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エイペックスのプリンシパルコンサルタント・エリス・ウォレン

専門コンサルタントに聞く 医療機器業界の品質保証・品質管理の転職事情~仕事内容・採用動向・年収・スキルなどを詳しく解説!

医療機器の「品質保証(Quality Assurance)/品質管理(Quality Control)」は、国際規格などの厳しい基準に基づく安全性・有効性を確立する役割を担う重要な仕事です。現在、品質職はかつてないほどの売り手市場になっており、老若男女問わず転職希望者にとっては大きなチャンスが続いている状態です。

そこで、エイペックスの医療機器業界専門のコンサルタントで、特に品質職で大きな実績のあるエリス・ウォレンさんに、品質職の仕事内容、採用動向、年収、求められるスキル、転職成功のポイントなどについて詳しい話を聞きました。この分野で転職を考えている方は必読です!

目次

  • 医療機器企業の品質保証/品質管理の仕事内容

  • 企業による品質ポジションの違い

  • 最近の採用トレンド

  • 品質ポジションの年収

  • 求められるスキルや資質

  • 未経験者に求められる経験

  • 経験者に求められる経験

  • 品質ポジションのキャリアパス

  • 採用面接でよく聞かれる質問

  • 転職成功事例

  • 品質ポジションの魅力

Q. 医療機器企業の品質保証/品質管理の仕事内容を教えてください。

「品質保証」は、医療機器企業にとって非常に大きな役割を果たす部門です。原材料の調達から製造、出荷後に至るまで、自社で製造した製品が決められた品質基準を満たしているかを確認し、その安全性と有効性を保証する役割を担っています。そのため、製品の開発段階から販売後まで製品のすべての工程に携わることになり、製造過程だけでなく販売後の欠陥や不具合への対応・再発防止もその仕事となります。

医療機器の品質保証について特にポイントとなるのが、QMS(Quality Management Sysytem:品質マネジメントシステム)の構築・確立です。
品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001、また医療機器産業に特化したISO13485は重大なリコールや品質問題発生などに伴い常に改訂されていくため、各医療機器メーカーはこうしたガイドラインに沿って自社の品質マネジメントシステムをアップデートしSOP(標準業務手順書)を作成ていくことが求められ、品質保証の大切な仕事の一つとなっています。
合わせて、ISO14971など正しいリスクマネジメントへのアプローチを適用し、内部監査の実施や第三者認証機関による外部監査のサポートを行い、不適合のない状態を保ちます。

一方、「品質管理」は品質保証の仕事の一部の機能であり、通常製造工場での品質業務を指します。製造の過程で製品に欠陥や不適合がないかを検査・分析し、問題が生じた場合は原因の特定と問題の是正措置を行うことが主な業務となります。
場合によっては、チームはCAPA(Corrective Action & Preventive Action:是正措置および予防措置)を実施し、欠陥の原因特定と是正措置、再発予防措置、実施した措置や実効性の照査を行い、問題を正確に把握する必要があります。

また、「安全管理(Safety)」が品質保証部門の一部であることもあります。安全管理には大きく分けて下記の三つの役割があります。

  1. GVP(Good Viligance Practice)業務と呼ばれる製造販売後の安全管理基準の構築・確立、および安全管理マニュアルの作成

  2. 市販後の製品の苦情対応とその原因調査

  3. PMS(Post Marketing Surveillance)業務と呼ばれる市販後調査で、市場に出た製品の安全性に関する情報収集・調査・改善に向けたハンドリング

Q. 企業によって品質ポジションの違いはありますか?

医療機器企業の品質保証部門には多種多様なポジションが存在しますが、企業や組織の規模によって職責の重なり方もそれぞれ違います。

例えば、国内に製造拠点を持つ大手日系メーカーの場合、品質管理、品質保証、サプライヤー品質、研究開発(R&D)、製造品質など、同じ品質であってもそれぞれ独立したチームに分かれており職責も違います。
また、品質チームと安全管理チームは全く別のチームであることがほとんどで、品質が製造現場~市販前の品質を、安全管理チームが苦情処理を含めた市販後の安全管理を担当します。安全管理については、市販前チームと市販後チームに組織を分けている企業もあります。

このように、大手企業の場合は業務が細分化していることが多いため、特定の品質分野に特化してキャリアを積まれたい方は、大手への転職を目指すことが最も理にかなっています。

一方、日本市場に進出して間もない外資系企業など比較的小規模なメーカーや、高度医療機器でないクラスI、IIのみを扱うメーカーの場合、大手よりも職責が重複していることが多く、マネージャーであってもよりハンズオン業務をこなすことが多いのが特徴です。品質保証チームと品質管理チームが一緒になっていることも珍しくなく、安全管理業務が品質保証部門にまとめられているケースも多くあります。

特にスタートアップの場合、大手ほどのリソースがないためより多くの機能にまたがって業務を担当することになるため、ハンズオンでより多くのスキルを身に付けたい方、裁量を持って責任ある仕事に携わりたい方にとっては、スタートアップが最も適した選択肢となるでしょう。

また、日本で事業を展開する医療機器企業は、総括製造販売責任者(総括)、国内品質業務運営責任者(品責)、安全管理責任者(安責)と言われるいわゆる三役を設置する義務があります。どの企業にもこれら三役の役割を担うメンバーがいますが、企業によっては一人のメンバーが複数の役割を担うこともあり、例えば、総括はRAQA(薬事+品質)の責任者であることが多く、品責と安責は品質部門と安全管理部門の責任者であることが多くあります。

Q. 品質職の最近の採用トレンドを教えてください。

医療機器業界は国内外で成長産業となっており、今後もその傾向は続くと予想されています。日本市場に参入してくる外資系のスタートアップも常に一定数あり、求人数も今後も堅調に推移することが想定されます。
その中でも、品質ポジションは現在かつてないほどの売り手市場になっており、若手であってもベテランであっても転職希望者にとって非常に追い風となっています。

品質は基本的に専門性の高い分野であり、携わる人材は限定的で他の部門から転職をしてくる傾向にありません。そのため、人材が固定化・高齢化しており、売上TOP10に入るような世界的外資系メーカーを含め多くの企業で、スタッフレベルであるスペシャリストからスタート出来る若手を積極的に、かつ大量に採用しています。このような大手で経験を積んでいけば、将来有望な管理職として活躍出来たり、高い報酬を得るチャンスにつながります。

一方、日本のベンチャー企業や小規模な外資系企業は、貴重な経験を積んだシニア層・ベテラン層に入社してもらうことで事業を拡大させていきたいという狙いがあります。近年は医療×ITのヘルステックのスタートアップもますます増加傾向にあり、将来性に魅力を感じ大手企業から転職してくる方も増えています。
特に大手勤務の方の場合、身に付けられるスキルに限界を感じやすく、より幅広い業務に携わりたい、大きな職責を担いたいという50歳以上の方々がチャンスをつかんで転職を成功されています。60歳以上の方でも、この一年で数名の方の正社員としての転職を私のほうでお手伝いしていますが、コロナ禍後から追い風の状態が続いています。

医療機器専門コンサルタントに業界動向を聞く

Q. 品質ポジションの年収はどれくらいですか?

品質職は、医療機器業界の中でも比較的高い年収を得られるポジションです。もちろん大手なのか中小なのか、外資なのか内資なのかによって違いはありますが、以下がおおよその年収レンジとなります。傾向としては、内資よりも外資系医療機器メーカーのほうが年収は高めです。

  • スタッフレベル:~900万円

  • マネージャーレベル:1,200万円~

  • 安責:企業によりかなり違いあり(1,000万円前後~)

  • 品責:企業によりかなり違いあり(1,000万円前後~)

  • 大手メーカーのディレクターレベル:1,600万円~

特にコロナ禍後は優秀人材の取り合いが激化しており、年収も上昇傾向です。先日は、現行1,200万円の方が1,700万円で転職を成功されるなど、品質に携わる方にとっては大きなチャンスとなっています。

Q. どんなスキルや資質が求められますか?

  • 学歴:やはり技術系を専攻しているほうがキャリアには有利ではありますが、文系の方であっても転職は十分可能ですし、実際に順調に出世をされている方も多くいらっしゃいます。

  • 英語力:どのメーカーであってもシニアレベルまでいくと海外とのやり取りも多く、ほとんどどんな品質職でも英語力は必須となります。少数精鋭の会社であればスタッフレベルの段階からグローバルチームとのやり取りが発生しますので、もし英語力に不安がある場合には、大手メーカーでキャリアをスタートするのがおすすめです。業務が細分化されているためそこまでの語学力は求められないことが多く、経験を積んでいくことでこの分野の専門用語に慣れていきます。入社後に英語力を身に付けていく方も多くいらっしゃいますので、少しずつ自己研鑽していかれても良いと思います。

  • 緻密さ:品質は、トラブルが発生したときには敏速な対応が求められる仕事です。そのためには、日頃からコツコツとデータを収集しそれを詳細に分析することが出来る方、そうした細かい作業を正確にやることが好きな方に向いている職種と言えます。

  • 論理的:問題の原因究明・解決のためには、データ分析に基づいた論理的な見解を述べられる方、多面的に物事を捉えて何が問題なのかを特定出来る方でなければいけません。

  • 交渉力:意外かもしれませんが、交渉力も品質職には必要なスキルです。品質職にとってクオリティーの維持が最も優先すべき事項ではありますが、社内外の関係者からは低価格で迅速な納品を求められる部署でもあります。いかにそこのバランスを取って社内外からの要望に応えられるか、関係者に理解を促す交渉力も必要となります。またクレーム対応の際にも、顧客に原因と改善策を納得してもらう際に交渉力が求められる職種です。

Q. 未経験者でも採用されるチャンスはありますか?

もし未経験でこの分野でのキャリアをスタートされたい場合には、

  1. 添付文書に記載された情報の翻訳・修正といったラベリング業務(Labelling)

  2. 製品の欠陥や不具合がどこで発生したのかを調査する苦情処理業務(Complaint Handling)

などのポジションから始めるのが良いでしょう。医療機器業界未経験者でも、製造業での品質管理や研究開発の経験があると有利になります。

この分野では、とにかく「経験」が一番大事な要素となります。まずはジュニアなポジションからスタートして多くの経験を積んでいくこと、取り扱いが難しいハイクラス製品に出来るだけ携わるようキャリアプランを立てることが重要です。

医療機器専門コンサルタントに未経験での転職事情について聞く

Q. 経験者に求められるものは何でしょうか?

前述しましたが、品質の世界では「経験値」が何よりも大事です。では、どう経験値を上げるかと言えば、転職という選択肢が最も効果的であると言えます。

例えばQMSをゼロから構築したことのあるQMS経験が豊富な方、問題発生時に敏速な対応を行い解決に導いた経験のある方、総括、品責、安責の経験者などは希少な人材として引く手あまたであり、年収の上がりも大きくなっています。

シニアレベルの方であれば、転職を重ねることで多くの製品に携わり、経験値の高い即戦力としてキャリアを積んでいることが理想です。一つの会社に長く勤めていると一つのシステムだけを理解しているということになり、他社で応用が利きづらくなります。年収を含めキャリアアップを目指したいということであれば、転職を強くおすすめしたいと思います。

Q. 品質ポジションのキャリアパスを教えてください。

品質ポジションでキャリアを積まれている方にとっては、キャリアの最終目標とも言えるのが総括・品責・安責の三役です。これらの職種に就くためには、医学、薬学、工学など技術系の学位と関連分野での3年以上の経験が必要とされていましたが、自分が要件を満たしているかどうかはPMDAに問い合わせて聞くことも出来ます。

ただ、総括は薬事職が就任することが多いため、品責もしくは安責を目指すのが最も効率的な選択肢でしょう。もし早い段階でどちらかに就きたいということであれば、小規模な企業であれば数名のチーム編成であることが多いため、スペシャリストのレベルでも品責、安責になることも可能です。大手の場合は、ディレクターレベルに昇格すると品責、安責に就くことが多いです。

そして、もし品質職からキャリアチェンジを望むのであれば、やはり小規模な会社に転職し多くの職責を担えるポジションに就いて、ご自身の適性を探っていくのが良いでしょう。

Q. 採用面接でよく聞かれる質問は何ですか?

これまで数多くの品質職の方の転職をサポートしてきましたが、以下が実際に採用面接で問われている質問です。ご自身でアピールにつながる回答が出来るか、チェックしてみてください。

  • QMS構築の知識や経験

  • SOP作成の知識や経験

  • ISO13485やISO9001等のガイドラインの知識

  • グローバルチームと品質問題に取り組んだ経験

  • 海外チームから日本への設計移管経験

  • グローバルチームとのクレーム対応経験

  • 内部監査の指導経験

  • TUV SUD、TUV Rheinlandなどの第三者機関による外部監査のサポート経験

医療機器専門コンサルタントに採用面接について聞く

Q.最近の転職成功事例を教えてください。

近年は多くの品質プロフェッショナルの方々が理想の転職を成功されていますが、以下に最近の転職成功事例をご紹介します。50代などベテラン層であっても、キャリアアップ、年収アップ、やりがいアップなど、ご自身では思っていなかったような新しいキャリアに出会う可能性が数多くあります。ぜひ、エイペックスのような医療機器専門のコンサルタントが在籍する転職エージェントを上手に活用して、理想のキャリアを手に入れてください。

成功事例①

  • 年齢:50代

  • 学歴:文系四年制大学卒

  • 企業:大手外資系メーカー→大手内資系メーカー

  • ポジション:品質システム→グローバルのサプライヤー品質管理

  • 職位:シニアマネージャーレベル

  • 年収:1,400万円→1,650万円

  • 転職成功ポイント:グローバルレベルでのサプライヤーとの協力体制の構築、品質管理、KPI管理という複雑な組織マネジメントを任せられる品質保証全般における経験、プロジェクトマネジメント経験、高いレベルの英語力が決め手となった。複数のメーカーで様々な機能、製品を経験したことが大きい。

成功事例②

  • 年齢:30代

  • 学歴:理系四年制大学卒

  • 企業:CRO→外資系メーカー

  • ポジション:SOP担当→品質保証スペシャリスト

  • 職位:スタッフレベル

  • 年収:500万円→700万円

  • 転職成功のポイント:30代と若く、GCP、監査、品質管理の経験者と非常にポテンシャルの高い方だったこと。メーカーでQMSに特化してキャリアを積んでいきたいというプランも、企業側の希望と合致した。転職後は品質保証のベテラン(採用担当者)の下、QAと製品の知識を得ながらどんどんハンズオン業務の責任を担っていくことが期待されている。

Q. 品質職の魅力は何でしょうか?逆に、ネガティブな側面はありますか?

品質職は、細かいところに目を配りながら業務を組織化・標準化することが好きな方、リバースエンジニアリングで問題の原因を探り解決策を計画することに喜びを感じられる方などにとって適職です。また、単純に製品が品質基準を満たしているかどうかだけでなく、顧客が満足出来る製品を提供するという会社の信頼にも関わる重要な職務を担っていますので、それにどう貢献出来るかを考えながら日々の業務を遂行していくやりがいも感じられるポジションです。

反面、ハイクラス製品の場合は小さなミス一つが人の命に関わってきますので、その重い責任を患者さんや社会のために大事な仕事をしているというやりがいに変換して行くことが大切です。QMS作成をとっても、全ての決断が苦しんでいる患者さんの健康につながっていきますので、大きなプレッシャーを感じながらも広い視野と判断力、落ち着きを持って対応していくことは大変な職務だと思います。

医療機器業界専門のコンサルタントとして、老若男女を問わず多くのプロフェッショナルの方々が次のキャリアで活躍されているのを見るのは非常に光栄なことです。20代から60代の方まで、実に幅広い年代の方々のキャリアについてじっくりとお話をお伺いし、一緒に新しいキャリアについてディスカッションをさせていただいています。

エイペックスでは、医療機器に特化したバイリンガルの人材コンサルタントが、品質ポジションを含め医療機器業界での転職活動を無料でサポートしています。ご希望の条件に合った求人紹介や英文レジュメ添削、英語面接対策から給与交渉などまで、一貫したサポートを提供しています。キャリア相談だけのご利用も可能ですので、ご興味がある方はぜひ一度ご連絡ください!

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