転職における空白期間(ブランク)とは、離職期間を指します。
実際に、離職期間が長いと面接で理由を問われることが一般的なので、「採用担当者にマイナスイメージを持たれるのではないか」と心配になる方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、「空白期間がある(長い)」というだけでマイナス評価になることはありません。大切なのは、理由を問われた際には自信を持って適切に回答することです。伝え方次第でポジティブな印象を面接官に残すことも可能であり、むしろ自己成長や目的意識の高さをアピールする絶好の機会となります。
そこで本記事では、エイペックスのコーディネーターである小林 千紘さんに、面接で空白期間をポジティブに伝えるための具体的な方法と実践的なアドバイスについて解説してもらいました。経歴にブランクがあり面接での伝え方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
面接官はなぜ空白期間について質問するのか?
空白期間はどれくらいなら問題にならない?
転職で空白期間の理由を上手に伝える4つのポイント
空白期間を不利にしない面接での回答例文
面接で空白期間をポジティブに伝えるためのQ&A
空白期間のある転職は、転職エージェントの活用で有利に
面接官はなぜ空白期間について質問するのか?
面接官が空白期間について質問する理由は、「この人は、自社にちゃんと貢献してくれる人なのか?」「長く就業してくれるのか?」といったことを確かめるためです。
面接官が懸念するのは、主に以下の5つの点になります:
1.「仕事への意欲やビジネス感覚が鈍っていないか」
即戦力を求める中途採用においては、ビジネス感覚が鈍っているということは致命傷になり得ます。市場や業界・新しいツールに対する知識不足はもちろん、論理的な意思決定ができるか、ビジネスのスピードに対応できるか、チームメンバーと円滑に業務を進められるかなど、能力が十分に発揮できるかが懸念点となります。
「面接のときにうろたえず論理的に説明できるか」「ビジネスへの意欲をしっかりと面接官に伝えられるか」を確認することで、面接官はあなたのビジネス感覚や意欲を測ろうとしています。
2.「計画性を持って過ごしていたか」
「難関国家資格を取得するため」などの理由で離職した人(特に実際に取得した人)に対しては、企業側は空白期間を好意的に捉えることが多いでしょう。
逆に、「ただなんとなく」「人間関係でもめた」などの理由の場合は、「計画性がない。採用してもまたすぐに辞めるのではないか」とマイナス評価されるでしょう。
3.「長期間採用されない理由がないか」
身の丈に合わない求人や、自分の特性や強みと合わない仕事に応募し続けたりしている人は、自己分析ができていないと判断される可能性があります。
非常に短期間での転職を繰り返す+ブランクが長いという人の場合は、たとえその人が優れたスペックを持っていても、企業側は「雇ってもすぐに辞めてしまうのではないか」と考えるでしょう。
4.「生活環境や健康状態に問題がなく働けるか」
「大きなケガをして入院していた」「介護をしていた」など、体調不良や生活環境上働くのが難しい人は、やはり企業側にとっては採用をためらう原因となり得ます。
ただ同時にこれらの理由は、「前職を辞めた理由+再就職までの空白期間が長くなった理由」として納得してもらいやすいものでもあるため、「現在その状況は解消していること+活躍したいという意欲」が伝われば、懸念が払拭される可能性は高いといえます。
5.「矛盾や嘘はないか」
仕事を進めていくうえでもっとも重要になるのは、信頼関係です。そのため面接官は、面接や履歴書を通して、あなたが信頼に足る人間であるかどうかを確認しようとします。
「ブランクがあると不利になる」のは誰もが知っているため、時に嘘をついてごまかそうとする人もいます。そのため、面接官は「面接での受け答えと、履歴書の経歴に矛盾はないか」を確認しようとすることもよくあります。
面接官は、離職期間が長いことそのものよりも、その理由と答え方を見てあなたの適性を判断します。
上記にある懸念を払拭できる説明ができれば、空白期間があっても内定獲得の可能性は十分にあります。この期間をどう捉え、これからにどう活かしたかという前向きな姿勢が、むしろあなたの人間性や成長意欲をアピールするチャンスとなりますので、下記を読んでしっかりと対策をして面接に臨みましょう。

ワンポイントアドバイス:企業はあなたに「長く働いてもらいたい」、あなたも「継続して働きたい」、その思いは一緒のはずです。その前向きな姿勢を意識して、堂々と伝えることが大切です。
空白期間はどれくらいなら問題にならない?
全国就業実態パネル調査2023の調査によれば、再就職の確率は、ブランク期間が長ければ長いほど低下していきます。 ブランクなしの場合を100%とした場合、3か月以内ならば85%程度、4か月以上半年未満程度ならば80%程度となります。
また、厚生労働省の統計からみると、直前の仕事を辞めてから現在の職に就くまでの期間は、
1位 1か月未満(29.3%)
2位 離職期間なし(ブランクなし)(24.8%)
3位 1か月以上2か月未満(12.5%)
4位 2か月以上4か月未満(10.8%)
となっていて、ほとんどの人が非常に短い期間で転職していることが示されています。
このような状況を踏まえると、面接官・企業側の空白期間に対する考え方は以下のようになるでしょう:
空白期間1か月未満……まず問題とならない
空白期間3か月未満……基本的に問題とならない
空白期間半年未満……企業によっては懸念点となる、履歴書から明確な理由が読み取れない場合は質問される可能性が高い
空白期間半年以上……ほぼ確実に理由を聞かれる、また明確で正当な理由がないとマイナス評価をするところも多くなる
空白期間が長ければ長くなるほど、「なぜ長期間にわたって働けなかったのか(働かなかったのか)」を疑問視される可能性が高くなります。
一般的に3か月未満の空白期間であれば転職活動期間として理解されやすく、特に深く問われることは少ないでしょう。しかし、3か月を超えると「なぜそれだけの期間が必要だったのか」という説明が求められ、6か月以上になると明確な理由と計画性の説明がより重要になります。
出典:JPSED(全国就業実態パネル調査2023)「なぜ転職したいのに転職しないのかー転職の“都市伝説”を検証する―」p13/ 厚生労働省「平成27年転職者実態調査の概況」※令和5年3月3日差し替え p21
転職で空白期間の理由を上手に伝える4つのポイント

転職までの間に空白期間があった場合、マイナスにならないように(あるいはプラスになるように)面接官に伝えるためには、下記の4点を意識すると良いでしょう。
意味のある空白期間だったことを強調する
空白期間が応募先企業のメリットにつながることを強調する
ネガティブな理由はポジティブな表現を使って誠実に答える
自信を持って堂々と答える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 意味のある空白期間だったことを強調する
面接官が最も重要視するのは、「この人は、ブランク期間を有用に過ごせていたか」という点です。
空白期間中に、転職先となる企業に有益な資格を取得するために勉強をしていた、などのような実利面でアピールできる過ごし方をしていたのならば、大きなプラスとなります。ぜひ、履歴書に記載しましょう。空白期間が有用な時間だったと理解してもらえれば、「この人はビジネス感覚が鈍っていない」「怠け癖があるわけではない」とプラスの評価に変換できます。
療養や介護・育児などのようにライフスタイルの変化による無職期間であったとしても、正当な理由があれば「意味のある空白期間だった」と判断されるでしょう。「離職中は父の介護をしていたが、それを通して福祉・介護の大切さを学んだ」などのように、具体的に明確に答えましょう。
健康上の理由による退職~療養の場合は、「ケガにより半年間入院していたが、現在はケガも治り、就業に問題はなくまた活躍したい」などのように、問題がないことを強調します。
「意味のある空白期間」であることを伝える3つのポイント:
専門性を深めたことを強調する:取得した(勉強した)資格(国家資格なら尚良い)や業界・特定スキルのセミナーへの参加回数、読み込んだ専門書籍の内容などを面接時にアピールでする。「ただ参加しただけ」「ただ読んだだけ」にならないよう、「何を学んだのか」を面接時にさりげなく付け加えると良い。ほかにも、「リーダーシップの最新研究を書籍で学んだ」「ESG投資について改めて学び直し、持続可能な業界貢献への道筋を自分で組み立てた」なども、ビジネス感覚が鈍っていないことをアピールする材料になる。
空白期間を経たことでの新たな気づきや価値観の変化を伝える:空白期間があったからこそ学べたこと、再就職にあたりその学びを活かせることをアピールする。「理学療法士として働いていたが、自分自身がケガをして『リハビリを受ける側』の気持ちも分かるようになった。このブランク期間を『患者さんの気持ちを深いところまで理解する機会』と捉え、気づきをノートにまとめた。その気持ちを持って、理学療法士として復職したい」などのようにアピールできる。
本業以外の仕事やボランティアを通して知見を広げたことを伝える:正社員ではなくとも、フリーランスや友人の仕事の手伝い、ボランティアの仕事など、何らかの形で経験を積んでいればそれらを通して学んだ知識や知見を伝えるのも効果的。
こうした説明で、空白期間が「無駄に、意味なく過ごした時間」」ではなく「キャリア構築のために必要だった時間」であったと伝えることができます。面接官に対して、その期間があなたの市場価値を高める投資であったことを論理的に説明できれば、空白期間はむしろ自己成長への意欲や計画性をアピールできるチャンスとなります。
2. 空白期間が応募先企業のメリットにつながることを強調する
変化の激しいビジネス環境において、「学び続ける姿勢」と「その学びを実践に変換する能力」があなたにあることをアピールする必要があります。空白期間中に学んだことを単なる自己研鑽のためではなく、応募先企業で実際に役立てられる能力であるとアピールできると、採用に一歩近づくでしょう。
以下は、空白期間に行ったことと、それが企業にもたらすメリットの例になります。
「どうしてもメリットが思い当たらない」「遊んでいただけだった」「上手く言い換えができない」という場合は、「空白期間を経て、自分はどのように変わったか?」に注目すると答えが見えてきます。
自分が体験したこと、変化したことをきちんと言語化し、それを応募先の業界・企業と結びつけることで採用確率を上げましょう。
3. ネガティブな理由はポジティブな表現を使って誠実に答える
もともとポジティブな理由で前職を辞めた人ならば問題ありませんが、なかにはネガティブな理由で辞めた人もいるでしょう。また、次の就職まで空白期間があったことに関しても、実際にはネガティブな理由によるところが大きいという人も少なくはありません。
ただ、ブランクが空いたことをそのままネガティブな言い方で面接官に伝えると、良くない印象を与えることになります。ネガティブな理由はポジティブな表現を使って伝えるよう言い換えの練習をしておきましょう。
【ネガティブな原因をポジティブな理由へ変換する具体例】
面接官が知りたいのは、空白期間がこれからの業務に支障にならないかどうかです。支障にならないことを証明できる回答を用意し、仕事への意欲が高いことを伝えましょう。

ワンポイントアドバイス:例えば「人間関係がこじれてしまった」など伝え方を誤ると、面接官に懸念を持たれてしまいます。「コミュニケーションについて価値観の違いがあった」など、事実を客観的に表現し、この経験から得た学びを活かして今後どのように対応するのかを伝えましょう。思わずネガティブな理由を強調してしまい、不合格になってしまうケースも少なくありません。
4. 自信を持って堂々と答える
空白期間があったこと自体を隠すことはできません。また面接官や採用担当者の多くは、同じような状況にある求職者と面接をしたことがあると思われます。
空白期間があることに対し過度に委縮する必要はありません。言い訳をしたり隠したりすることなく、堂々と受け答えをしましょう。
面接で空白期間のことを聞かれた場合には、他のことを聞かれたときと同じように、
はっきりと明瞭な声で
やや大きめにゆっくりと
アイコンタクトを取りながら
自信を持って話す
ことが非常に重要です。
大切なのは、「どう答えるのが、自分にとって最も納得のいく理由か」ということです。自分自身が納得していないと、自信のない態度が回答の仕方にも表れてしまい、面接官から信頼を得るのが難しくなります。
空白期間が自分にとって必要であったこと、また空白期間で学んだこと・体験したことが応募先の企業にとってプラスになることを誠実に回答しましょう。
空白期間を不利にしない面接での回答例文
ここからは、ブランク期間について面接で質問を受けた際の具体的な回答例をご紹介しましょう。上記のポイントのように、
意味のある空白期間だったこと
空白期間の学びが企業のメリットになること
ポジティブな表現であること
自信を持って答えること
を心掛けながら、自分の言葉で答えを考えてみましょう。
1. 内定が決まらず転職活動が長引いてしまった場合
【回答例①】システムエンジニア(SE)→ ITコンサルタント
「前職ではシステムエンジニアとして、お客様の要望に応えられるシステム構築を目指して業務を行っていました。大変やりがいのある仕事でしたが、離職期間中に改めて自己分析を行いキュリアの見つめ直しを行った結果、自分は顧客の課題を解決することによりやりがいを感じるということでした。技術面だけでなく顧客のビジネス課題解決のために、より上流工程に携わる立場になりたいと考えるようになり、ITコンサルタントの道に進もうと決めました。
転職活動の途中で方向転換したため時間がかかってしまいましたが、この期間にITやコンサルティングについて向き合えたのは自分にとって非常にプラスとなりました。今後は今までのスキルを活かしながら、クライアントが抱える真の課題を掘り起こし、最適なソリューションが提案できるコンサルタントとして成長していきたいと考えています。」【回答例②】夜間や休日出勤ありのテクニカルサービス →平日日中勤務がメインのテクニカルサービス
「転職については離職の半年ほど前から考えていましたが、前職は不規則な勤務体系で夜間や休日の出勤も多いため転職活動がほとんど進められず、退職後に本格的に取り組むことになり時間がかかってしまいました。
在職中に業界研究をしていたなかで御社の製品について学び、転職活動をしていくなかで携わりたい気持ちがより強くなりました。今後はより安定した勤務体系の中で、自身の強みを活かして継続的に高いパフォーマンスを発揮し、御社の最先端技術のエキスパートとしてスキルを磨いて顧客満足に貢献したいと思っています。」

ワンポイントアドバイス:新しい企業で何をしたいのか、空白期間が今後のキャリアパスを見つめ直す貴重な機会となり、意味のあるブランクであったことを証明することが大事です。
2. 体調不良で空白期間が長くなった場合
【回答例】重度の喘息で入院~退職したWEBデザイナー →服薬でコントロール可、WEBデザイナー
「幼少期から患っていた喘息が悪化して1か月間入院することになり、その後も症状が改善するまで転職活動ができませんでしたが、主治医から『服薬コントロールが上手くいっているため以前と同じように働ける』と言われ、転職活動を開始しました。現在は朝夜の服薬で症状を完全にコントロールできているため、残業も含め勤務に支障はありません。生きがいであったWEBデザインの仕事をしたく、特に前職でよく手掛けていたBtoCの広告デザインを数多く手掛けている貴社に応募しました。」

ワンポイントアドバイス:病気やケガなど健康面から離職期間が長くなった場合、現在の状況とともに、仕事に支障がなく意欲も高いこと、配慮してもらわなければならないことがあればその点も合わせて伝えます。療養期間中にスキルアップや勉強ができたのであれば、プラスして伝えましょう。
3. 育児や介護を優先して離職していた場合
【回答例】CROのCRA(臨床開発モニター)→CROの内勤CRA
「妊娠を機に、子供が小学校に上がるまでは子育てに集中したいと考えて前職を退職しました。子どもが小学校に入学したため、もう一度CRAとしてキャリアを構築していきたいと考え、グローバル治験に強みを持つ貴社に応募しました。今回は家庭との両立のため内勤ポジションに応募させていただきましたが、将来的には外部就労型のポジションにもチャレンジし、離職期間中に勉強していた英語力も活用しながらより幅広い業務に携わっていきたいと考えています。」

ワンポイントアドバイス:家事や介護で離職していた場合、「離職期間中も、その仕事に就くために勉強していたこと」、「今もビジネス感覚が鈍っていないこと」を伝えることが大切です。
4. 資格取得や留学で離職していた場合
【回答例】行政書士 →司法書士(資格取得後、ダブルライセンス)
「大学4年生のときに行政書士の資格を取得し、そのまま行政書士事務所に20年以上奉職していました。行政書士としての仕事も非常にやりがいがあったのですが、45歳を前に『顧客に対して、ワンストップの法的サービスを提供したい』『法の専門家としてよりスキルアップしたい』と考え、司法書士の資格取得を志しました。
1年間を資格取得のための勉強期間として設定し、先日司法書士資格の合格の報を受け、行政書士と司法書士のダブルライセンスを所持することになりました。今後は行政書士の仕事もできる司法書士として活躍していきたく、ワンストップで企業法務を幅広く取り扱う御社を志望しました。」

ワンポイントアドバイス:資格取得や留学のためのブランクの場合、「どんな資格を取得したか」「何を学んだか」を伝え、TOEICなどのように客観的な指標を提示できるようにしておきます。また、「なぜその資格・留学を志したのか」もしっかりと示す必要があります。
5. 知人の仕事の手伝いやアルバイトなどフリーで仕事をしていた場合
【回答例】雑誌編集者 →フリーの編集者 →さらに雑誌の編集者へ
「この2年間は、前職の経験を活かしてフリーの編集者として仕事をしていました。もともと紙媒体の仕事が多かったのですが、フリーランスになってからはWEBメディアを中心とした編集業務を多く行ってきました。前職ではほかの編集者とも共同で業務にあたりコミュニケーションの大切さを学び、フリーランスとなってからは一人で多くのライターさんを取りまとめるスキルを学びました。前職で培った協働作業能力と、フリーランス時代に培ったマルチタスク能力を活かせる御社にて、長く活躍できる人材として働いていきたいと考えております。」

ワンポイントアドバイス:フリーランス時代と会社員時代に得られた能力の違いを述べ、「2つの経験があったからこそ、より役に立てる」とアピールします。フリーランス・アルバイト・知人の手伝いしか経験していない場合は、その働き方の過程で何を学んだかを述べたうえで、コミュニケーション力に難がないことを話すと良いでしょう。 また、どうしてもこのような経歴の人は会社員経験のある人に比べて責任感の面で不安を抱かれやすいものです。「アルバイトではあったが、20人の従業員の指導者であり、手当もあった」などのように責任のある立場であったことを具体的にアピールします。
6. リフレッシュに時間を使っていた場合
【回答例】内資系コンシューマー企業の営業職 →外資系コンシューマー企業の営業職
「前職では国内市場をメインとする内資系コンシューマー企業にて、営業職をしていました。コロナの影響もあり、『今後は営業職のかたちも変わっていくかもしれない』『日本のみならず、海外との取引もできる営業職になりたい』と考えました。私は学生時代は英文科で学んできましたが、『海外と取引をするために必要なのは、語学力だけではなくその土地の風土や気質、文化性に触れることである』と改めて考えるにいたり、中国とアメリカにそれぞれ3か月間滞在しました。3か月間とはいえ、実際にそこで住んでみることで初めて分かることも多く、大変勉強になりました。
かつての専門は英語でしたが、中国のパワフルさやスピード感に感銘を受けて、中国をメインの取引相手として活躍される御社に応募しました。前職で培った営業能力を、今度は中国の文化性を踏まえたうえで発揮していき、御社の製品を広めていきたいと考えています。」

ワンポイントアドバイス:何のための空白期間だったのか、その期間によって何を得たのか、今一度整理をして話すことが大事です。
面接で空白期間をポジティブに伝えるためのQ&A

Q: 複数の空白期間がある場合、どのように説明すれば良いですか?
A. 複数回の空白期間がある場合は、「理想のキャリアを構築するために、段階的なプロセスを踏んでいた」とすると良いでしょう。
たとえば、「大学ではマーケティングを専攻し、それを実践の場で初めて生かすことができたのが前々職の職場でした。より深くマーケティングを学びたいと考え、デジタルマーケティングを学ぶために大学の社会人講座に通い、その知識を生かして前職でデジタルマーケティングスペシャリストとして経験を積みました。前職時代にコロナによって働き方や世の中の市場が大きく変わったため、離職後は今後求められるマーケティングの方法論について学び、さまざまなアプローチ法からのマーケティング戦略を組み立てられるようになりました」などのようにします。
面接官が最も懸念するのは「さぼり癖がついたために、離職を繰り返しているのではないか」というものです。各空白期間を、「学習や成長のために必要だった意図的なブランク」として位置づけ、計画的なキャリア構築であることをアピールしましょう。
特に異業種・異業界への転職を複数回経験している場合は、「多様な業種・業界を見てきたからこそ得られた視点」から説明するとポジティブな印象を与えられます。
Q: 空白期間の理由は、履歴書にも書くべきですか?
A. 誰もが納得できる理由ならば書く、そうでないなら無理に書く必要はありません。
空白期間の理由が、ケガや出産などによる「誰もが納得できる理由」だった場合は、職歴欄にそれを記すことで採用担当者が納得して選考を進められます。
――――
令和元年 ケガにより退職
※労働災害として認定、1年間入院・自宅療養・リハビリを行い、現在は完全に回復したため仕事に支障はありません。
――――
特に理由がない、もしくは書きにくい理由(人間関係がこじれたなど)の場合は、職歴欄には理由を記さず、下記のようにします。
――――
平成28年 株式会社●●××部に配属
令和元年 一身上の都合により退職
――――
面接では、口頭でかなり細かくブランクの理由を聞かれることがあります。しかし、履歴書の場合は紙面のスペースの都合もありますからブランクの理由を事細かに説明することは避け、「ブランク期間に何を学んだか」「それを貴社でどのように活かせると考えているか」をアピールするようにします。

ワンポイントアドバイス:ブランク理由は具体的に面接で聞かれるため、正直かつ具体的に説明できる準備をしておきましょう。
Q: 空白期間の理由で虚偽の説明をしたらばれますか?
A. 嘘や虚偽の説明は最悪の選択肢であり、厳禁です。
雇用保険の加入履歴や年金手帳、源泉徴収票等で虚偽の経歴は後に判明します。 虚偽の説明をして採用にされた場合、バレた時点で内定が取り消しになる可能性が高いといえます。また、入社後に減給などの処分が下されることがあります。ちなみに悪質性の高い嘘だと判断された場合は、懲戒解雇に至ることすらあります。
Q: 空白期間が3年以上なのですが、転職で不利になりますか?
A. 不利にはなりますが、伝え方次第でフォローはできます。
一般的に、ブランクが長ければ長いほど転職が成功しにくくなります。特に3年以上の場合は、その傾向が顕著です。病気やケガ、介護や育児などの止むを得ない理由の場合であってもビジネス感覚の衰えなどの面で採用担当者に不安を抱かれやすいものですし、正当な理由がない場合はさらに厳しく見られるでしょう。
ただそれでも、
ブランクの間に有効な資格を取得した
空白期間の理由や過ごし方を、プラスの言い方で相手に伝えられる
ブランクがあることを上回る前職の実績や経歴がある
人材コンサルタントなどの専門家に相談する
などの対策を練ることで、ある程度不利をフォローすることはできます。

ワンポイントアドバイス:長期ブランクがある場合、企業に対してどれだけ安心感を与えられるかが最も大事です。スキル面、職場への適応力、柔軟性、キャリアの再スタートへの意欲など、面接でしっかりとアピールする必要があります。
Q: 空白期間中に起業に失敗した場合、どう伝えるべきですか?
A.「起業で学んだこと」を伝えましょう。
「前職を辞めて起業したが上手くいかず、再度被雇用者の立場で働こうと考えるに至った」という人は、決して少なくはありません。安定志向が強い企業ではこのような立場の人は必ずしも評価されませんが、外資系の企業やベンチャー企業の場合は起業経験のある人に対して高い点数をつける傾向にあります。
これを踏まえたうえで、面接時には「自身が起業によって得たもの、また起業失敗によって得たもの」を、相手の企業にマッチする表現でアピールすると良いでしょう。チャレンジ精神と独立精神のある人、そして失敗から学びそれを具体的に言語化して伝える能力がある人は、多くの企業で評価に値するとされるでしょう。
Q: 面接で空白期間の長さを指摘された場合、どう対応すればよいですか?
A. 相手の言葉を一度受け入れたうえで、空白期間で得たものを伝えましょう。
面接官からやや批判的なニュアンスで空白期間を指摘された場合、戸惑うこともあるでしょう。しかし、面接官は意地悪でそのような態度を取っているのではなく、あなたの「予期せぬ質問やプレッシャーへの対応能力」を測定しています。
たとえば、「ご指摘の通り、半年間と長めの転職活動期間を取りましたが、その間に自分自身のキャリアのみならずライフプランまでじっくり見直すことができました。この空白期間は、自分自身の生き方を模索することはもちろんのこと、社会や業界に対し自身がこれからどのような貢献ができるかを考えるための貴重な時間となりました」などのように応じたうえで、その投資リターンを具体的に説明します。
このような返答をすることで、あなたが冷静に物事に対応する力があること、それを相手に過不足なく伝えるコミュニケーション能力があることをアピールできます。
空白期間のある転職は、転職エージェントの活用で有利に
空白期間は、きちんと回答を準備しポジティブに伝えることによって、むしろあなたのキャリアにおける価値ある時間として印象づけることができます。面接での説明は単なる言い訳ではなく、自己成長とキャリアの方向性を見極めた戦略的な期間として伝えることが大切です。
エイペックスの人材コンサルタントたちは、経歴上のブランクの伝え方について転職希望者の方から多くの質問を受けています。なかには考えすぎの方や、逆に対策は何も必要ないと考える方もいらっしゃるため、転職のプロとして多くのアドバイスを提供してきました。
面接は、ブランクについてだけ説明する場ではありません。あなたの強みや企業への貢献度をアピールする場であり、「御社で活躍したい」という熱意を伝える絶好の機会です。
面接でのアピールの仕方・伝え方、また英語面接での受け答え方など、転職や面接に関する悩みがあれば、ぜひエイペックスの人材コンサルタントにお気軽にご相談ください。キャリアの悩みや転職市場の最新動向についても、専門コンサルタントが丁寧にサポートいたします。
ぜひ無料相談からスタートして、あなたの可能性を最大限に引き出しましょう!