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専門コンサルタントに聞く リーガル(法務)業界の転職事情

エイペックスで約2年前からリーガル業界専門のコンサルタントとして活躍している矢野那波さん。もともと人材業界に興味があったということですが、若手でありながら持ち前の向上心と国際感覚で大きな実績をあげているコンサルタントです。近年拡大傾向にあるリーガルポジションの求人動向、求められる人材、最近の転職成功事例などについて聞きました。

Q. 法務・コンプライアンスチームではどのようなポジションを紹介していますか?また、最近の採用トレンドはありますか?

A. 私たちのチームでは、法律事務所インハウス(企業)の両方でリーガル・コンプライアンスポジションを中心にご紹介しており、インハウスの業界はヘルスケアからIT、金融、メーカーなど多岐に渡ります。

特に企業では近年、グローバル化やイノベーションの進展、事業の多角化・複雑化などの要因に伴い、法務機能の強化がトレンドとなっています。そのため現在、リーガルヘッドのような最上級ポジションから内部監査・内部統制、IP・特許、コンプライアンスといったような分野に特化したポジションまで数多くの求人がでています。エイペックスでは大手有名企業だけでなく、創業から日の浅いスタートアップ企業とも数多くお取引がありますが、そういったスタートアップでは上場への準備や、会社の体制づくりにも関わるような法務責任者を募集していることが多く、大きなキャリアを積まれたい方にはチャンスとなっています。

Q.インハウスの需要が高まっているということですが、どういった人材が求められているのでしょうか?

A. ビジネスが進化しているのに伴って、法務機能もクリエーション能力が求められるようになっているのが特徴です。よりビジネスに近い立ち位置で、法務の観点から企業の成長をサポートできるような人材を求める企業が多くなっている印象です。つまり、ただ法律の面からyes/noをジャッジするだけではなく、ビジネスを前進させるにあたってどういった戦略が必要なのかというのを、ビジネスを理解した上で法務の観点からしっかりとアドバイスができる人材、というのは重要な要素です。

転職にはインハウスでの経験が求められることも多くありますが、法律事務所勤務でも企業法務に従事されていた場合などはインハウスへのチャンスが幅広くあります。そのような場合、事務所でどのようなエリアを担当していたのか、ビジネスに対しどのようなマインドセットを持っているのか、成功のためにどのようなアプローチを取ってきたのか、などが企業の関心事になります。また同時に、なぜインハウスに移りたいのか、なぜその企業・業界なのか、ということも、やはり採用面接で必ず聞かれます。そのため、入社後に何をしたいのか、どんなキャリアパスを考えているのかといったところまでご自身のなかで明確にしておくと、面接は通りやすくなるかと思います。また、一般的な応募理由よりも、ご自身の経験や興味に紐づけて説明できる候補者を当然ながら企業は好みます。

加えて、インハウスロイヤーは各ビジネスリーダーや経営ボードとの協働が多いため、円滑にプロジェクトを進められる優れたコミュニケーション能力、ファシリテーション能力、プレゼンテーション能力、インフルエンス能力といったソフトスキルも採用時には確認されます。「自信があります」だけでは当然足りませんので、それらを証明できる実績をキャリアの中で築いておく必要があるでしょう。

また、特にヘルスケア業界などで近年言えることですが、リーガルヘッドのような上級ポジションでは弁護士資格がほぼ必須となります。ただ、それより下位のポジションであれば数年間の法律事務所やコンサルティングフファームでの企業法務の実務経験があれば多くのチャンスがありますので、是非キャリア相談会などで詳しい求人情報を聞いてみてくださいね。

Q. 最近で印象に残っているインハウスの転職成功事例はありますか?

A. スタートアップで法務責任者の募集がよくあるお話をしましたが、以前に比べ急成長中の外資系企業でもそういったシニアレベルでの転職成功事例が増えてきました。最近では、世界的にも有名な外資系IT企業のAPAC法務カウンセルのポジションに転職を成功された50代の方がいらっしゃいましたが、APAC責任者の募集は多いことではないので希少な案件で見事内定を獲得され、私たちもとても嬉しかったです。ちなみに上級のリーガルポジションですと年齢よりも経験重視ですので、50代後半の方でも多くの転職成功事例があるのが特徴です。​

Q.法律事務所間での転職ではどのような点に注意が必要ですか?

A. 内資系や大手の外資系法律事務所では、常に弁護士の募集があります。適性やご自身の興味を見て各分野専門の弁護士として業務をアサインされることが多いので、この点では採用時の双方の将来像のマッチングが重要となります。ご自身と事務所が期待する方向性が合っているのか、相性も含めて面談時にご自身でも積極的に確認する必要があるでしょう。

また、渉外弁護士であれば顧客が海外との取引があることも多いため、ある程度の英語力があるかを見られます。英文契約書の作成・レビュー・修正などが必要となってくるため読み書きはもちろんのこと、顧客が海外取引先やグループ会社との折衝を求めてくることもありますので、ビジネスレベルの英会話力は歓迎されるでしょう。このように法律事務所でもクライアントフェーシングが必要となることが多いため、コミュニケーション能力はインハウス同様重要です。

Q. 印象に残っている法律事務所勤務の方の転職成功事例はありますか?

A. 外資系法律事務所にお勤めの方で、同じく事務所でも大手の外資系に応募された方がいらっしゃいました。当初はなかなか自信を持てず私には難しいかも、、とかなり後ろ向きだったのですが、面接を受けられてみると双方の相性がとても良く、結果的にその事務所からも是非入所してほしいということでどちらも納得の行く結果となった事例があります。特に法律事務所では相性も非常に大事ですので、チャレンジしてみないとわからないことも多い例だったと思います。

Q. 弁護士の方はどんなキャリアパスを歩まれる方が多いのでしょうか?

A. 一般的にはどこかの法律事務所で勤務をスタートさせるのが、リーガル業界に従事される方に見られる最も多い最初のキャリアとなります。そして法律事務所で経験を積んだ後、もっとビジネスに内側から関わってみたい、より良いワークライフバランスを求めたい、などの理由から企業に転職される方もいらっしゃる一方、法律のプロとして様々な企業組織のサポートを行い幅広い経験を積みたい、自分のexpertiseを突き詰めて事務所内でパートナーを目指したい、という方もいらっしゃいます。但し、パートナーとなると限られた席の争奪となることは確かです。

基本的に大手事務所の場合勤続5~7年で留学のチャンスが巡ってくるため、帰ってきたタイミングでパートナーになれるかなれないか、おおよそ見えてくるといいます。そこで、インハウスへの転職を考えてエイペックスにご相談に来られる30代半ば~後半の方は多いですね。規制業界という観点からですとファイナンスに従事されていた方は金融、ヘルスケアに携わっていた方は製薬やライフサイエンス企業と、事務所でのプラクティスエリアによってどの業界に就くのかが分かれるところもあります。ただ突出した業界経験がなくとも、弁護士としての企業法務経験をしっかりとお持ちあれば転職先に困るようなことはほとんどありません。ただしより良い条件での転職を叶えるのであれば、エイペックスのようなリーガル専門チームのある転職エージェントのネットワークは重要です。

また、最近は企業もダイバーシティ推進のため、女性のリーガル人材を多く採用する傾向にあります。法務ヘッドのような重要職も女性の方が多く採用されていますので、女性の方はその点も念頭に置いてキャリアパスを考えられると良いかもしれません。

※弁護士の方のキャリアパスについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

Q. 法務・コンプライアンスチームの成功の要因は何だと思いますか?また、人材コンサルタントの仕事をどう感じていますか?

A. 私が所属するリーガル・コンプライアンス専門チームは、求人数の増加、ご相談件数と成功実績の増加に伴い、年々拡大を続けています。私たちのような転職エージェントの場合、コンサルタントは個人プレーでヘッドハンティングをしたりすることが普通なのですが、エイペックスではチーム一丸となって転職活動をサポートするのが他社との大きな違いです。チームで情報共有もしているため効率良くよりマッチした案件に出会え、求職者様も満足度が高く私たちを信頼していただいているものと自負しています。チームの雰囲気もとても良く、仕事をしていて毎日が楽しいです。

コンサルタントとしてもちろん大変なこともたくさんありますが、転職者の方の人生のターニングポイントに関わらせていただけることは大変光栄で、皆さまのご満足のいく結果となったとき、また新天地で楽しんで、やりがいを持ってご活躍されていることをご報告いただくときには、心からこの仕事をしていて良かったと感じられます。

Q. 最後に転職を考えている方へアドバイスをお願いします。

A.転職において重要なことの一つが「タイミングです。市場動向やポジションの空き状況などはご自身の力ではコントロールが難しい要素であり、逆にうまくタイミングが合えば、一期一会の出会いとなることもよくあります。転職は人生の中で大きなイベントとなるかと思いますが、転職を決断されてからエージェントにコンタクトを取るのではなく、今後のキャリアの選択肢を多く持っておくために常にマーケットに目を向けておく、ということがとても効果的です。そのために皆さまエイペックスに登録をされているのと、いざマッチする案件に出会って応募される際には、履歴書作成のサポートや採用面接対策退職・入社前後のケアにいたるまで全プロセスをエイペックスがサポートしています。是非一度、私たち法務・コンプライアンスチームのキャリア相談会にお申込みされてみてはいかがでしょうか?皆さまとお話をさせていただけますこと、チーム一同心待ちにしております!

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