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ワークライフバランスに代わる「ワークライフインテグレーション」とは?

私生活を犠牲にして仕事に邁進するという生き方が良しとされたのは、もうずっと昔のことです。現在は「仕事も、プライベートも」「自分の価値観を仕事に反映させる」などの考えが主流になっています。そしてその時流のなかで生まれたのが、「ワーク・ライフ・インテグレーション」という考え方です。

■ワーク・ライフ・インテグレーションとは?ワークライフバランスとの違い

ワーク・ライフ・インテグレーションの概念は新しく、2008年ごろから提唱され始めたものです。

ワーク・ライフ・インテグレーションは、「仕事と私生活を統合させ、相互を自由に行き来し、相乗効果を上げていくこと」を目的とした概念です。

これだけの説明ではわかりにくいかもしれませんが、「在宅勤務によって通勤時間をなくし、家族と過ごす時間を長く持つ」「(社会人になった後にさらに)スキルアップのための教育を受けて、キャリア形成を図る」などのような例を挙げると、この概念が理解しやすいかもしれません。

ワーク・ライフ・インテグレーションは、しばしばワークライフバランスと比較されます。もともと前者は後者を土台として生まれた概念であるため、この2つには似ている部分があります。

しかし、ワークライフバランスはあくまで「仕事と私生活のバランスを取る=この2つを分けて考える」という価値観から来ています。そのため、「私生活か、仕事か」あるいは「この2つを両立させるためにはどのような方法があるか」といったことを模索していくことになります。

しかしワーク・ライフ・インテグレーションの場合は、この2つを分けることなく、「私生活が仕事に、仕事が私生活に影響を与え合い、相乗効果でより良い人生を形成していくこと」が目的になるのです。

■ワーク・ライフ・インテグレーションのメリット・デメリットについて

ワーク・ライフ・インテグレーションが実現した場合、企業側からすれば、

  • それぞれの個性が活かせるダイバーシティの実現が可能になる

  • 私生活との兼ね合いで獲得が難しかった優秀な人材を採用できる

  • 従業員のモチベーションをアップさせて、定着率を上げることができる

  • 無駄な残業をなくし、生産性をアップさせられる

  • 自己啓発に積極的な社員の能力を向上させ、より優秀な人材を育成できる

などが実現できます。

また働く側からみても、

  • 仕事と私生活のバランスが取れ、どちらか一方を削ったり犠牲にしたりするストレスが軽減される

  • 育児、介護などの理由で時短勤務しかできなかったが、フルタイムで働けるようになり収入アップが見込める

  • 学習欲が満たされるうえ、それを仕事で活用することができる

  • どんな状況下でも働くことができるため、社会と分断されにくくなる

などのメリットがあります。

ただし、ワーク・ライフ・インテグレーションもまた万能な概念ではありません。

これを実現しようとする場合、企業がリモートワークなど柔軟な働き方を社員に提供することが重要な要素となってきます。そのためには、高度なセキュリティシステムが必要になりますし、それぞれの仕事の可視化が難しくなるため、従業員の評価の仕方を再考する必要も出てくるかもしれません。独身者などの「仕事優先で働ける人」にだけ負担がかからないように配慮する必要もあります。

従業員側からのデメリットについても見ていきましょう。

この考え方を導入した場合、従業員のなかには「人の目がないからついさぼってしまい、評価が下がってしまった...」という人も出てくるかもしれません。また逆に、自己裁量権の大きさから、過労になるほどに働きすぎになってしまう可能性もあります。

個々のセルフマネジメント能力の高低がダイレクトに仕事に響いてくるため、この能力に自信がない人の場合は、余計にストレスを感じてしまうかもしれません。

■ワーク・ライフ・インテグレーションを実現するには?

ワーク・ライフ・インテグレーションは、完全無欠なものではありません。この概念を取り入れていくためには、自分自身のマインドセットも重要になってきます。

  • 自分にとってのワーク・ライフ・インテグレーションとは何か?仕事、家庭、自分自身、地域との関わりなど自分にとっての優先順位、それぞれの目標は何なのか?

  • そもそも柔軟な働き方が選択できる職場なのか?自身の希望が優先できなければ、上司への進言や転職は可能なのか?

  • 仕事では生産性を重視すること。そのための方策について考えること。(どの時間帯が一番効率が上がるのか?休憩はいつどれくらいしたら良いのか?自分のベストなスケジュールは?オンオフを明確にする、など。)

こういったことを問いかけてみて、自分自身に意識を向けるところから始めてみましょう。

仕事とプライベートの境界線を曖昧にする必要はありませんし、完璧なバランスを取る必要もありません。ワーク・ライフ・インテグレーションの素晴らしさは、社員がより良い人生を送るため、皆で創造力を発揮して新しい可能性を見出す努力ができることです。

エイペックスが採用パートナーとなっている企業でも、ワーク・ライフ・インテグレーション、ワークライフバランスをはじめ、社員の多様な働き方に対し積極的に施策を行っている企業がたくさんあります。正しい方法で行えば、ワーク・ライフ・インテグレーションは、あなたのキャリアの幸福度を向上させる鍵になるかもしれないのです。

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