に入っている場合は別ですが、平時は残業もあまりなく有給休暇のための調整もつけやすいでしょう。通常は研究室にこもり切りの仕事ですが、共同研究をしている大学や医療機関に足を運んで打合せすることもあります。


研究職の年収はどれくらい?

他業界に比べて年収が高いとされる製薬業界ですが、研究職の年収は一般的には下記のようになります。

  • 20代:初任給22~25万円スタートで、昇格して400万円~600万円程度

  • 30代:500万円~1,000万円+

  • リーダー~マネージャー:600万円~1,400万円+程度

研究職を募集しているのは国内の製薬企業やバイオベンチャーになりますが、日系企業のため福利厚生が充実していることが多いのも特長です。もし年収が低いと感じても、住宅手当などで支出が抑えられ最終的に想定よりも年収がアップすることもあります。自分に合った福利厚生があるかどうかも、就職や転職の際には考慮してみてください。

研究職に就くために必要なスキル 

製薬企業の研究職は採用ハードルが非常に高く、一握りの優秀な人材だけが就くことのできる職種です。では、具体的にはどのようなスキルがあれば高い倍率を突破できるのでしょうか?以下に必須要件として例を挙げておきました。

  • 国内外トップレベルの大学で学んだ医学・理化学・薬学・生物学等の知識。修士以上(薬学部卒可の場合もあり)を求める企業がほとんど。

  • 学術論文の読解力・考察力。論文から研究計画を立案し、実行できること。

  • 最先端の実験技術に興味があり、研究への応用・展開が可能であること。

  • 英語力。医薬品ビジネスはグローバルに展開されることがほとんどで、英語力は必須。

  • チームメンバーや各部門と密接に協働できるコミュニケーション能力・チームワーク

  • 困難な目標を達成させることができる粘り強さ・責任感

  • 物事を正しい方向に導くための論理的思考力・問題解決力

  • プロフェッショナルとしての信念や高い生命倫理観

製薬企業の研究職は人の命を助ける仕事であり、研究には常に高いレベルの技術力と知識が必要です。また、研究には長い時間と労力がかかるため、忍耐力と精神力も必要となります。

ただ、企業によってフォーカスしている研究分野はそれぞれであり、入社して自分は何を達成したいのか、企業や社会にどんな貢献をしたいのか、明確な目標を持って志望先を探すことも大切です。そこをライバルにはない自分の強みとしてしっかりと企業にアピールすることで、内定獲得につなげることもできるでしょう。

研究職として働くメリット・デメリット

製薬企業の研究職で働くメリットは、やはり仕事のやりがいです。人の命を助ける事に直結する仕事であり、患者さんの病気の治療や予防に貢献できる素晴らしい仕事だと感じられるでしょう。「研究」という好きなことを続けて仕事にできる楽しさもあります。また、待遇面でも年収が高く、福利厚生が充実していたりワークライフバランスが取りやすいのも魅力です。

一方で、研究には長期間かかるプロジェクトが多く、成果が出るまでに長い年月がかかることや、途中で失敗や挫折も多いことがデメリットかもしれません。10年以上の年月や数百億円単位の予算をかけても新薬の開発が成功する確率は低いのが現状であり、ともすればやってきたことがすべて無駄になる感覚を味わうかもしれません。そのため、研究に対する信念や目標を持ち続けていないといけないのがこの仕事です。また、各製薬会社間の開発競争は近年ますます激しくなっており、研究者は常に最新の情報や技術を追いかけなければならず、自己研鑽やスキルアップに努めることを面倒だと感じる人には向いていない職業でしょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は製薬会社にお勤めだった元研究員の方からお話を伺いました。医薬品業界を取り巻く環境は年々厳しくなっており、優秀な人材は引く手あまた、そうでない方にはますます狭き門となる二極化の状態が続いています。特に研究職は数年単位のプロジェクトを動かすためあまり人材は流動的ではなく、採用枠が他のポジションよりも少ないことが多い職種です。

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また、外資系製薬企業の概要や特徴をまとめた記事も公開しているため、製薬会社への転職を検討している方は、そちらも合わせてご覧ください。

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