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弁護士の4つのキャリアパス メリット・デメリットを併せて解説!

​エイペックスには弁護士の方のキャリア形成をサポートするリーガル専門チームがありますが、忙しくて情報収集する時間が取れないためかキャリアプランを持ち合わせていない若手弁護士の方も多くいらっしゃいます。

司法試験に合格し、法律事務所で弁護士としてキャリアをスタートさせた若手の方は、まずは量をこなすことを求められます。リサーチしたり契約書をドラフティングしたり、案件を最初に形にして行くのも若手です。あっという間に数年が過ぎ、有望な若手として周りの期待もどんどん上がりさらに忙しくなっていくものです。

しかし、年々変化するリーガル業界において、忙しい毎日の中でも弁護士としてどのようなキャリアを築くべきか、早い段階で意識しておくことはとても大切です。何を目指しているのかがはっきりしているほど充実したキャリアを築けるのはもちろん、忙しいアソシエイト時代をより有意義に過ごすことができるからです。

この記事では、司法試験合格後に法律事務所に所属した弁護士の方を対象として、弁護士としてどのようなキャリアの選択肢があるのか、キャリアのメリットとデメリットも併せて解説していきます。

①法律事務所でパートナーを目指す

一般的に法律事務所では、アソシエイトからスタートして数年でシニアアソシエイト、さらに数年でパートナーへ昇格、というキャリアパスが用意されています。最初に所属した事務所でのパートナー昇格は、多くの若手弁護士が目指すゴールです。

パートナーは弁護士を雇用する立場にあり、受注した案件を弁護士たちに割り振るのも仕事の一つです。大きな事務所の場合はパートナーにもいくつかの階級がありますが、早い人では30代前半でパートナーに昇格する場合もあります。大手渉外事務所では、20代後半から30代前半にかけて海外留学と海外弁護士資格取得を奨励していることが多いため、その場合パートナー昇格は30代後半以降になります。

  • メリット

    法律事務所でパートナーになる一番のメリットは、何と言ってもアソシエイト時代と比べてはるかに報酬が良くなることです。2,000〜3,000万円から始まり、エクイティ・パートナー(出資者)ともなれば、持分に比して事務所の業績に連動した所得が得られます。

    また、ワークライフバランスが取りやすくなるのも大きなメリットです。パートナーは若手にリサーチやドラフティングを任せてできたものを確認し、サインオフする立場です。子供の送迎や家事などで一旦事務所を退出したあと自宅で対応したりと、フレキシブルな勤務が可能であるためプライベートの予定も立てやすいでしょう。もし優秀なシニアアソシエイトが案件を取りまとめてくれれば、パートナーの仕事はほとんどサインオフのみ、ということもあります。

  • デメリット

    では「今の事務所でパートナーを目指そう!」と思っても、もちろん誰でもなれるわけではありません。事務所によってパートナー昇格の基準は異なりますが、国内事務所より外資系事務所の方が昇進のための数値的な基準が厳格である傾向にあります。シニアアソシエイトとして大きな案件を何件もまとめた実績があり、かつその過程でクライアントから直接案件相談の連絡を受けるほどの関係性を築いているかが問われます。パートナー昇格後もそのようなクライアントベースを維持していかなければ、パートナーとしての地位を守れないという厳しさもあります。

  • キャリア形成のポイント

    パートナーとしての地位を築けなかった場合、自ら転職するか、同じ事務所でカウンセルなどのポジションに就くのが一般的です。カウンセルとは、売上げのノルマがないパートナーの立場と理解され、業務領域の複雑化やシニアアソシエイトの役割をこなせる人材の代替が必要なこともあり、近年増加傾向にあります。

    法律事務所のプラクティスグループは金融、コーポレート、知財、紛争などに分かれますが、例えば金融の中でもプロジェクトファイナンス、買収ファイナンス、不動産ファイナンス、輸出ファイナンスなど多くの分野があり、カウンセルになるにはそういった専門分野での知識と実績、クライアントベースの確立が必要となるのは言うまでもありません。

    どのキャリアパスでも言えることですが、特にパートナー昇格を目指す場合、若手のうちから案件の実績を積み、積極的にクライアントの信頼を得るよう努めることが必須です。とはいえ、ゴルフなどのプライベートで関係性を深める努力はパートナーになってからで十分です。アソシエイトのうちは、案件を通してクライアントからの信頼を獲得できるよう努めましょう。若手のうちはどのような案件に関与できるかはコントロールしにくいですが、「これだ!」と思う案件があれば声がかかるよう、日頃からパートナーやシニアアソシエイトと良い関係性を保ち、仕事への貢献を通してアピールしておくことも効果的です。

②法律事務所から事業会社へ転職

法律事務所で実績を積んだ後、インハウスカウンセル(企業内弁護士)として事業会社へ転職する方が近年増加しています。ビジネスのグローバル化や複雑化に伴い事業会社も法務機能を強化しており、エイペックスでも途切れなくインハウス弁護士の募案件が出ています。

法律事務所でのタイトルによって、どのような立場で事業会社へ転職するかは変わってきますが、アソシエイトであれば法務部員やカウンセルと言う立場での採用が一般的です。もしパ-トナーであれば、法務部長やゼネラルカウンセルという役職での転職も視野に入るでしょう。

  • メリット

    インハウス弁護士になるメリットはこちらの記事にもありますが、なんと言ってもワークライフバランスが改善されプライベートとの両立がしやすい点が挙げられます。法律事務所ではビラブルアワーのターゲットがあり、長時間労働・休日労働が常態化することになります。大型案件ではクライアントもクロージングまで休日返上で対応しており、担当弁護士だけが週末休めるはずもありません。

    この点事業会社では、長時間労働を抑制し社員のワークライフバランスを重視する傾向にあり、社内クライアントも休日返上での対応を要求するようなことはほとんどありません。商社や外資系会社では深夜にコールが入ることがありますが、近年は多くの企業でリモートワークを積極的に導入しており、自宅からコールインできる体制が整えられています。また、法律事務所とは異なり社外からではなく企業内部から事業を支えられる点も、多くの方から魅力と捉えられています。

  • デメリット

    企業によりますが、法律事務所に比べて報酬額が下がるケースは稀ではありません。ワークライフバランスが改善する分、報酬面は相応の内容となることが多いと理解しておくと良いでしょう。もちろん同額もしくはアップを狙える企業もあり、特にエイペックスが採用パートナーとなっているような外資系企業では高額の報酬が提示されることも多くあります。特にヘルスケアやIT業界ではその傾向が強く、転職エージェントからの情報収集を怠らなければ大きなチャンスが巡ってくることも多々あります。転職後の給与体系はシステマチックで、全社一律の運用が一般的でありその傾向は国内事業会社で強くなります。

    また、弁護士が一般的に所属する法務・コンプライアンス部、知財部は会社の管理部門(バックオフィス)であり、あくまで黒子としてビジネスを支える立場です。大型案件になれば外部事務所に依頼することも珍しくなく、実戦よりも案件管理という側面が強くなることがあるため、企業内での立場や発言力の有無は確認する必要があります。しかし、だからこそワークライフバランスが実現されると言えますし、社内クライアントとの協働が多いため対人スキルを磨きより強い関係を構築できるチャンスも多くあります。

  • キャリア形成のポイント

    弁護士はあくまで黒子とお話しましたが、法務でも上の立場になるほど会社運営に関わる業務も多くなり、ビジネスに深く関わりながら事業の成長を推進できる醍醐味も味わえます。法務的な側面からビジネスの伸長をサポートすることに興味があるのであれば、是非転職エージェントにその旨を伝えてください。多くの企業で、リーガル面とビジネス面両方を支えてくれる人材を欲しています。

    インハウスロイヤーとしてのキャリアパスを目指す場合に大切なことは、希望する業界の案件実績を積極的に積んでおくことです。また、インハウス経験のある方が有利になりますので、若手のうちからクライアント先への出向を経験しておくのも手段でしょう。

➂法律事務所から別の法律事務所へ転職

はじめに国内の中小規模事務所に就職した場合、大手渉外事務所や総合事務所に中途入所を目指す、あるいは国内事務所から外資系事務所を目指すキャリアパスが考えられます。多忙な大手事務所では即戦力としてアソシエイトを求めていることがあり、国内事務所では時々ですが外資系事務所では常時募集があります。

  • メリット

    大手事務所のアソシエイトの報酬は1,000万円を大きく越えるため、収入アップが見込めるでしょう。また、大規模なクロスボーダー案件や話題の国内案件に関与できる可能性が大きく、担当した案件が日経新聞に掲載されるのも普通のことになります。大手事務所や外資系事務所では、英会話や海外留学、その他研修の機会も多く用意されているので、英語力も含めスキルアップも見込めるでしょう。

  • デメリット

    大手事務所はとにかく多忙、と言う点に尽きます。案件がクローズすれば息をつくことはできますが、逆にクローズまでは週末を含めプライベートの時間を取り難いのが現実です。案件稼働中はプライベートが相当犠牲になってしまうので、転職前から友人や家族の理解を仰いでおくと良いと思います。

  • キャリア形成のポイント

    このキャリアパスを目指す場合は、現在所属している事務所での案件実績を積み、それを一覧にしておくことが大切です。法律事務所への転職では実績一覧の提出を求められることが多いため、すぐに提出できるよう常にアップデートしておきましょう。実績の内容を確認して不足があれば、補うよう努める意識も生まれます。

    また、外資系はともかく国内の大手渉外事務所では、国内案件だけを担当している弁護士は皆無と言って良いでしょう。そのため転職の際には英語力が問われることがほとんどですので、ビジネスで困らない程度の英語スキルを身につけておくことが大切です。とはいえ、大手事務所では英会話レッスンが用意されていたり、外国人アソシエイトもいますので過度に心配することはありません。

    大手事務所や外資系事務所へのキャリアチェンジは、できるだけ若手のうちに転職することが成功への近道です。新しい事務所でのキャリアパスに食い込みやすい若手の時期に、出来るだけ早目の行動を心掛けましょう。

④独立する

法律事務所で勤務した後、個人事務所を立ち上げる弁護士の方も多くいらっしゃいます。一人事務所の場合もありますが、商事を扱う事務所であれば共同で事務所を立ち上げることも多いでしょう。アソシエイト時代に独立することはほぼ皆無で、多くはパートナーやカウンセルとして実績を積み、クライアントベースを確立してからの独立となります。

  • メリット

    自分が経営者となり、取り扱いたい案件や業界を選べるという圧倒的な裁量が大きな魅力です。法律事務所では、多くの管理スタッフや事務所の維持にかかるコストを弁護士が稼ぎ出しているわけで、自分の報酬とクライアントへの請求額の間には相当な乖離が生じます。一方、独立すれば事務所の立地やアシスタントの人数によっては、コストを抑えて売上をよりダイレクトに自身の報酬に跳ね返すことも可能です。クライアントへの請求も、大手事務所より低額にすることでクライアントの満足度を高めることもできるでしょう。

  • デメリット

    当然独立すれば、大手事務所のようなブランドに頼れずより強い営業力が必要となってきます。無名の事務所に依頼するクライアントはいないので、独立前にどれだけクライアントベースを確立しているかが重要です。事務所ではなく、この先生に依頼したいというクライアントが多ければ独立後も顧客を連れていくことができますが、元の事務所との間で競業に関する制限がないかチェックするようにしてください。

エイペックスでは、法務・コンプライアンスの専門チームが法律専門家の方々のキャリア形成をサポートしており、現在まで数多くの弁護士の方の転職を成功させてきました。キャリア形成に迷いのある方、市場情報を収集されたい方、そもそも何から始めて良いかわからないという方も、是非一度プロのコンサルタントとのキャリア相談会にお越しいただき、話を聞かせてください。(WEBでのご相談も可能です。)

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