転職活動を成功させるためには、事前に充分な準備をすることが重要です。しかし、実際にどのように準備を進めていけば分からない人も多いのではないのでしょうか。
転職活動の準備作業の中で重要なのが、実は「自己分析」です。本記事では、主に自己分析に関する以下の点について詳しく解説します。
転職における自己分析とは何か
自己分析をするメリット
自己分析の方法で困っている方に試して欲しいこと
何に関して自己分析をするべきか
転職をお考えの方は、効果的な自己分析の方法を学んで転職成功にお役立て下さい。
目次
転職時における自己分析とは?
なぜ自己分析が必要か
自己分析をするメリット
自己分析の方法で困っている方にして欲しいこと
何に関して自己分析をする?自己分析の方法
何に関して自己分析をする?自己分析のコツ
コンサルタントが語る自己分析のポイント
転職時の自己分析の方法に関するQ&A
転職の際の自己分析に困ったら転職エージェントへ
転職時における自己分析とは?
転職時に行う自己分析とは、過去の経験、自分の性格や、新しい仕事に関する理想の環境などを分析して、自分の強み・弱みや価値観を分析し、新たな職種との相性を診断することです。客観的に自分を分析して自分自身に関する理解を深めておくことで、面接時により効果的に自分をアピールすることができ、後悔しない転職活動につながります。
なぜ自己分析が必要か
過去の経験を振り返ったり、将来の目標や、なりたい自分を把握しておくことで、理想とする職種、職場環境が明確に見えてきます。また、自分自身に関する理解が深まり、面接や自己アピールの際にも一貫性がもたらされ、より説得力が増します。
仮に自己分析なしで新しい仕事に就くことができたとしても、後になってミスマッチに気づいて後悔してしまう可能性もあります。自己分析を行うことで転職の軸が明確になり、より自信を持って就職活動が行えます。
自己分析をするメリット

自己分析をするメリットはいくつかあります。
キャリアの方向性が定まり、効率的な転職活動が可能になる
自己分析を行うことで、自分の強みや弱み、持っているスキルや得意とすること、興味のある分野などが浮き彫りになり、向いている仕事、向いていない仕事がはっきりと分かるようになります。
これにより自分が進みたいキャリアの方向性が見え、より戦略的な転職活動が可能になります。年収や肩書きだけで応募して時間を浪費するのではなく、自分に最適なポジションが何なのかを理解したうえで応募ができるため、採用の可能性も高まります。
企業との入社後のミスマッチが減る
自己分析なしで転職活動をすると、仮に新しい仕事に就くことができたとしてもミスマッチにつながる可能性があります。自己分析をしておくことで、職種の適性や性格上の向き・不向きなど様々な要素を明確にすることができるため、ミスマッチが生じる確率が低くなり、入社後も継続して勤務できる可能性が高まります。
自信を持って自己PRができるようになる
自分の強み・弱みや価値観を明確に把握して自己PRや面接の準備をすれば、自信を持って面接に挑むことができます。自己分析をせずに面接の段階まで進んでしまうと、質問によって答えが違ってしまったり自分について理解していない印象を与えてしまう可能性があり、そのあやふやさが採用者にも伝わってしまうでしょう。
自己分析を行うことで、自分とは何か、ライバルとどう違うのかを明確に伝えられる力がつきます。自己PRの際には、過去の具体的なエピソードを交えて自分の経験について説明すれば、より説得力のあるストーリーとして採用担当者の印象に残ります。STARメソッドなども活用しつつ、具体性のある自己PRを作成しましょう
自己分析により自分の価値観や、強み・弱みを浮き彫りにすることで、仕事へのモチベーションが明確になる
目標設定とプランニングが容易になる
自己分析を通じて自分の強みや興味、価値観を理解することができると、そこから自分が達成したい目標やキャリアゴールが見えてくる可能性が高まります。そこから長期的なキャリア目標を設定し、それを達成するためにどんなステップを踏めば良いのか具体的なプランを立てることが可能になります。自己分析を行うと行動が一貫するため、目標達成の確率も高まることが期待されます。
自己分析の方法で困っている方にして欲しいこと

どのように自己分析を行えば良いか分からない人は、まず5W1Hの手法を使って現在や過去の仕事内容についてキャリアの棚卸しを行い、どのような仕事に関わっていたのか、何を達成してきたのかを把握しておきしましょう。
5W1Hで現在・過去の経験を振り返る
まず、過去や現在の仕事の経験から以下の情報を書き出します。
What | 何のサービスや商品に関わっていたか |
When | プロジェクトや施策のスケジュールや納期など |
Where | どの会社で |
Who | どんな人とどんな規模で仕事をしたか |
Why | どんな目的で |
How | どのように貢献したか |
当てはまらない項目がある場合は、すべての情報を書き出す必要はありません。例えば、以下はマーケティングマネージャーとしての経験を書き出した例です。
[Paragraph Text] IT企業をクライアント(who)に持つマーケティング会社(where)で、マーケティングサポート(what)を担当し、キャンペーンを成功させるため(why)に、様々なアイディアを提案しそのうちの一つがクライアントに採用された(How)。 |
書き出した情報をもとにして転職の方向性を見出す
上で書き出した情報をもとにして、自分がどのような職種に転職したいのかを考えてみましょう。
例えば、あなたにとってIT企業と仕事をすることは重要でしょうか?IT業界に特にこだわりがないのであれば、他の業界のマーケティング関連の仕事を探すことを検討してもいいでしょう。
アイディアを提案することが得意で、プロジェクトをリードした経験があるのなら、その特性や経験を活かせる仕事を探しましょう。キャンペーン成果アップの実績があるのであれば、経験として活かせます。
このように見ていくと、5W1Hから書き出した情報を使い、譲れない条件、特にこだわりがない条件、経験・実績のある分野、得意な分野などを浮き彫りにすることができます。譲れない条件が多いほど、目標は明確になります。こだわりのない条件が多いほど選択肢は多くなりますが、その業界で経験不問で採用してくれるのかは、企業次第です。もし気になっている企業がある場合は、一度転職エージェントに該当する求人がないかを確認してみると良いでしょう。
何に関して自己分析をする?自己分析の方法
何に関して自己分析をしていいのか分からない場合は、以下のカテゴリーを軸にして考えてみましょう。
過去の経験と現在保有するスキルをリストアップしてみる
今までのキャリアで積んだ経験や現在保有しているスキル・資格等をリストアップし、自分の強みと成果を評価しましょう。具体的な成果はそのまま自分の強みとして活かすことができますし、将来さらに大きな目標やキャリアアップを達成する自信にもなるでしょう。
現在保有するスキルは、直接業務で活用するものばかりである必要はありません。コミュニケーション力やリーダーシップはどの業界・職種でも重要視されるソフトスキルであり、転職活動ではぜひアピールしたいポイントです。プロジェクトやチームをマネジメントした経験やスキル、困難な状況でも柔軟に対応した経験や能力(レジリエンス)、国籍・背景の違うチームと協働できる異文化環境への対応力などがあれば、自分の強みとしてアピールするのも効果的です。
性格・価値観について考えてみる
転職をする際には、職種だけでなく性格や価値観について考えることも重要です。一人でコツコツとのんびり作業できる職場もあれば、チームのメンバーと協力して早いペースでプロジェクトを進行させるために協調性が求められる職場もあります。当然、すべての職場がこのようにはっきりと分類されるわけではありませんが、自分がどこに位置するのか、どのような仕事であれば楽しめるのかを理解しておけば、どんな職場が向いているかを判断するのに役立ちます。
価値観とは、仕事をする上で何を重視するかということです。以下のように、人が優先する仕事の条件は異なります。
福利厚生、昇給、昇進の有無
過去の自分のスキルを活かせるか
仕事とプライベートの両立ができるか
成長できる職場か
誰もがこれらの価値観に関して優先順位があるでしょう。例えば、あなたは高収入かつ自分のスキルを最大限に活かせる仕事を希望しているかもしれません。しかし、多くの職場では必ずしも両方の条件を満たすことができるわけではありません。条件の優先順位をつけておき、譲れない条件を明確にしておきましょう。
理想的な仕事場の環境について考えてみる

あなたの理想の仕事場はどのような環境でしょうか?以下のような具体的に優先したい条件や譲れない条件はありますか?
職場の雰囲気(開放的な職場、落ち着いた職場、etc.)
国際的な環境
年齢、性別
すべての条件を満たす職場を見つけるのは難しいかもしれません。絶対に譲れない条件、ある程度フレキシブルに対応できる条件などを明確にしておき、できるだけ理想に近い環境を見つけたいものです。企業の雰囲気などは、求人情報を見るだけでは分からないことが多いため、その企業で働いている知人や転職エージェントなどを経由して情報を手に入れておくと良いでしょう。
エイペックスでは、過去15年に渡って多くの企業に候補者を紹介してきた実績があり、各業界の企業の内部事情や社風なども把握しています。職場環境を知りたい企業があれば、ぜひ一度ご相談ください。
今後の目標について考えてみる
自分のスキルや強み、性格、価値観に合った職場環境が見えてきたところで、今後の目標や達成したいことを考えてみましょう。理想とするキャリア像が見えてきたら、それに向けたステップを計画することができます。
転職活動では多くの情報に触れることになるため、目先のメリットを優先したり目的がぶれたりしがちですが、しっかりと自己分析を行い目標とプロセスを明確にすることで一貫した行動を取ることができます。
何に関して自己分析をする?自己分析のコツ
具体的な内容を記載する
過去の仕事の経験を通して自分の長所・短所を面接で説明する場合、具体的な例やエピソードを交えて説明した方が説得力があります。
例えば自分の短所を説明するのであれば、以前の職場で犯してしまったミスを例に挙げて説明してから、「それ以来改善するように心がけている」、というような説明をした方が、単に「自分の短所は〜だから気をつけたい」というようなうな漠然とした説明よりも説得力があります。
マイナスな言葉はできる限りプラスな表現に言い換える
過去の仕事の経験は、必ずしもポジティブなことばかりではないはずです。今後経験を積んでいきたい職種や業界とはあまり関係のないキャリアも存在するかもしれません。大切なことは、それをネガティブな側面としてとらえず、自分の弱みやミスについての質問にも率直に答えられるよう準備を怠らないようにしておくことです。
自己アピールの際には、ネガティブな点にはできるだけポジティブな要素を追加して、自分の弱みをどのように改善・修正できるのかについて説明しましょう。自分の弱点をこのような観点で説明できると、自分をきちんと理解している印象を与えることができます。
他己分析も視野に入れる
他己分析とは、自分の性格、長所・短所を他人に判断してもらうことです。自分自身で診断する自己分析とは違い、他人に見てもらうため、客観的な意見を聞くことができます。
自己アピールの際には、ネガティブな点はできるだけポジティブな要素を追加して、自分の弱みをどのように改善・修正できるのかについて説明すると良い
コンサルタントが語る自己分析のポイント
Q. 自己分析を始める最適なタイミングはいつですか?
我妻 澪(製薬チーム プリンシパルコンサルタント):
「自己分析は、転職活動を始める前に行う事をお勧めします。転職サイトには膨大な情報があるため、あらかじめ自己分析によって自分が求めるポジションのイメージを把握しておかないと、マッチしない求人の情報にとらわれたりして時間を無駄に消費してしまいます。効率的に転職活動を進めるためにも、まずは自己分析に時間を使いましょう。」
アンドリュー・アライタ(製薬チーム シニアコンサルタント):
「本来であれば、自己分析は就職活動をしていないときに行うのが理想です。多くの方は、求人応募にあたり面接日程が迫るなかで急いで自分の長所、短所、実績その他をまとめようとしますが、それには課題があります。締切がない環境で、「自分はどこが正しかったのか?どこかに間違いがあったのか」ということだけでなく、『将来のキャリアに何を求めているのか?』といった振り返りを月1回、四半期ごと、もしくは年1回行いましょう。自分がどのように成長したのか、何を達成したのか、自分のキャリアパスに満足しているのかの確認を定期的に行うことで、次のステップに進もうと決めたときにはすでに自分のキャリアストーリーをしっかりと把握していることになるでしょう。」
Q. その他自己分析を行うときのアドバイスはありますか?
我妻 澪(製薬チーム プリンシパルコンサルタント):
「応募先が決まっていなくても、職務経歴書を作成したりアップデートしたりすることで、自分の経験やスキルが整理できて自己分析がしやすくなるかもしれません。また、自分では判断が難しい強みや弱みに関しては、同僚などに相談してみるのも良い方法です。意外な気付きが得られるかもしれませんよ。」
アンドリュー・アライタ(製薬チーム シニアコンサルタント):
「過去の職務をただ列挙するのではなく、同僚や顧客、利害関係者にどのような影響を与えたかを振り返る観点で、主なプロジェクトや学んだことを書き出してみましょう。信頼できる同僚に率直なフィードバックを求めることで、より深い洞察が得られることもあります。成功したプロジェクトや業務改善プロセスなどの成果をリストアップしておくと、面接でも役に立ちます。特にログのようなかたちで成果を残しておくと、より具体的に内省できるでしょう。 」
Q. 自己分析を行う際特に気を付けるべき点はありますか?
我妻 澪(製薬チーム プリンシパルコンサルタント) :
「大きく3つあります。
①目標を明確にする:自分が目指すキャリアの方向性をはっきりさせることが大切です。3〜5年後にどのような姿でありたいのか、どんな役割や業界が自分の目標に合っているのかを考えることで、自己分析の軸が定まります。
②スキルと実績を見直す:自分がこれまでに身につけたスキルや達成した実績をリストアップしましょう。その際、特に他の業界や職種でも活かせる『汎用スキル』に注目することが重要です。これにより、自分の価値を客観的に理解しやすくなります。
③自分のモチベーションを理解する:何が自分を動かしているのかを見極めることも重要です。金銭的な報酬、キャリアの成長、ワークライフバランス、やりがいなど、優先順位を整理しましょう。自分のモチベーションを知ることで、次のキャリアの選択がより明確になります。」
アンドリュー・アライタ(製薬チーム シニアコンサルタント):
「あなたの長所と短所は持続的なものではありません。短所は改善されたのか、まだ努力が必要かを定期的に評価しましょう。また、会社の社風やチームのサポート、リソースといった外的要因があなたの成功や伸び悩みに影響を与えることも忘れないでください。より高い役職を目指すといった目先の目標と、5年後・10年後のビジョンのバランスを取ることも忘れずに。『長期的なキャリア目標は変わったのか』、『今のポジションはそれに合っているのか』を自問してみましょう。 」
Q. 自己分析を行う際に求職者がやりがちな間違いはありますか?
我妻 澪(製薬チーム プリンシパルコンサルタント) :
「自己分析の結果にとらわれすぎないようにしましょう。転職活動を進める中で意外な求人に興味を持ったり、予想外の企業で面接が成功したりすることもあります。自己分析の結果に沿っていないからといってすぐに検討から除外せず、興味の向く方向に素直に進むことも大切です。自己分析はあくまで目安として活用しましょう。」
アンドリュー・アライタ(製薬チーム シニアコンサルタント) :
「短所にばかり目を向けて長所を見落としてしまうこと
『何が』起こったかに終始し、『なぜ』起こったかを説明しないこと
『私は人とのコミュニケーションが得意です』というような漠然とした表現を使うこと
これらはよくある間違いです。
自己分析は1回で終わるものではなく、常にアップデートすることが大切です。そうすることで、新しいキャリアとの出会いが巡ってきたときに自信を持って臨むことができます。自己分析をしっかりと実践している人は、面接で想定外の質問がきてもすぐに簡潔に答えることができますが、そうでない人は具体的な内容を思い出すのに手間取り、準備不足が露呈することになります。」
Q. 自己分析を行う方へのメッセージはありますか?
アンドリュー・アライタ(製薬チーム シニアコンサルタント) :
「キャリアに備えるというのは、単に履歴書をアップデートしたり、直前になって面接練習をしたりすることではありません。本当の準備は、自分自身を知り 、動機を理解し、長所と短所の両方について現実的に考えるという継続的な取り組みから生まれます。自己分析が習慣になれば、就職活動や面接、人脈作りを行うときにずっとストレスなく行えるというメリットが得られます。自己分析は仕事上の成功のための長期的な投資であり、新たなチャンスに対してより自信を持って臨むことができ、あなたのストーリーに説得力をもたらす手段となるでしょう。」
転職時の自己分析の方法に関するQ&A
Q. 転職活動の自己分析にはどれくらい時間が必要ですか?
自己分析に必要な時間は個人の状況により違います。自己分析に数時間かけるのか、数週間かけるのかは、いつまでに新しい仕事を見つけたいのかによります。転職活動にどれ位の月日をかけたいのか、明確な目標がある場合は逆算して、必要な日程までに自己分析の結果を明確にしておくと転職活動がスムーズに進むでしょう。転職の際の一般的なスケジュールは別記事も参照ください。
Q. 自己分析なしで転職活動をしたらどうなりますか?
自己分析なしで転職活動を行うと、目標があやふやになったり転職の軸がぶれたりして、以下のようなデメリットが生じます。
仕事に対する興味やモチベーションがきちんと定まらない。
転職先とのミスマッチが増える。
自分の強み・弱みを明確に把握できずキャリアの方向性が定まらない。
自己PR・面接で自信を持って自分をアピールできない。
自分の価値観にマッチした職場環境が見つけられない。
長期的なキャリア目標が設定しづらい。
転職の際の自己分析に困ったら転職エージェントへ

本記事では、転職を成功させるための自己分析の方法についてご紹介しました。
転職を成功させるために、今回ご紹介したコツを踏まえて転職のための自己分析を行なってみましょう。自分自身についての理解が深まり、多くのメリットが得られることは間違いありません。
エイペックスでは外資系企業への転職を中心に、キャリア相談や自己分析を含む転職準備から内定獲得まで、経験豊富なバイリンガルのコンサルタントが一貫したサポートを提供しています。あなたの希望に沿った転職活動を全面的にバックアップできますので、現在転職活動で悩んでいる方はぜひ一度ご相談ください。