企業内弁護士は、企業に所属し、事業活動に伴う法的リスクの管理や新規事業の立ち上げ支援などを担う弁護士のことを指します。近年では、経営判断を法務面から支える「経営パートナー」としての役割も期待されています。
法律事務所とは異なり、企業内弁護士は事業の当事者としてビジネスに深く関与できる点が特徴であり、ワークライフバランスを重視しながら長期的なキャリアを築きたい弁護士にとって人気の選択肢となっています。
本記事では、企業法務・国際法務で豊富な経験を持つ弁護士が、企業内弁護士の仕事内容や年収相場、キャリアパス、法律事務所との違いに加え、外資系・日系企業の特徴や転職成功のポイントについて専門的な視点から解説します。
要点サマリー(30秒)
企業内弁護士とは、特定の企業に所属し、契約審査やコンプライアンス対応、M&A支援などを通じて、事業活動における法的リスク管理と意思決定を担う弁護士です
法律事務所勤務と比べて、当事者として経営判断に関与できる点や、ワークライフバランス・福利厚生が整いやすい点が特徴です
年収は法律事務所より低い傾向にあるものの、安定した給与体系のもと長期的なキャリア形成が可能で、高い納得感をもって働けます
企業法務・国際法務・ガバナンスなどの実務経験を通じて、将来的には法務責任者やCLO、経営企画などへのキャリアパスも期待できます
求人の公開数が限られる分野であるため、企業内弁護士の転職を得意とする専門エージェントの活用が有効です
目次
企業内弁護士とは?仕事内容と役割をわかりやすく解説
企業内弁護士と法律事務所の弁護士は何が違う?
企業内弁護士の働き方|法律事務所との違い
企業内弁護士の年収相場
企業内弁護士のキャリアパス
法律事務所から企業内弁護士の年収の変動事例
企業内弁護士への転職はおすすめ?メリット・デメリットを解説
企業内弁護士に向いている人・向いていない人の特徴
外資系企業と日系企業の企業内弁護士は何が違う?
企業内弁護士に求められる経験・スキル
企業内弁護士の転職市場は活況?最新動向を解説
外資系企業の企業内弁護士の採用プロセスと転職難易度
企業内弁護士になるには?転職成功の4つのポイント
企業内弁護士への転職に最適なタイミングはいつか?
企業内弁護士への転職で失敗するケース
企業内弁護士に関するよくある質問
企業内弁護士の転職はエイペックスのサービスを活用
企業内弁護士とは?仕事内容と役割をわかりやすく解説
企業内弁護士(インハウスローヤー)とは、企業に所属し、契約審査やコンプライアンス対応、M&A支援などを通じて事業活動の法的リスクを管理し、経営判断を支える弁護士のことです。法律事務所に所属する弁護士とは異なり、企業の内部から事業の意思決定を法的側面で支援する役割を担います。
以前は、企業法務は外部の弁護士(法律事務所)へ業務を委託する形が一般的でした。それが近年、企業活動に伴う法的リスクが高度化・複雑化してきたことから、社内に法務部やコンプライアンス部を設置し、スピード感を持って変化に対応できるよう企業内弁護士を採用するようになりました。
こうした背景を受け、法務の専門知識に加え、ビジネスへの理解や業界知見を備えた企業内弁護士が、企業の成長を支える重要な存在として注目されているのです。
企業内弁護士に求められる3つの役割
現代の企業内弁護士に求められる役割は、以前の「法的チェック」だけでなく、企業の持続的な成長を「守り」と「攻め」の両面から支えることにあります。
1. 組織の健全性を保つ「守り手」としての役割
企業内弁護士は、法令やコンプライアンスの遵守、内部統制の整備を通じて企業を法的リスクから守る役割を担います。不祥事や法令違反を未然に防ぐだけでなく、トラブル発生時には迅速に事実関係を調査し、被害を最小限に抑えるための判断を行い経営陣に助言します。法律の専門家として、組織全体に適切な倫理観を浸透させる重要な役割を果たします。
2. 事業を前進させる「実務の導き手」としての役割
2つ目として、新規事業の立ち上げや複雑な契約交渉において、法的根拠に基づいた解決策を提示し、ビジネスを円滑に推進する役割も求められます。単に「できない」と否定するのではなく、自社のビジネスモデルを深く理解したうえで法令調査や検討を行い、法的に実現可能な代替案(スキーム)を提示します。現場の担当者と対話を重ね、プロジェクトを共に前進させる伴走者としての役割が求められます。
3. 経営上の意思決定を支える「攻めの戦略パートナー」としての役割
3つ目として、M&Aやグローバル展開、新規事業への参入といった重要な局面に際し、経営陣に経営戦略に直結する法的アドバイスを提供する役割を担います。法改正や社会情勢の変化に関する最新情報をタイムリーに収集・分析・共有し、自社の将来的な影響を踏まえて経営陣に対し方針変更や事業戦略の見直しを助言することで、意思決定の質を高めます。経営視点を持ちながら、法的リスクとリターンを総合的に判断し、企業価値の最大化に貢献することが求められます。
企業内弁護士の仕事内容
企業内弁護士の仕事内容は、法律の専門知識をビジネスの現場に落とし込み、企業の多種多様な課題を解決することにあります。法律事務所のように特定分野に特化するのではなく、ひとつの組織において以下のような幅広い実務に携わります。
1. 契約書の作成・審査(契約法務)
企業内弁護士の仕事の大きな割合を占めるのが、契約書の作成・審査です。売買契約や業務委託契約、秘密保持契約(NDA)など、日々発生するさまざまな契約書の作成やリーガルチェックを行います。自社に不利な条項やマーケットスタンダードから逸脱した部分を指摘するだけでなく、円滑にビジネスが進むよう取引先との条件交渉の支援も行います。
多くの大手企業では自社雛形やレビュースタンダードを持っていることが多く、自社にとって譲歩できない条項が明確に定められていることがあります。外資系企業にこの傾向が強く、弁護士は日本の慣例と本社スタンダードの間でタフな交渉に関与することもあります。
2. 新規事業・既存ビジネスの法的検討・相談
新規事業の立ち上げに際しては、既存の法律やガイドラインに抵触しないかや、必要な許認可やライセンスの有無などをリサーチします。文献調査に加え、必要に応じて所轄官公庁や自治体への問い合わせ・相談を行い、法的な障壁がある場合には代替スキームを提示するなど、企画段階から事業の実現可能性を高める役割を担います。
また、契約締結後の既存ビジネスに関しても、現場の担当者からの相談に対応しながら運用上の法的アドバイスを行ったり、プロジェクトの進捗に応じたエグジット対応、相手方への請求、再交渉や修正契約書の作成などにも関与するケースがあります。
※ビジネスの上流〜実行フェーズに関与する仕事を担いたい場合は、トランザクション法務の具体的な役割も理解しておくと良いでしょう。
3. M&A・組織再編のサポート
M&Aや事業譲渡、合併、会社分割などの組織再編の際には、対象企業や再編対象部門が抱える潜在的な法的リスクを調査する「法的デューデリジェンス」が不可欠です。実務上の調査自体は外部の法律事務所へ委託するケースが一般的ですが、企業内弁護士はその調査結果を踏まえ、自社としてのリスク許容度や事業戦略との整合性を考慮しながら、買収可否や再編スキームの妥当性、対応方針の検討を行います。
また、グループ内再編や事業再編に伴う会社分割・吸収合併・株式交換等のスキーム設計にも関与し、経営戦略の実現に向けた法的実行可能性を担保する役割を担います。さらに、最終契約書(SPA等)の作成や条項交渉にも主体的に関与し、取引実行後の法的トラブルを未然に防ぎます。
4. コーポレートガバナンス・株主総会対応
株主総会や取締役会が法令に則って適切に運営されるよう、手続面・実務面の双方からサポートするのも企業内弁護士の仕事です。招集通知や議案内容の法的チェック、議事録の作成支援、会社法に基づいた意思決定プロセスの整備などを行い、組織全体のガバナンス体制の強化に寄与します。
株主総会や取締役会の運営に手続上の瑕疵があった場合、決議そのものが取消しや無効とされるリスクがあるため、法的観点からの正確な対応が不可欠です。企業内弁護士は、こうした重要な機関運営において適法性を担保し、経営判断の正当性と透明性を支える役割を担います。
※コーポレートガバナンスの観点では、内部統制・内部監査部門の役割との違いも理解しておく必要があります。
5. コンプライアンス体制の構築・運用
近年は、社会的なコンプライアンスへの関心の高まりや企業のブランド力強化のため、大企業やグローバル企業では法務とコンプライアンスの機能を分け、専門的にコンプライアンス部門を運営することが多くあります。
コンプライアンスを担当する企業内弁護士は、法律の遵守だけでなく、社会的規範や企業倫理の順守までを含めた組織全体の仕組みづくりを担当します。具体的には、社内規定の策定や従業員向けのコンプライアンス研修の企画・実施、内部通報窓口の運営、問題発覚時の調査や再発防止策の立案、遵守状況のモニタリングなどの業務を行い、組織に高い倫理観を浸透させることを目的とします。必要に応じて、体制やプロセス・規程のアップデートを行うことも仕事です。
※コンプライアンスに特化したキャリアを目指す場合は、コンプライアンス担当者の仕事内容も確認しておくと良いでしょう。
6. 紛争・訴訟への対応
取引先との契約トラブルや労務問題、知的財産権の侵害など、企業活動において法的紛争が発生した際には、初動対応としての事実関係の整理や社内関係部門へのヒアリングを行い、リスクの全体像を把握します。そのうえで、相手方との交渉方針の策定や、訴訟・仲裁・調停といった各種法的手続の進行管理を担います。
実際の裁判手続きについては外部の法律事務所へ依頼するケースが一般的ですが、社内の窓口として外部弁護士と連携しながら、自社の事業戦略やレピュテーションリスクも踏まえた最適な解決策を検討します。特に、訴訟上の優位性を確保するための証拠収集・証拠書類の作成、主張立証方針の整理など、弁護士としての専門的知見を活かした実務対応が求められ、紛争の早期解決および損失の最小化に向けた重要な役割を果たします。
7. 知的財産の管理・保護
特許や商標・著作権といった知的財産を適切に保護し、企業の競争優位性につなげるための戦略立案を担います。新規事業の立ち上げや製品・サービスの開発段階においては、他社の権利を侵害していないかを事前に調査するクリアランスチェックを行い、将来的な紛争リスクを未然に防止します。
また、自社が保有する知的財産については、出願手続や権利更新の管理に加え、模倣品や不正使用への対応などを通じてブランド価値の毀損を防ぐ役割も担います。さらに、ライセンス契約の締結や知的財産の活用方針の策定など、事業収益に直結する観点からのマネジメントも求められます。なお、企業によっては知的財産部門が独立して設置される場合もあり、法務部門と連携しながら知財戦略を推進していく体制が整えられています。
8. ビジネス関連法令のリサーチ・レポート・対応
自社に関連するビジネスの法令改正や新規制定があった際には、内容を精査したうえで自社に求められる対応方針を整理し、社内向けにレポートを作成します。経営への影響が大きいテーマについては外部の法律事務所と連携することもありますが、初動として企業内弁護士自らがリサーチを行い、専門家によるセミナーなども活用しながら必要な情報収集を進めます。
そのうえで、社内規程の改訂や業務フローの見直し、関係部署への周知・研修の実施など、法令改正に伴う具体的な実務対応を主導し、組織としてのコンプライアンス体制の整備を推進します。
9. グローバルプロジェクトへの参画
外資系企業や日系グローバル企業の場合、グローバル本社やAPAC地域のリーガルチームと連携し、新製品のローンチやグローバルでのシステム導入といった国際的なプロジェクトにも参画します。
例えば、複数の法域にまたがるデータ保護規制や業法への対応を整理したり、各国の取引先との英文契約のレビュー・交渉を行うなど、プロジェクトの初期段階から法的観点でのリスク評価や実行可能性の検討を担います。日本法人としてのローカル要件と本社のグローバルポリシーの双方を踏まえた調整役として、プロジェクトを円滑に推進する役割が求められます。
企業内弁護士と法律事務所の弁護士は何が違う?
企業内弁護士と法律事務所の弁護士の最大の違いは、事務所勤務が外部の専門家としてクライアントに法的助言を提供するのに対し、企業内弁護士は自社の社員として、「利益を最大化するために法的にどう動くべきか」という主体的かつ長期的な視点で業務に取り組む点です。
下記で、企業内弁護士と法律事務所勤務の違いを、仕事内容、年収、働き方の視点から整理しておきましょう。
・事業の「当事者」として、事業計画の立案段階からプロジェクトに参画。法的リスクの指摘にとどまらず、事業推進のための代替案の提示や、他部門との調整を通じた意思決定支援を行う
・契約審査やガバナンス対応といったルーチン業務に加え、規制対応や新規事業の法的検討、グローバル本社や海外拠点との連携を含む戦略法務の担い手となる
・「外部の専門家」として、不特定多数のクライアントから持ち込まれる個別案件に対応。特定事案に対する高度な法的意見の提供や、訴訟・紛争対応、複雑な契約書の起案などを中心に、案件単位で専門性を発揮する実務が主体となる
・企業の担当者からの相談を起点に動くことが多く、「法律の解釈と適用」に関する専門性を深く追求していく役割
・企業の給与体系に基づき、安定した基本給と賞与が支給されるのが特徴
・法律事務所と比べて年収の最大値は抑えられる傾向にあるものの、退職金や各種手当など福利厚生も含めたトータルでの報酬は安定しており、中長期的な収入の見通しを立てやすい
・ビラブルアワー(請求可能時間)を基準とした評価制度が採用されることが多く、稼働時間や案件獲得数といった成果に収入が直結する傾向
・実力次第で高年収を目指せる一方、個人の評価や景気動向によって収入が変動しやすい
・就業規則に基づいた規則的な勤務が基本。自社が依頼主(クライアント)となる立場のため業務の優先順位を調整しやすく、突発的な対応を除けば、深夜残業や休日出勤を抑えた計画的な働き方が可能
・企業によっては、リモートワークやフレックスタイムも選べる
・「依頼者優先」で業務が進むため、案件の緊急度や納期に応じて深夜・休日対応が求められる
・個人の裁量は大きい一方で、稼働時間が長期化しやすい
企業内弁護士の働き方|法律事務所との違い
最大の違いはワークライフバランス
企業内弁護士と法律事務所勤務の働き方の最大の違いは、「ワークライフバランス」にあるといえます。
法律事務所では、弁護士の多くが雇用契約ではなく業務委託契約のもとで働いています。個人の裁量が大きい一方で、「依頼者対応が優先される」「事務所内での評価が給与に直結する」「周囲の稼働状況のプレッシャーがある」などの理由から、どうしても長時間労働になりやすく、深夜や休日を問わず稼働する不規則な働き方になる傾向があります。
一方、企業内弁護士は企業と雇用関係を結ぶ従業員として勤務するため、就業規則に基づいた労働時間で働くことになります。週休二日制で日中勤務が通常となり、年間休日や有給休暇なども安定して確保できるため、働き方の見通しを立てやすい点がメリットです。大手・中規模企業ではリモートワークやフレックスタイム制度、独自の育休制度を導入するなど、社員の働きやすさに注力する企業も増えており、場合によってはフルリモートが可能なこともあります。
そのため近年では、弁護士としての専門性を活かしながら安定した働き方を実現し、中長期的なキャリアを築く選択肢として、企業内弁護士への転職を希望するケースが増えています。
転職理由で最も多いのは「ワークライフバランスの改善」
エイペックスが賛助団体になっている日本組織内弁護士協会(JILA)の調査では、企業内弁護士の転職の決め手として最も多く挙がったのは、「ワークライフバランスの改善」です。
その次に、「現場に近いところで仕事がしたかったから」、「特定の会社・業界で働きたい」という理由も多く挙がっています。これは「当事者として事業に関わりたい」という意欲の現れであり、法律事務所でアドバイザーとして働くうちに、プレイヤーとしても関わりたいという気持ちが芽生える人が多いことがわかります。
【企業内弁護士が現在の勤務先を選んだ理由(複数回答可)】
企業内弁護士の1日あたりの平均勤務時間は8割が10時間以内
企業内弁護士の一日の平均勤務時間を問うアンケート調査では、8割以上が10時間以内と回答しました。
企業内弁護士は法律事務所に比べて勤務時間が少ないだけでなく、勤務時間が定まっており、急な残業や深夜残業が大幅に少ない傾向です。加えて、事業会社は働き方改革への取り組みにも積極的で、繁忙期を除けば定時付近で退社できる日も多く、心身ともにゆとりを持って働くことが可能でしょう。
【企業内弁護士の一日の平均的な勤務時間】
企業内弁護士の8割は休日勤務がほとんどない
企業内弁護士の休日出勤に関するアンケート調査では、8割近くが休日出勤がほとんど発生しないと答えています。休日出勤が必要になるケースは、M&Aの佳境や緊急の不祥事対応などを除き、極めて限定的です。
法律事務所での勤務の場合、金曜日の夕方に依頼があり週明けの納期を求められることや、平日は相談対応や移動で作業時間が取れず、やむを得ず土日に書面作成を行うことが多くあります。
企業内弁護士は年間休日がしっかりと確保されており、家族との時間や自己研鑽の時間を十分に持つことができる点も大きな魅力でしょう。
【企業内弁護士が土日祝日に出勤する頻度】
以上の実態からわかるとおり、企業内弁護士は法律事務所に比べて「勤務時間と休日を自分の意思でコントロールできる環境」が整っているといえます。雇用契約に基づく規則正しい勤務体系は、心身の健康を維持するだけでなく、長期的な視点でのキャリア形成を可能にします。
法律の専門家として経営上の意思決定にも参画しながら、私生活の充実も諦めたくない人にとって、企業内弁護士は極めて理想的な選択肢といえるでしょう。
出典:日本組織内弁護士協会(JILA)「企業内弁護士に関するアンケート調査集計結果(2025年3月実施)」
企業内弁護士の年収相場
企業内弁護士の年収は、経験年数を積むことで年収2,000万円以上の達成が可能です。
下記は、インハウス弁護士として活躍する413名のエイペックス登録者の方を対象に、各業界ごとに給与額を分析した平均総報酬額のデータです(総報酬額=基本給+目標賞与)。
【業界別:企業内弁護士の平均総報酬額(エイペックス調べ)】
多くの業界で平均年収が2,000万円以上となっており、特に金融関連、不動産・インフラ、医療、IT、商社、コンサル業界が年収が高い傾向にあります。
また、外資系企業やグローバルに展開する日系企業では、基本給に加えてインセンティブや株式報酬が支給されるケースも多く、年収の上昇につながっています。
法律事務所の報酬体系は、獲得案件数による歩合制に近いことが多い一方、企業内弁護士は企業との雇用契約に基づく給与体系(基本給+賞与+福利厚生)となるため、安定した収入を得られる点が特徴です。ワークライフバランスや経営に近い仕事というほかに、「長期的に年収を安定させて働きたい」というニーズに、企業内弁護士は適しているといえます。
企業内弁護士のキャリアパス

企業内弁護士への転職を検討する際、多くの人が気になるのが「転職後、どのようなキャリアを描けるのか」という点です。企業内弁護士は、専門職でありながら企業組織の一員として評価されるため、法務部門内での昇進にとどまらず、経営に近いポジションへとキャリアを広げられる点も特徴です。
ここで、スタッフレベルのインハウスカウンセルとして転職したのち、何年目くらいにどのようなキャリアアップが可能になるのか、企業内弁護士の代表的なキャリアステップをご紹介します。
1. 初期キャリア(入社〜3〜5年)
【ジュニアインハウスカウンセル /アソシエイトレベル】
一般的には法律事務所に入所後、3〜5年の経験を経てLL.M.取得のため米国や英国に海外留学することが多い。その後、帰国のタイミングか帰国後数年でインハウスに転職するケースが一般的
近年では、弁護士資格取得後のファーストキャリアとして企業に入社するケースも徐々に増えている。これは、若い世代のワークライフバランスへの意識の高まりが影響していることが考えられる
【業務内容】
契約書の作成・審査、取引リスクのチェック、社内の現場担当者からの法務相談の対応など
部署間の調整や内部規程の理解のほか、外部の法律事務所との協業も並行して学ぶ
【必要スキル】
契約法、会社法、労働法などの実務知識、社内調整力、基本的なコンプライアンス知識
※インハウスで活躍できるフィールドを広げたい場合、LL.M.取得が有効になることがあります。
2. 中堅キャリア(5〜10年)
【シニアリーガルカウンセル/法務・コンプライアンス担当マネージャー】
実務の中心的存在として専門性を発揮するだけでなく、チームやプロジェクトを牽引する立場へと役割が広がるフェーズ
プレイヤーから「プレイングマネージャー」へ移行する重要な段階で、マネージャーに昇格するケースも見られる
【業務内容】
契約・訴訟・規程整備などを統括
法務チームのマネジメントや後輩の指導も担当
経営層に対する法的リスクやコンプライアンスリスクの助言
場合によっては、上場準備や重要プロジェクトに伴う法務課題の対応といった複雑な業務を担当
他チームとの連携、部門方針整合性の確認・是正
【必要スキル】
リスクマネジメント力、交渉力、経営層への提言力、英語力、海外の法務知識、ピープルマネジメント力
3. 上級キャリア(10年以上)
【法務部長/コンプライアンス部長/CLO】
企業の経営戦略に深く関与し、法務・コンプライアンスの観点から事業成長を支える「経営パートナー」としての役割が求められるフェーズ
リーガルリスクの管理にとどまらず、企業価値の向上に直結する意思決定への関与が期待される
【業務内容】
部門全体の戦略・方針策定を担当
会社のガバナンス体制の整備
企業全体のコンプライアンス体制の構築・運用の統括
M&A・業務提携等の重要案件に関する経営判断に直接関与
グローバル本社や海外子会社との連携
【必要スキル】
経営視点、ビジネス・リスクのバランス能力、ステークホルダーマネジメント能力、組織運営力、危機管理能力、マルチタスク能力、英語力、交渉力
4. 法務・コンプライアンス部門以外のキャリア
【経営企画・ガバナンス・リスクマネジメント部門等への異動】
法務・コンプライアンスで培ったリスク分析力や法的思考力を活かし、企業戦略や経営判断の妥当性を法的・倫理的観点からサポートする役割へキャリアチェンジ
経営計画の立案、新規事業やM&Aの法的リスク評価、内部統制・ガバナンス体制の強化など、経営の中核に関わる業務に携わることができる
【独立・顧問弁護士/コンサルタントへキャリアチェンジ】
独立して社外弁護士・顧問弁護士へのキャリアチェンジも考えられる
顧問弁護士の場合、複数の企業に対し契約書のレビューや法務相談、コンプライアンス体制の構築支援などを行う。企業での実務経験を持つことで、単に法律知識を提供するだけでなく、業界特有の慣行やビジネス実態を踏まえた実践的な助言ができる点が強み
近年はスタートアップや中小企業を対象に、外部顧問としてリーガルリスクマネジメントを支援するコンサルタントとして活躍するケースも増えている
【グローバル企業の本社・海外拠点勤務】
外資系企業のグローバル本社や、日系グローバル企業の海外拠点に駐在するキャリアも考えられる
海外法務や国際コンプライアンス案件を担当し、各国の法規制や文化を理解したうえでリスク管理や契約交渉を行う。海外子会社のガバナンス体制の整備、現地法務担当者や外部弁護士との連携、グローバルポリシーの策定などを担うこともある
英語力や異文化コミュニケーション能力が求められるため、LL.M.留学や現地でのプロボノ経験が役に立つ可能性がある
法律事務所から企業内弁護士の年収の変動事例
法律事務所から企業内弁護士へ転職すると、一時的に年収が下がるのが一般的です。
では、実際に転職を決意した場合、どのような企業からどれくらいの年収オファーがあるのか、エイペックスを利用して法律事務所から企業内弁護士に転職を成功させた事例をもとに、エイペックスのコンサルタントが解説します。
佐々木 愛
Apex法務・コンプライアンスチームに所属するシニアコンサルタント。大手・外資系法律事務所のみならず、金融からリーガルテックまで幅広いインハウスポジションを担当。丁寧なコミュニケーションと一貫したサポートにより、事務所・事業会社ともに多くの紹介実績を持つ。
3社同額1,000万円の年収オファーから「何を実現できるか」で決めた転職成功事例①
担当コンサルタントからのコメント
「四大事務所もしくは外資系事務所勤務のアソシエイトがインハウスに転職する場合、『年収800万円~1,000万円』、それ以外の事務所の場合『年収600万円~』の年収オファーが一般的です。
この方は非常に優秀な候補者で、内定を獲得した3社からはいずれも1,000万円という同額オファーが提示されました。条件面ではほぼ横並びであったため、『転職でどんな経験を積みたいのか』『将来につながる選択はどれか』という点にフォーカスして企業選びを行いました。
大手企業は法務体制が整っておりキャリアの選択肢も豊富ですが、最終的に選んだスタートアップでは、『成長フェーズの組織づくりに直接関われること』、『経営層の近くで意思決定に参画できること』、『複数のプロジェクトを同時に担当することで成長スピードを高められること』など、スタートアップならではの要素が決め手に。
結果として、『転職を通じて何を得たいのか』を明確にしたことで、自身の志向に最も合った企業を選択できたケースです。」
2,500万円よりも1,500万円の企業を選んだ転職成功事例②
担当コンサルタントからのコメント
「今後のライフイベントを見据え、働き方を見直したいと考えていた方です。前職の業務内容がジェネラリスト寄りであったため、転職にあたっては『専門性を磨くよりも、幅広い業務に関われること』『留学経験や語学力を活かせる環境であること』を軸に企業選びを行いました。
選考が進んだのは3社で、2社からは1,500万円のオファー、大手外資系メーカーからは年収2,500万円という高水準のオファーが提示されました。しかし、大手外資系メーカーではスタンドアローンで業務を担う体制であり、はじめて事業会社に転職するうえで不安が大きかった点がネックとなり、最終的には内定辞退となりました。
一方で、採用となった大手外資系ヘルスケア企業では、『ハイブリッド勤務・フレックス勤務が可能』『ヘルスケア分野のバックグラウンドがなくても採用に柔軟』であったことが決め手に。
はじめてインハウスにキャリアチェンジする場合、「チーム体制」は非常に重要です。年収面よりも先輩から学べる環境を優先することで、中長期的なキャリア形成にプラスになると判断した成功事例です。」
企業内弁護士への転職はおすすめ?メリット・デメリットを解説
企業内弁護士になるメリットは、働き方や収入の安定性を得られることですが、デメリットは年収の低下や法律実務以外の業務に携わる必要性など、法律事務所勤務に比べて制約が生じる可能性がある点にあります。
転職を検討する際には、これら両面を正しく理解したうえで、自分の目指す将来像と照らし合わせて選択することが大切です。ここで、企業内弁護士になるメリット・デメリットを整理しておきましょう。
メリット① ワークライフバランスが充実しやすい
企業の労働時間管理が適用されるため、法律事務所時代に比べてプライベートの時間を確保しやすくなります。有給休暇の取得や育児休業などの制度も整っており、ライフステージの変化に合わせた柔軟な働き方が可能です。リモートワークやフレックスタイム制度を導入している企業も多く、場合によってはフルリモートが可能なこともあります。
メリット② 経営に近い立場で意思決定に関われる
法務の枠を超え、事業戦略の立案段階から経営会議に参加できるなど、経営層に近いポジションで仕事ができるのが大きな魅力です。自分の意見が事業方針に直接影響を及ぼすことも多々あり、どのように事業を動かし、利益につなげることができたかを直接実感できる喜びがあります。
メリット③ 安定した収入と福利厚生が得られる
企業内弁護士を採用するのは経営基盤が安定した大企業が多い傾向にあるため、給与水準が比較的高く安定した収入を得ることができます。
加えて、賞与や各種手当、退職金制度など大企業ならではの手厚い待遇が保証される傾向にあり、社会保険の完備はもちろん、法律事務所では自己負担となることが多い弁護士会の個人会費を企業が負担してくれるケースも一般的であり、実質的な可処分所得が高まる点も魅力です。
メリット④ 幅広い法務スキル・ビジネススキルが身につく
契約、知財、労働法、ガバナンスなど、ひとつの企業内で発生する多種多様な法的課題に網羅的に関わるため、広範囲にわたる法律の知識と実務経験を得ることが可能です。
加えて、財務やビジネスモデルの理解、グローバルとの協働といった「ビジネススキル」も同時に磨くことができ、ビジネスパーソンとしての成長を実感しやすいのは法律事務所勤務では得がたいメリットです。
デメリット① 専門分野が限定されやすい
自社の事業に関連する法域に特化するため、法律事務所のように多様なクライアントの難解な案件を数多くこなす機会が減少しやすいのがデメリットです。自社に偏りすぎないよう知見を維持するために、同業他社の最新事例や裁判例へアクセスしたり、外部研修やセミナーへ参加するなど意識的な情報収集が不可欠となります。
デメリット② 企業文化や社内調整に慣れる必要がある
法律事務所では、弁護士としての専門性や個性がそのまま活かせる環境ですが、企業内弁護士はまず「組織の一員」としての対応が求められます。法的に正しい意見であっても、社内政治や人間関係を踏まえて粘り強く調整する場面があり、この適応を負担に感じることもあります。
デメリット③ 事務所勤務よりも年収が低くなる場合がある
大手法律事務所での勤務に比べると、企業内弁護士の年収の上限は低めになる傾向があります。ただし、固定給与の安定性や各種手当・福利厚生、将来のキャリアの安定性を総合的に考えると、「大きく劣らない」と感じる人も少なくありません。
加えて、ワークライフバランスの向上による自由時間の確保、副業可能なケースが多いことなどを考慮すると、総合的な納得感はむしろ高い場合があります。
デメリット④ 法務部の体制によって業務負担に差がある
法務部が確立されて企業内弁護士も複数人いる大企業と、一人で全てをこなす「一人法務」の中小企業やスタートアップ企業では、業務の範囲や責任の重さが全く異なります。
はじめてのインハウスが「一人法務」の場合は、周囲に相談できる人もなく一人で抱え込んでしまう傾向があるため、応募先企業の法務体制を事前によく確認しておくことが重要です。
企業内弁護士に向いている人・向いていない人の特徴
企業内弁護士への転職を検討する際、「自分はインハウスに向いているのか?」という不安を感じる人は少なくありません。法律事務所で求められる専門性と、企業内弁護士として期待される役割には明確な違いがあり、同じ弁護士資格を持っていても活躍できる人物像は大きく異なります。
ここでは、企業内弁護士に向いている人・向いていない人の特徴を整理し、インハウスキャリアへの適性を見極めるポイントを解説します。
企業内弁護士に向いている人の特徴
企業内弁護士に向いているのは、法律論だけで結論を出すのではなく、「事業として何を実現したいのか」という目的を踏まえて判断・交渉できる人です。自社のビジネスモデルや収益構造を理解し、法的リスクと事業成長のバランスを考えながら、現実的な落としどころを見つけることにやりがいを感じられるタイプは、インハウス弁護士として適しています。
また、事業部門や経営陣と日常的に関わりながらプロジェクトを進めていくため、専門家として意見を述べるだけでなく、組織の一員として合意形成を図るプロセスを楽しめる人や、他部門と協働して物事を前に進めることにやりがいを感じる人も、企業内弁護士として活躍しやすい傾向にあるでしょう。
企業内弁護士に向いていない人の特徴
一方で、純粋に法律の解釈や専門性を追求したい志向が強い人にとっては、企業内弁護士の働き方が合わない可能性があります。企業内では、法的に最も安全な選択肢ではなく、事業上の制約やスピード感を踏まえた現実的な判断が求められる場面も多く、常に「法律としての正解」が採用されるとは限りません。
また、企業文化や社内の意思決定プロセスに配慮しながら調整を進める必要があるため、個人の裁量で業務を完結させたい人や、社内調整に時間をかけることにストレスを感じやすい人にとっては、働きづらさを感じる可能性があります。
外資系企業の企業内弁護士に向いている人の特徴
外資系企業は日系企業に比べ個人の裁量が大きく、よりスピード感のある決断が求められる傾向にあります。業務プロセスや組織体制が変更になる頻度も高く、そのためビジネス環境の変化を楽しめる人が向いているでしょう。
海外本社との連携やグローバルプロジェクトへの関与も多いため、自立した専門家として主体的に意思決定に関わりたい人や、成果主義の評価環境で自身の頑張りがダイレクトに報酬につながることにやりがいを感じられる人にも適しています。挑戦的な目標でもポジティブに捉え、成功を目指して努力や工夫を重ねられるタイプは、外資系インハウスとの親和性が高いといえるでしょう。
関連記事:外資系企業に向いている人の特徴は?評価されるポイントやスキルもご紹介
外資系企業と日系企業の企業内弁護士は何が違う?
外資系と日系の企業内弁護士の最大の違いは、求められる役割の範囲にあり、外資系ではグローバル本社との連携や海外法規制への対応を含む戦略的な関与が期待される一方、日系企業では国内法務や社内調整を中心とした実務対応の比重が高くなる傾向があります。
下記で、外資系企業と日系企業のインハウス弁護士の違いを、仕事内容、年収、評価制度、求められる英語力の視点から整理しておきましょう。
・海外本社や各国拠点と連携しながら、クロスボーダー案件やグローバル契約交渉への対応を行う
・法務部門の権限が比較的強く、少人数体制でビジネス判断に直結する高度な意思決定を担う「自立した専門家」としての役割が求められる
・リージョナルポリシーや本社基準を踏まえたうえで、スピーディーかつ実務的な対応力が必要とされる
・国内法務を中心に、社内各部門との合意形成(コンセンサス)を重視した調整業務が主体
・法務領域にとどまらず、総務や経営企画などの周辺機能とも連携しながら、組織全体の円滑な運営を支える役割を担う
・日系企業と比較して基本給が高めに設定される傾向があり、成果主義に基づくパフォーマンス連動型のインセンティブも期待可能
・一方で、成果が報酬に直結するため、年収の変動幅が大きくなる可能性がある
・年齢や経験に応じて着実に昇給していく安定した給与体系が一般的
・住宅手当や家族手当、退職金などの福利厚生も充実しており、長期的な生涯年収における安心感が期待できる
・個人の成果やプロジェクトへの貢献度が評価に直結する、成果主義が一般的
・特定分野における専門性や市場価値が重視され、実績創出が求められる
・法務スキルだけでなく、社内調整力や組織への貢献度も評価対象
・協調性や「組織の一員」としての振る舞いが重視され、コンセンサス形成やチームワークが昇進・評価に直結する傾向がある
・海外拠点や本社との連携を前提に、交渉・議論が可能なビジネスレベル以上の英語力が求められる
・国内法務が中心の場合、英語力は限定的
・グローバル事業や海外取引がある場合は、英文契約のレビュー英文メール対応など、実務で使えるレベルの英語力が求められる
※より具体的なイメージを知りたい場合、外資系企業のリーガルカウンセルの実態も参考になります。
企業内弁護士に求められる経験・スキル
企業内弁護士には、法律事務所で培った高度な法的知識だけでなく、それを「自社のビジネスにどう適用するか」という実践的な能力が求められます。
単に法律を解釈するだけでなく、組織の一員として事業を前進させるための具体的なスキルが必要です。下記で、企業内弁護士に求められる具体的な経験やスキルを見てみましょう。
日常業務の核となる「契約審査・起案能力」
企業内弁護士にとって、日常業務の中心となるのが契約書の審査・起案です。自社の利益を守りつつ、取引の進行を妨げないバランスの取れた修正案を作成できることが重要なスキルとなります。法的リスクを正確に特定したうえで、事業部門と調整し、双方が納得できる落とし所を見極める能力が求められ、事業の円滑な推進とリスク管理の両立を担います。
法的視点と事業視点を融合させた「ビジネス感覚」
企業内弁護士に求められるビジネス感覚とは、単に法的リスクを避けるだけでなく、事業全体の意思決定を支援できる力を指します。自社の製品・サービス、収益構造、事業戦略を正確に把握し、現場担当者の目標や課題を理解したうえで、法的視点と事業視点を融合させた判断が求められます。数字や経営指標を用い、得られる利益と潜在的リスクを天秤にかけ、迅速かつ柔軟に意思決定をサポートする能力が必要です。
リスクをチャンスに変える「法的問題の発見力・解決力」
企業内弁護士に求められる能力のひとつが、「法的問題の発見力・解決力」です。前例のない新規事業では潜在的な問題を早期に発見する力が非常に重要で、リスクを予測・管理しつつトラブル発生時には最適な解決策を導くことが求められます。単に「リスクがあるのでできない」と否定するのではなく、コンプライアンスを順守しながら、事業目標の達成に向けた代替案や実行可能な手段を積極的に提案する姿勢が重要です。
組織を動かす「コミュニケーション力と調整力」
企業内弁護士に求められるのは、専門知識をわかりやすく伝える「説明力」と、部門間の利害を調整して合意形成を導く「調整力」です。法律に詳しくない他部門や経営陣に対しても、リスクや対応策を明確に提示し、組織として円滑に意思決定を進める役割を担います。異なる立場や意見をまとめ、事業を前進させる推進力としての能力が不可欠となります。
迅速な意思決定を支える「スピード感のある判断力」
変化の激しいビジネス環境では、案件の重要度や緊急性を即座に判断し、経営判断を妨げないタイミングで適切な判断を提言するスピード感が求められます。特に外資系企業では、海外本社やグローバル拠点との連携を伴う判断が多いうえ、少人数で高度な意思決定を行う場面が多く、迅速な判断と対応が経営陣やチームからの信頼につながる重要なスキルとなります。
グローバル展開を支える「語学力と国際法務スキル」
外資系企業や海外事業を展開する日系企業では、英文契約の審査や海外拠点との交渉が必須です。単なる語学力にとどまらず、各国の法制度や商習慣の違いを理解し、グローバル視点でリスク管理を行う力が求められます。また、環境規制やESG関連の海外発信ルールが日本でも導入されるケースが増えており、最新情報をキャッチアップする国際法務への感度も不可欠です。
※企業内弁護士に求められるスキルは、法務とコンプライアンスで異なる部分も多くあります。
企業内弁護士の転職市場は活況?最新動向を解説
現在、企業内弁護士の採用ニーズが非常に高まっており、今後も引き続き求人募集が増加することが見込まれています。特に、事務所勤務からインハウスへの転職を目指す人にとっては、選択肢が多く新しいキャリア構築の大きなチャンスとなっています。
企業内弁護士数は急激に増加している
日本組織内弁護士協会の調査によると、2001年に全国でわずか66名だった企業内弁護士は徐々に増え続け、2024年には3,391名、2025年には3,596名と急激に増加していることがわかります。

出典:日本組織内弁護士協会(JILA)「企業内弁護士数の推移」より作図
企業内弁護士の採用企業数も年々上昇
弁護士を採用する事業会社も、2025年時点で1,539社と年々上昇しています。

出典:日本組織内弁護士協会(JILA)「企業内弁護士を多く抱える企業上位20社の推移」より作図
企業内弁護士が多い企業TOP20社
企業内弁護士の採用が多い企業は以下になりますが、特に金融・商社・IT企業で採用ニーズが高いことがわかります。
1位:LINEヤフー (80名)
2位:三井物産 (41名)
3位:丸紅、 三井住友信託銀行 (各34名)
5位: アマゾンジャパン (33名)
6位:野村証券 (30名)
7位: 三菱商事 (26名)
8位: 三井住友銀行、三菱UFJ銀行 (各25名)
10位: 三菱UFJ信託銀行 (24名)
企業内弁護士は女性が増えている
企業内弁護士の男女比を見ると、2001年は「男性:女性=80.3%:19.7%」だったのが、2025年は「男性:女性=59.0%:41.0%」と、男女比が6対4の割合にまで差が縮まってきました。
弁護士全体での女性の割合が20.5%(男性:37,374名、女性:9,666名 2025年6月現在)であることを考えると、いかに企業内弁護士の女性割合が高いかがわかります。これは、法律事務所よりも事業会社のほうがワークライフバランスに優れているという点が関連していると考えられます。

出典:日本組織内弁護士協会(JILA)「企業内弁護士の男女別人数」より作図、日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2024年)1. 弁護士等の実勢」
企業内弁護士の採用ニーズが高まっている背景
企業内弁護士の採用が増え続けている最大の理由は、企業に求められるガバナンスの水準が格段に上がっていることが挙げられます。
現代の法務・コンプライアンス部門には、単に「法令違反を防ぐ」だけでなく、社会規範や企業倫理までを含めた「法令にとどまらないコンプライアンス順守」の徹底、そして事業を安全に推進させる「ビジネスの芽を育てるための戦略的な法務」が求められています。
このような高度な役割を果たし、企業経営を支える戦略部門として機能させるべく、多くの企業が「法務・コンプライアンス体制」の構築を急いでいます。その中核を担う人材として、法的な専門性を備えていることはもちろん、外部の法律事務所の弁護士とも対等に渡り合うことができ、自社のビジネスを深く理解したうえで的確な判断を下せる企業内弁護士への需要がかつてないほど高まっているのです。
関連記事:【2026年版】弁護士の転職市場動向~今、企業が求める法務人材
外資系企業の企業内弁護士の採用プロセスと転職難易度
外資系企業の企業内弁護士への転職は、日系企業と比較して求められるスキルセットや採用プロセスが異なるため、難易度が高い傾向にあります。特に、法務知識や実務経験に加えて、「ビジネスにどのような価値を提供できるか」という観点から、グローバル基準での評価が行われる点が大きな特徴です。
グローバル本社との英語面接はほぼ必須
外資系インハウスの採用における最大の特徴は、法務部門の責任者や日本法人の経営陣に加え、グローバル本社のリーガルチームが選考プロセスに関与するケースが一般的である点です。そのため、英語面接への対策は外資系インハウスの転職において実質的に必須となります。
面接では、自己PRや職務経歴の説明にとどまらず、「これまでどのように事業リスクを管理してきたか」「法的課題に対してどのような代替案を提示したか」といった実務経験を、ビジネスへの貢献度とあわせて論理的かつ簡潔に説明する力が求められます。加えて、海外本社とのコミュニケーションを想定し、契約交渉やステークホルダーとの調整経験などを英語で具体的に説明できるかが重要な評価ポイントとなり、なかには英語によるプレゼン形式で回答が求められることもあります。
外資系インハウスの選考では「ビジネスへの貢献度」が重視される
外資系インハウスでは、法的知識の深さを前提としつつ、事業成長にどの程度貢献できるかが重視されます。複数回にわたる面接を通じて、「自社ビジネスへの理解力」や「ステークホルダーとの調整力」、「意思決定のスピード感」などが総合的に評価されます。
また、「ケーススタディ形式」の面接が実施されることもあり、実際のビジネスシーンを想定した法的リスクへの対応策や、事業推進を前提とした代替案の提示力が問われます。単に法的な正解を示すだけでなく、限られた情報のなかで優先順位をつけ、経営判断を支援できるかどうかが重要な評価ポイントとなります。
関連記事:【面接から内定まで】外資系企業の採用プロセスと対策方法をまとめてご紹介
企業内弁護士になるには?転職成功の4つのポイント
企業内弁護士への転職では、弁護士資格という強力な基盤に加え、「応募先企業のビジネスを理解したうえで、法務視点を通じて事業成長に貢献できること」を明確に示すことが重要です。
ここで、法律事務所での経験を企業向けの言語に翻訳し、即戦力として活躍できることをアピールする具体的な方法とポイントをご紹介します。
業界・企業が求める人物像を把握する
企業内弁護士への転職を成功させるためには、志望する業界・企業ごとに求められる役割やスキルを正確に理解することが重要です。IT・金融・製造など業界によって直面する法規制やリスクの性質は大きく異なり、企業規模や成長フェーズによっても法務に期待されるミッションは変わります。
例えば、伝統的な大手企業ではガバナンス強化やコンプライアンス体制の維持・不祥事防止が重視される一方、スタートアップではガバナンスやリスクマネジメント体制のゼロベースからの構築、新規事業を見据えた法的支援など「攻め」の法務機能が求められる傾向があります。
良い案件には複数の弁護士が応募してくるため、内定獲得のためにはいかに応募先とのマッチ度が高いかを熱意を持ってアピールしなくてはなりません。企業が法務に何を期待しているのか(守り/攻め)を理解し、自身の経験がどのように貢献できるかを具体的に整理しておくことが、転職成功の鍵となります。
履歴書・職務経歴書で強み・成果を具体的にアピールする
企業内弁護士への応募書類では、法務スキルだけでなく「事業への貢献度」を具体的にアピールすることが重要です。単に担当案件を列挙するのではなく、「リスクをどの程度軽減できたか」「どれほどの損失回避や意思決定の迅速化につながったか」など、ビジネスインパクトを数値や成果ベースで示しましょう。
例えば、「複雑な契約スキームの見直しにより、新規事業の立ち上げを3か月前倒しした」など、事業成長への寄与を明確にすることで即戦力としての評価が高まります。また、法律事務所で担当したクライアントの業界や得意分野(会社法・労働法・知的財産法など)を整理し、応募企業の事業領域や法務ニーズとの関連性を示すことも転職成功のポイントです。
面接では「企業目線」での課題解決力を示す
企業内弁護士の面接では、法的知識の正確性だけでなく、「経営陣と同じ視点で課題解決ができるか」が重視されます。法律事務所の弁護士が陥りがちな「できない理由を探す」姿勢ではなく、事業目標の達成を前提に実行可能な代替案を提示し、ビジネスを前進させる姿勢を具体的な事例で示すことが重要です。
特に、「法的リスクの高い施策に対し、自分ならどう対応するか」といった質問に備え、事業目的を理解したうえでリスクをコントロールしながら最適な解決策を導くプロセスを、論理的に説明できるよう準備しておきましょう。
法務に強い転職エージェントを活用する
企業内弁護士の求人は、重要度の高いポジションほど非公開で募集されるため、魅力的な求人は一般の求人サイトには掲載されていないことが多くあります。そのため、条件の良い求人に巡り合うためには、法務・コンプライアンス業界を専門とする転職エージェントの活用が欠かせません。
法務に特化した転職支援チームを持つエイペックスでは、数多くのインハウス求人を取り扱っており、弁護士の転職で豊富な実績を有しています。紹介企業は世界的有名企業からスタートアップまで幅広く、リーガルカウンセルをはじめコンプライアンス、特許&知財、リスクマネジメント、ガバナンス推進、M&A推進、海外M&Aなど、専門性に特化したポジションも豊富に取り扱っています。ベテラン層向けの管理職・経営層ポジションでも多くの実績があり、弁護士の転職で信頼されるエージェントです。
法律事務所での経験をインハウス向けにどのように職務経歴書へ落とし込むかについて、専門的なアドバイスを提供することも可能ですので、転職成功のためにぜひプロのサポートを利用することをおすすめします。
企業内弁護士への転職に最適なタイミングはいつか?
企業内弁護士への転職に適したタイミングは、「一定の専門性を身につけたうえで、ビジネスに当事者として関わりたい」と考え始めた時期です。
一般的には、法律事務所での実務経験を3〜5年程度積み、契約書レビューや訴訟対応などの基本的な業務を一通り主体的に遂行できるようになった段階が、企業側から即戦力として評価されやすいタイミングといえます。
特に、M&A、労働法務、知的財産、コンプライアンス対応など、企業活動と親和性の高い分野での経験を有している場合は、事業部門との連携や経営判断への関与が期待される企業内弁護士のポジションにおいて高く評価される傾向にあるでしょう。
また、外資系企業への転職を目指す場合には、英文契約書のレビューやクロスボーダー案件への関与など、国際法務に関連する実務経験を積んだタイミングで転職を考えましょう。単に経験年数だけでなく、「企業の事業拡大に自身の知見でどのように貢献できるか」を説明できる実績を備えた段階での転職活動が、成功確率を高めるポイントとなります。
企業内弁護士への転職で失敗するケース
企業内弁護士への転職は、働き方やキャリアの安定性といった観点から魅力的な選択肢とされていますが、法律事務所とは求められる役割や評価基準が大きく異なるため、事前の理解が不十分なまま転職するとミスマッチにつながるケースも少なくありません。
ここでは、実際に企業内弁護士への転職で起こりやすい失敗例と対策を解説します。
法律実務中心の働き方を想定してしまう
法律事務所と同様に、純粋な法的判断や専門的なリーガルワークが中心になると考えて転職すると、ギャップを感じやすくなります。
契約書のレビューや新規事業に対する法的助言はインハウスの業務の一部に過ぎず、実際には、社内の合意形成に関わる調整業務やそのための代替案の提示など、いわゆる「ビジネスサイド」に踏み込んだ対応が求められるケースが多いことを理解しておく必要があります。
企業文化や意思決定プロセスに適応できない
企業内弁護士は「外部の専門家」ではなく、「組織の一員」として業務を遂行します。そのため、法的に正しい意見であっても、経営判断や事業戦略、社内のステークホルダーとの関係性を踏まえたうえで、現実的な落とし所を模索する姿勢が求められます。
特に日系企業では合意形成のプロセスを重視する傾向があり、外資系企業では迅速な意思決定が求められるなど、企業ごとのカルチャーに応じた対応力が不可欠です。
年収や評価制度の違いを十分に理解していない
企業内弁護士は、所属企業の給与体系に基づいた報酬制度が一般的であり、法律事務所のようなビラブルアワーや案件ベースの成果報酬とは異なります。
短期的な年収の最大値だけを比較して転職を決断した場合、「思ったより昇給スピードが緩やかだった」「評価基準が不透明に感じる」といった不満につながる可能性があります。年収に関しては、福利厚生や長期的なキャリアの安定性を含めたトータル・リワードの視点で判断することが重要です。
事業理解を深める意識が不足している
企業内弁護士は、民法・商法・会社法・労働法・知的財産法・個人情報保護法など、多くの会社でも適用が検討される法律への理解に加えて、自社の事業に関連する業界ごとの個別法律を理解することが必須です。また法律のみではなく、官公庁や自主規制団体が定めているガイドラインや業界慣行・独自の業界ルールについても精通する必要があります。
事業への理解が浅いままでは、ビジネスのスピードに対応した判断や、実行可能な代替案の提示が難しくなり、社内での信頼構築にも影響を及ぼします。転職後に早期に活躍するためには、法務の専門性に加えて、事業全体を俯瞰する視点を持つことが不可欠です。
企業内弁護士に関するよくある質問
ここで、企業内弁護士に関するよくある質問に答えていきます。
Q. 企業内弁護士は激務ですか?
A. 企業内弁護士は、事務所勤務と比べてホワイトな働き方ができるのが大きなメリットです。「一日の平均勤務時間が10時間以内」と答えたインハウス弁護士が約8割であり、「休日出勤がほとんどない」という回答も約8割という調査結果があります。自社案件を前提に業務の優先順位を調整できるため、計画的に働きやすい点も特徴です。
ただし、新規事業の立ち上げやM&Aなど、大きなプロジェクトの稼働時期では業務負荷が高まることもあります。特に、IPO準備中のスタートアップや、一人法務体制の小規模企業では業務範囲が拡大しがちで、労働時間が安定しないこともあります。
Q. 企業内弁護士のやりがいは何ですか?
A. 企業内弁護士のやりがいは、新規事業の立ち上げや重要な経営判断に法務面から関与し、ビジネスの成長に直接寄与できる点にあります。自ら設計した契約スキームや法的枠組みによって事業が実現し、社会に価値を提供するプロセスに当事者として関われるのは、インハウスならではの魅力です。
また、法務の観点から経営リスクを未然に防いだり、意思決定を支援したりすることで、企業価値の向上に貢献できる実感を得られる点も大きなモチベーションとなります。法律知識を活かして「守り」と「攻め」の両面から事業推進に携われることが、企業内弁護士として働く醍醐味でしょう。
Q. 企業内弁護士と顧問弁護士の違いは何ですか?
A. 企業内弁護士は企業の社員・役員として内部から法務戦略の立案や実行を担うのに対し、顧問弁護士は外部の専門家として客観的な立場から法的助言を行います。企業内弁護士は事業内容や意思決定の背景を踏まえた迅速で実務的な判断ができる点が強みであり、顧問弁護士は独立した視点によるリスク分析や専門性の高い案件対応に強みがあります。
事業に深く関与し日常的な法務判断をスピーディーに行いたい場合は企業内弁護士、多様な案件に客観的な立場で対応したい場合は顧問弁護士が適しています。近年は、企業内弁護士が社内の司令塔となり、専門性の高い案件を顧問弁護士や外部弁護士へ依頼する体制を整える企業も増えています。
Q. 企業内弁護士の平均年収はいくらですか?
A. 四大事務所もしくは外資系事務所勤務のアソシエイトがインハウスに転職する場合、「年収800万円~1,000万円」、それ以外の事務所の場合「年収600万円~」での年収オファーが一般的です。
経験と実績を積み40代になってくると、平均年収1,500万円~2,000万円が一般的となり、弁護士としての最上位ポジションであるCLO(Cheif Legal Officer)やゼネラルカウンセルになると、3,000万円~4,000万円程度+SOが年収の上限となります。
現在の転職市場では、弁護士資格を持つ人材への需要が非常に高まっており、特に経験豊富な中堅層の年収は底上げ傾向にあります。 法律事務所と比較すると成果に応じた爆発的な収入アップは少ないものの、ベースとなる給与は非常に安定しており、賞与や退職金、住宅手当といった福利厚生が充実している点が特徴です。
Q. 企業内弁護士は出世できますか?
A. 企業内弁護士は、リーガルヘッドやコンプライアンスヘッド、さらにはCLOやゼネラルカウンセルなど、経営陣や経営に近いポジションまで出世が可能です。また、M&Aや知財、内部監査など、専門性を活かしたキャリアで部門長などを目指すことも可能です。
また、外資系企業ではリージョナルカウンセルなどグローバルポジションへステップアップすることもでき、高度なビジネス感覚や社内調整力を備えた人材であれば、法務の枠を超えて経営に関与するキャリアを選択できる点は、企業内弁護士ならではの魅力といえるでしょう。
Q. 外資系企業のインハウスが向いている弁護士は?
A. 外資系企業のインハウスに向いているのは、自律性が高く、変化を厭わない「オーナーシップ」がある人です。外資系企業は組織変更や戦略転換など変化のスピードが速いため、自ら手を動かして施策を推進する姿勢を持ち、未経験の領域にも物怖じせず飛び込める知的好奇心が備わっていることが必要です。
また、海外本社や多国籍のステークホルダーとの協働が前提となるため、英語での論理的なコミュニケーション力に加え、異なる文化や商習慣を理解したうえでしっかりと日本や自らの立場を主張できる人は、外資系インハウスで活躍しやすい傾向にあります。
Q. 外資系のインハウスは年収が高いですか?
A. 一般的に、外資系企業は日系企業と比較して年収水準が高い傾向にあります。特に、金融やIT、製薬業界は給与水準が高く、シニアカウンセルクラスで1,500万円〜2,500万円前後がボリュームゾーンとなります。基本給に加え、会社業績や個人のKPI達成度に応じたインセンティブボーナスが加算されるケースが多く、特に大手IT企業や外資系投資銀行では、年収の20〜30%をボーナスが占めることも珍しくありません。
ただし、そのぶん「ビジネスへの貢献度」や「意思決定のスピード」など、グローバル基準での評価基準に年収が左右されます。成果主義の報酬体系である点は理解しておく必要があるでしょう。
Q. 企業内弁護士に英語は必要ですか?
A. 企業内弁護士として働くうえで、英語力は必須ではありません。特に国内市場を中心に事業展開する日系企業では、日本語のみで業務が完結するポジションも多く存在します。
一方で、外資系企業や海外展開を進める日系企業では、英文契約書のレビューや海外拠点とのやり取りが日常的に発生するため、英語力が求められるケースが一般的です。キャリアの選択肢を広げたい場合は、ビジネスレベルの英語力を備えておくことで応募可能な求人の幅が大きく広がります。
Q. 企業内弁護士は新卒でもなれますか?
A. 近年、司法修習を終えてすぐ企業へ入る「新卒インハウス」の採用枠が確実に広がっています。特に、法務教育の体制が整った金融機関、大手商社、大手IT・通信、メガベンチャーなどで積極的に採用が進んでいます。
ただし、企業は単なる「法律の専門家」ではなく、組織文化に馴染み、他部門と協力して事業を推進できる「ビジネスパーソン」としての資質も重視して採用します。そのため、選考では法律知識の深さだけでなく、学生時代のインターンやサークル活動等を通じて培った「周囲を巻き込む力」や「課題解決への意欲」が評価の分かれ目のひとつとなります。ビジネスの現場で共に働く仲間として、柔軟に学び成長していく姿勢を示すことが重要です。
企業内弁護士の転職はエイペックスのサービスを活用
企業内弁護士のキャリアパスは自らで作り上げていくことが可能であり、自身の志向によって専門性を極めたり、経営層を目指したり、よりグローバルな案件に関わるなど選択肢が豊富であることが魅力です。法律専門家としてのプレゼンスを押し出しながら案件に深く関わることで、自身の判断が事業戦略に直結する満足感も得ることができるでしょう。
ただし、企業の重要ポジションであるインハウス弁護士は非公開求人であることが多く、一般の求人サイトでは良い条件のポジションに巡り合うことは難しいでしょう。その場合、法務・コンプライアンスに特化した専門の転職エージェントを活用することが、理想の転職には不可欠です。
エイペックスでは、外資系・日系グローバル企業のインハウスポジションへ転職を考える弁護士の方に向け、包括的なキャリア支援を行っています。リーガルカウンセルだけでなく、コンプライアンス、知財、内部統制・内部監査、ガバナンス、M&A、グローバルM&Aなど、豊富な案件のなかから自身の志向や経験に基づいた最適な求人を紹介することが可能です。
転職成功を大きく左右する応募書類の作成・添削や採用面接対策、企業リサーチの共有、年収交渉などサポートの内容は幅広く、まだ転職するか決めていない方にも今後のキャリア相談を行っています。
特に外資系企業を目指す方には、英文履歴書の添削や英語での模擬面談の実施、グローバルでの評価基準や面接官情報の共有なども行っており、安心して面接に集中いただける環境を整えています。特に、マネージャーやディレクター・部門長レベルの紹介でも豊富な実績を有しており、上位ポジションを目指す方にも専門的なサポートを提供しています。
忙しい弁護士の方が転職を成功させるには、自身のキャリアに対する希望を明確化し、それが実現できる企業に的確にアプローチしてミスマッチを減らすことにあります。今後の法務キャリアやインハウスへの転職について相談されたい方、最新の業界情報をご希望の方は、ぜひエイペックスのキャリア相談会にお越しください。