「CHRO」は、CFOやCTOと並ぶ経営陣のひとりであり、企業の人事領域すべてを統括する「最高人事責任者」です。しかし、人事部長とは一体何が違うのでしょうか?
正直なところ、日本企業ではまだまだ馴染みの薄いポジションかもしれませんが、「人材が企業の競争力を決める」時代に突入した現在、CHROを置く企業は着実に増えています。
人事領域でキャリアを積んできた人にとって、CHROは十分に目指すに値するキャリアゴールです。また、必ずしも人事一筋である必要はなく、事業部門や経営企画など経営に近いポジションでの経験を持つ人にも門戸は開かれています。
そこで本記事では、CHROとは何なのか、人事部長やHRBPとどう違うのか、具体的な役割と仕事内容、そしてCHROになるためのキャリアの積み方や転職のヒントまで詳しくお伝えしていきます。
目次:
CHROとは?
CHROと人事部長の違い
CHROとHRBPの違い
なぜ、いま企業はCHROを必要としているのか?
CHROの具体的な役割と仕事内容
CHROに求められる資質・スキル
CHROになるにはどうしたら良い?キャリア形成のポイント
CHROの導入企業と求人例・年収
CHROを目指す転職成功のヒント
CHROへの転職でよくある質問
CHROへの転職はエイペックスのサポートを活用すると効果的
CHROとは?
CHRO(シー・エイチ・アール・オー)は、Chief Human Resource Officerの略称で、日本語に訳すと「最高人事責任者」となります。企業の人事領域すべてを統括し、経営戦略と人材戦略をつなぐ責任を負う経営幹部です。CHO(Chief Human Officer)という呼称もありますが、どちらも同じ意味になります。
CHROは、人事部門を管理するだけではありません。CEOやCFOといった経営陣の一員として、企業のビジョンを実現するために、人材面でどんな意思決定をすべきかを考え抜く役割を担います。採用から育成、評価制度、組織づくり、企業文化の醸成まで――「ヒト」に関わるあらゆる戦略を描き、実行に移していきます。
優れたCHROというのは、単なる人事のプロではありません。経営者としての視点を持っており、時には厳しい決断も下します。だからこそ、経営会議で堂々と発言し、CEOと対等に議論できるわけです。実際、ある外資系企業のCHROは「人事の仕事は、経営の成否を左右する」と発言しており、覚悟と責任感が求められるポジションといえます。
CHROはCxOのひとつ
CHROは、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)などと肩を並べる「CxO」の一員です。CxOというのは、特定領域で最高責任を持つ役職の総称で、経営の意思決定に直接関わる経営陣を指します。
よく「経営資源は『ヒト・モノ・カネ』」といいますが、CEOが企業全体の舵取りをし、CFOが財務面での戦略を担い、CHROは人材面での戦略を担当するため、「ヒト」を預かる最高責任者がCHROというわけです。
例えば、CEOが「今後3年で売上を2倍にする」という目標を掲げたとしましょう。そのとき、CFOは「そのために必要な投資額は?資金調達は?」と考えますが、CHROは「必要な人材は何名か?どんな人物像が理想か?採用と育成の計画は?」と考えます。
さらに、CHROはCFOとも密に連携します。人件費や採用コスト、研修投資などを経営の視点から判断し、投資対効果(ROI)を意識した人事施策を立案する必要があるためです。「この採用に1,000万円の予算を計上したが、どれくらいの事業インパクトを得られるか?」といった問いに答えられなければ、経営陣からの信頼は得られません。
このように、CHROには他のCxOと同じく、経営者としての視点が強く求められます。人事のプロであると同時に、ビジネス全体を俯瞰できる視点が必要です。
なお、CHROのようなCレベルポジションは採用の機密性が高く、候補者探索の難易度も高いため、エグゼクティブサーチが活用されるケースが多くあります。
エグゼクティブサーチの種類やメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
CHROと人事部長の違い
「CHROと人事部長は、何が違うのか?」は非常に多くある質問ですが、実は役割も責任範囲もまったく異なる職種です。人事部長がオペレーション重視なのに対し、CHROは経営戦略と人材戦略を結びつける戦略的な役割を担うことが最大の違いとなります。
人事部長は、人事部門の実務責任者として採用活動、労務管理、給与計算、研修の実施など、日々の人事オペレーションを円滑に回すことをメインの職責とします。もちろん経営戦略は理解していますが、ポジションはCHROの下位に位置し、CHROの方針に基づいて実務を回すのが役割です。
一方、CHROは経営陣の一員として、人事戦略そのものを立案します。「事業計画を達成するには、どのような人材が何名必要か?」「組織をどう変えれば競争力が上がるか?」「企業文化をどう育てれば、優秀な人材が定着するか?」こういった経営課題に、答えを出していく立場です。
CHROは経営会議にも出席し、人材面での投資判断、組織再編、M&A後の人材統合(PMI)といった重要な経営判断に深く関与しますが、人事部長が参画することはまずありません。
CHROとHRBPの違い
CHROと並んでよく聞く役職に、HRBP(Human Resource Business Partner)があります。これもまた近年注目されている人事職ですが、CHROと違い特定の事業部門や部署に寄り添って、そのビジネスユニットの目標達成を人事面からサポートする職種になります。
例えば、営業部門に配属されたHRBPなら、営業責任者と協働しながら「営業目標を達成するには、どんな人材が必要か?」「メンバーのモチベーションダウンに対しどう対処するか?」といった課題に取り組みます。いわば、「現場に近い戦略人事」のポジションです。
一方、CHROは企業全体の人事戦略を統括するため、個別の事業部門ではなく、組織全体を見渡して中長期的な人材戦略を描く役割です。もしHRBPが各部門に配置されているなら、CHROはそれらHRBPを束ねて全社的な方針を示す立場になります。CHROが四半期ごとにHRBP全員を集めて戦略会議を開き、各部門の課題を共有しながら全社的な施策に落とし込むということもあります。
関係性でいえば、CHROが「全社人事戦略の設計者」、HRBPが「現場での実行者」というイメージです。両者は、「CHROが描いた大きな人事戦略を、HRBPが各事業部門で具体化していく」という協力関係にあります。

なぜ、いま企業はCHROを必要としているのか?
ここ数年、CHROを置く企業が急速に増えていますが、なぜでしょうか?それは、少子高齢化対策のための人的資本への投資拡大や、グローバル化・DXなど競争環境の激化に関連があります。下記で見てみましょう。
労働人口減少による人的資本経営の重要性の高まり
日本の少子高齢化により労働人口は減る一方であり、優秀な人材の確保は年々難しくなっています。採用活動はもちろん、せっかく採用しても若手社員の定着が困難なことも多く、社員の「リテンション」についても企業が取り組むべき課題のひとつとなっています。
こうしたなか、企業価値を決める要素として「人材」が注目されるようになりました。「人的資本経営」という考え方が広まり、人材を単なるコストではなく、投資すべき資本として捉える動きが加速しています。2023年からは上場企業などに人的資本の開示が義務付けられたこともあり、投資家も「この会社は人材にどう投資しているのか?」という視点で企業を評価するようになりました。
CHROは、この人的資本に対しどう投資し、どう育てるかを設計するキーパーソンです。ライバル企業に勝つには、精度の高い人事戦略が不可欠であり、CHROの手腕が重要になっているのです。
グローバル化・DXなど競争環境の激化
ビジネスのグローバル化やDXの波で、企業を取り巻く競争環境は激化しています。市場の変化スピードは速く、経営判断にはかつてないほどのスピード感が求められています。
このような環境下においては、「カネ(CFO)」「ヒト(CHRO)」、「モノ(CEO・COO)」が三位一体となり、相互に連動した意思決定を行うことが不可欠です。財務戦略や事業戦略だけでは持続的な競争優位は築けず、人材戦略もまた、同等の優先度をもつ経営アジェンダとして位置づけられる必要があります。
例えば、新規事業の立ち上げにおいては、採用人材の質と量が事業の成否を大きく左右しますが、事業計画や資金計画を先行させて人材戦略を後回しにした結果、市場での競争力を失うケースも少なくありません。実例として、事業構想自体は優れていたものの、必要なエンジニアを早期に確保できず、結果として競合に市場を奪われてしまったケースもあります。
M&Aにおいても同様です。財務面やシナジーの議論だけで意思決定が進み、企業文化や人材の統合設計を軽視すると、統合後にキーパーソンが流出して期待した成果を得られないという事態が生じがちです。統合プロセスの失敗による人材流出は、決して例外的なケースではありません。
これらはいずれも、財務・事業・人材が十分に連動しないまま意思決定が行われた結果といえます。こうした重要な局面においては、CHROの専門的な視点を経営判断の中核に組み込み、人材戦略を含めた三位一体の意思決定を行うことが不可欠なのです。
CHROがいる企業は約2割、大企業では約5割
日本の人事白書によると、CHROまたはそれに相当するポジションを設けている企業は、全体の約2割にとどまっています。ただ、従業員数5,000名以上の大企業に絞ると、その割合は約5割にまで跳ね上がります。
つまり、規模の大きい企業ほどCHROの必要性を実感して導入を進めているということが伺えます。今後は中堅企業やスタートアップでも、CHROポジションへのニーズは確実に高まっていくでしょう。人材戦略の重要性が増している今、CHROは企業成長に欠かせない存在となっています。
出典サイト:「人事白書調査レポート2025 戦略人事 CHROが「いる」は約2割」
CHROの具体的な役割と仕事内容
CHROは経営幹部として、実に幅広い役割と仕事内容を担っています。以下の主要な5つの役割について、詳しく見ていきましょう。
人事視点からの経営参画
経営視点からの人事戦略の立案・実行
人材の育成
組織開発・企業文化の醸成
経営視点からの評価・報酬制度の設計
1. 人事視点からの経営参画
CHROは経営会議に出席し、人事の専門家として経営判断に関与します。新規事業への参入を検討する場面では、「事業成功のために必要な人材を確保できるか」「既存社員のスキル転換は可能か」といった人材面のリスクや可能性を整理し、経営陣に示します。事業戦略と人材戦略を結びつけて議論することが、CHROの重要な役割です。
また、CHROは現場と経営をつなぐ橋渡し役でもあります。従業員エンゲージメント調査の結果や離職率の推移、社員の声といったデータを分析し、組織の状態を可視化して経営層に共有します。現場で起きている課題を経営判断に反映させることで、組織改善や人材定着につなげていきます。
実際に活躍しているCHROの多くは、経営会議で積極的に発言しています。ただ意見を述べるのではなく、データに基づいた具体的な提案を行うことで、経営陣の意思決定を支えています。CHROには、感覚論ではなくデータドリブンな人材戦略を提示できることが求められるのです。
2. 経営視点からの人事戦略の立案・実行
CHROの最も重要な役割は、経営戦略と人事戦略を完全に連動させることです。CEOが描くビジョンや事業計画を実現するために、「どんな人材が必要か?」「どう組織を設計すべきか?」といった課題を、具体的な施策に落とし込んでいきます。
例えば、「3年後に海外売上比率を50%にする」という経営目標があれば、グローバル人材の採用計画、語学研修の強化、海外拠点の人事制度設計などを戦略的に進めます。DX推進が経営課題であるならば、デジタル人材の獲得やリスキリング(学び直し)プログラムの導入などを主導します。この場合、単に研修を企画すれば良いわけではなく、「このスキル転換によって、3年後には社内のDX人材を100名確保し、システム開発コストを30%削減する」といった具体的なロードマップを描く必要があります。
つまり、CHROは「経営の言葉を人事の施策に翻訳して実行する」という役割を担っているといえます。
3. 人材の育成
人材の育成は、CHROにとって中核的な役割のひとつです。CHROは経営戦略を踏まえ、将来にわたって組織に必要となる人材像やスキルを明確化したうえで、それに基づいた育成方針・育成計画を策定します。
具体的には、次世代リーダー育成プログラムの設計や、マネージャー層を対象とした研修の企画、社員一人ひとりのキャリア形成を支援する仕組みづくりなどが挙げられます。さらに、サクセッションプラン(後継者計画)を策定し、将来の経営幹部候補を計画的に育成することも、CHROが担う重要な責務です。
人材育成は短期的に効果が表れる取り組みではないため、CHROには中長期的な視点で組織全体の人材力を高めていく戦略的なアプローチが求められます。実際の事例として、CHROが10年単位で次世代リーダー育成のロードマップを描き、その進捗を毎年経営会議で共有するということがあります。人材育成を「経営課題」として継続的にマネジメントしていく姿勢こそが、CHROの価値を示す好例といえるでしょう。
4. 組織開発・企業文化の醸成
組織構造を設計し、企業文化を育てていくこともCHROの重要な職務です。CHROは事業の成長フェーズや中長期戦略を踏まえ、組織体制や役割分担を定期的に見直し、最適な組織に再設計する役割を持ちます。事業拡大や環境変化に応じて柔軟に組織を進化させることが、競争力の維持につながるためです。
また、企業文化や価値観を組織全体に浸透させることも欠かせません。例えば、「挑戦を後押しする文化」や「多様性を尊重する風土」といった企業が目指すあり方を、評価制度・表彰制度・各種施策を通じて具体的な行動レベルに落とし込むことが求められます。CHROは、制度設計やコミュニケーション施策、社内イベントなどを総合的に活用し、文化を“形”にしていきます。
こうした取り組みを通じて優秀な人材が定着し、個々の能力を最大限に発揮できる組織を実現することが、CHROに課されたミッションといえるでしょう。
5. 経営視点からの評価・報酬制度の設計
評価制度や報酬体系の設計も、CHROが担う重要な経営課題のひとつです。単に公平性を担保するだけではなく、経営戦略や事業方針と連動した制度設計が求められます。評価・報酬は、企業がどのような行動や成果を重視するのかを明確に示す、強力なマネジメントツールにもなるため極めて重要です。
例えば、イノベーションを重視する企業であれば、新たな挑戦を正当に評価する仕組みを取り入れることが重要です。挑戦そのものを評価項目に組み込んだり、一定の失敗を許容する設計とすることで、チャレンジを後押しする組織文化が醸成されます。
また、優秀人材の定着を図るために、市場競争力のある報酬水準を維持することや、ストックオプションなどの中長期インセンティブを活用することもCHROの判断領域です。外資系企業では、グローバルベンチマークとの比較を通じて、報酬の競争力を継続的に検証しています。
報酬は従業員のモチベーションや行動に直結する要素であるからこそ、人材への投資という経営視点で、どのように設計・配分するかを判断することがCHROの役割です。評価・報酬制度を通じて経営の意図を組織に浸透させることが、持続的な企業成長につながります。
CHROに求められる資質・スキル
CHROとして活躍するためには、人事領域における専門性に加えて、経営者としての視座と判断力、課題解決能力、英語を含めたコミュニケーション能力が不可欠です。
ここでは、CHROに求められる主な資質・スキルを整理します。
経営に関する幅広い知識
CHROは経営陣の一角を担う存在であるため、経営全般に関する幅広い知識と理解が求められます。具体的には、財務諸表の基本的な読み方、事業戦略の考え方、マーケティングの基礎、さらには法務やコンプライアンスといった分野まで、経営に関わる領域を横断的に把握しておく必要があります。
例えば、M&Aの局面では、財務デューデリジェンスだけでなく、人事デューデリジェンス(人材・組織面の評価)が成否を左右します。買収先企業の人材構成やキーパーソンの見極め、企業文化の違いを踏まえた統合方針を判断するためには、部分最適ではなく、経営全体を俯瞰する視点が欠かせません。
経営・人事戦略の立案能力
CHROには、経営戦略を正しく理解したうえで、それを実現するための人事戦略を設計・推進する能力が求められます。単に理想像を描くだけでなく、戦略を具体的な施策へと落とし込み、実行可能な計画として提示できることが重要です。
例えば、「グローバル展開を加速する」という経営方針に対しては、人員配置計画や採用方針、育成施策を数値ベースで設計する必要があります。具体的には、「3年間で海外拠点に100名を配置する。その内訳を現地採用50名、本社からの異動50名とする」「語学研修やグローバル人材育成を強化し、候補者プールを200名規模で形成する」といった実行レベルまで踏み込んだアクションプランが求められます。
さらにCHROには、こうした人事施策に要するコストと、事業成長への貢献度(リターン)を明確に示し、経営判断を支える役割も期待されます。人事戦略を「投資」として捉え、「経営の言語で説明できるかどうか」がCHROとしての力量を左右します。
人事領域の専門性
CHROには、人事・労務分野における高度かつ横断的な専門性が求められます。採用、育成、評価、報酬、労務管理、組織開発など、人事領域の各機能を体系的に理解し、全体最適の視点でマネジメントできることが理想とされます。
なかでも、労働法規や労使関係、コンプライアンスに関する知識は不可欠です。労務トラブルが発生した際に、法令を踏まえた適切な対応ができるかどうかは、企業リスクの管理という観点からもCHROの重要な責務となります。人事領域の専門性は、単なる実務知識にとどまらず、企業の信頼性やガバナンスを支える基盤であるといえるでしょう。
マネジメント力・コミュニケーション力
CHROには、人事部門全体を統括する高いマネジメント力が求められます。人事部長や各領域の人事担当者を束ね、組織として一貫した成果を生み出すとともに、人事機能全体を戦略的にリードしていく役割を担います。
また、CHROは経営陣、事業部門の責任者、現場の従業員など、さまざまなステークホルダーと向き合う立場にあります。経営層に対しては人事の専門家として論点を整理し、的確な提案を行う一方で、現場に対しては共感をもって課題に向き合い、信頼関係を構築することが欠かせません。こうした立場や視点の異なる相手との対話を成立させるバランス感覚が、CHROとしての実行力となります。
課題解決能力
組織には、離職率の上昇や従業員エンゲージメントの低下、採用難、組織の硬直化など、さまざまな人事課題が存在します。CHROは、こうした複合的な課題に対して、表面的な事象にとどまらず本質的な原因を見極める視点を持つことが求められます。
そのうえで、データに基づく分析力、論理的思考力による課題解決能力、そして解決のための施策を実行に移す推進力が必要です。人事課題を経営課題として捉え、継続的な改善につなげていくことが必要になります。
グローバル対応力・英語力
CHROは、外資系企業やグローバル展開を目指す企業において設置されるケースが多く、国や地域をまたいだ人事戦略を構想・実行できる視点が求められます。各国の法規制や労働慣行、文化的背景の違いを踏まえながら、全社として整合性の取れた人事施策を設計することが重要です。
また、海外本社や海外拠点との連携が不可欠となるため、ビジネスレベルの英語力はほぼ必須といえるでしょう。グローバル人事制度の導入経験や、異文化環境下でのマネジメント経験があれば、CHRO候補として高く評価されます。
CHROになるにはどうしたら良い?キャリア形成のポイント
では、CHROになるにはどうしたら良いのでしょうか?
CHROになるためのキャリアパスはひとつではありません。人事部門でマネジメントを積むか、事業部責任者・経営企画管理部門などからキャリアチェンジする、もしくは外資系企業でHRリーダー経験を積むなどのルートがありますが、共通して求められるのは「人事の専門性×経営視点」です。
どのキャリアパスが自身にとって最も有効かを考えながら、CHROになるためのキャリア形成のポイントを下記で解説します。
1. 人事部門でマネジメント経験を積む
CHROへの代表的なキャリアパスのひとつが、人事部門で段階的にキャリアを積み、マネジメント経験を重ねていく道です。このルートの最大のメリットは、採用・育成・評価・報酬・労務管理・組織開発といった、人事領域全般にわたる専門性を体系的に身につけられる点にあります。
人事マネージャー(HR Manager)や人事部長(Head of HR/HR Director)としての経験を通じて、制度設計や組織改革を主導する力に加え、複数の人事機能を横断的に統括するリーダーシップも養われます。また、経営陣と人事戦略について議論する機会が増えることで、経営視点を身につけやすいのも特徴です。
人事のプロフェッショナルとして専門性を高めながら、将来的に経営に深く関与したい人にとって、最も王道かつ再現性の高いCHROへのキャリアパスといえるでしょう。
2. 事業部門責任者からキャリアチェンジする
事業部門から人事領域へキャリアチェンジし、最終的にCHROに就くケースもあります。営業責任者や事業企画、現場マネージャーなどとして事業運営を担った経験を活かし、人事責任者を経てCHROへとキャリアを築くパターンです。
このルートの大きな強みは、「事業を理解している人事」として経営陣から高く評価されやすい点にあります。現場の課題や事業特性を肌感覚で理解しているため、机上の空論にとどまらない、実効性の高い人事施策を設計・実行できることが特徴です。事業部門で培った人材マネジメントや組織運営の経験は、そのまま人事戦略の質を高める要素となります。
実際に、営業本部長から人事責任者、そしてCHROへと転身した大手メーカーの事例では、営業現場を熟知している強みを活かし、営業人材の育成や評価制度を刷新し、現場からの納得感が高い施策として評価されました。
事業と人事の両方を理解できる人材は希少であり、経営と現場をつなぐCHROとして大きな価値を発揮できる可能性があります。
3. 経営企画や管理部門からキャリアチェンジする
経営企画・管理部門での経験を土台に、人事責任者を務め、最終的にCHROに就任するキャリアパスもあります。
このルートの強みは、財務やKPI、全社戦略への理解が深い点にあります。経営企画で培った戦略立案力や、数字に基づく意思決定力は、人事戦略の設計においても大きな武器となります。人的資本経営やサクセッションプランを、経営視点で構築できる点が高く評価されやすいのが特徴です。
また、管理部門全体を俯瞰してきた経験があるため、人事にとどまらず、総務・法務・財務など他部門との連携も円滑に進めやすいメリットがあります。
4. 外資系企業でHRリーダー経験を積む
外資系企業で戦略的なHR経験を積むことで、CHROへとステップアップする道は十分に開けます。採用や人事制度設計などの実務に加え、リーダーやマネジメントとしての経験を重ねていれば、CHROポジションへの転職においても評価されやすくなります。
外資系企業のHR部門は、いわゆる「戦略人事(経営と一体となり人事の視点から事業を戦略的に推進する)」としての役割が明確で、グローバル視点で人材マネジメントを担う環境にあります。本社方針のローカライズ、グローバル組織再編、M&A後の統合、リストラクチャリング対応など、変革局面を経験していれば、CHRO採用において「即戦力」と判断される大きな要素となります。実際に、外資系IT企業でHRマネージャーを務めた後にCHROに転職し、大幅な年収アップを実現した事例もあります。
一方で注意すべき点は、労務管理や手続き業務など、オペレーション中心の経験にとどまっている場合は評価につながりにくいことです。経営や事業に直結する戦略的な人事施策に主体的に関わった実績が、CHROを目指すうえでは不可欠といえるでしょう。
CHROの導入企業と求人例・年収
ここでは、CHROの募集が多い企業の特徴や求人例、想定年収について、エイペックスの人事領域を担当するシニアコンサルタントのシリクル・シリピヤワタナに意見を聞いています。
CHROを募集している企業の特徴として多いのは、①外資系企業・日系グローバル企業、②成長中のスタートアップ企業になります。
1. 外資系・日系グローバル企業
外資系企業がCHROを募集する理由は、HR機能が最初から経営に組み込まれているからです。外資系では、CEO・CFOなどと並びCHROが経営会議に参加するのが一般的で、HR戦略は事業戦略の前提条件と位置づけられています。グローバル共通のHR方針を各国に展開し、評価・報酬・タレントマネジメントを統一するため、経営視点を持つCHROの存在が不可欠です。
一方、日系グローバル企業においては、従来の人事の延長ではグローバル経営に対応できなくなっていることが影響しています。海外M&Aや外国籍社員の増加、成果主義への転換などにより、「人事=管理部門」という位置づけを超え、経営と一体で組織変革を推進する役割が求められています。その中核を担う存在として、戦略人事を統括するCHROが必要とされています。
2. 成長中のスタートアップ企業
急成長中のスタートアップや、変革期にある企業からもCHROの求人募集がよく出ています。これは、組織の急成長に伴い、経営課題として「人と組織」を本格的に整える必要が生じるためです。
特に、IPO準備中のフェーズではCHROの役割はより重要になります。上場準備に伴い、ガバナンス体制の整備や内部統制の構築、人事制度の透明性・公平性の確保が不可欠となり、人事を「オペレーション」ではなく「経営機能」として再定義する必要が生じます。
また、海外展開を見据えるフェーズでは、グローバル人材の採用方針、各国の労働法規を踏まえた制度設計、本社と海外拠点を横断した評価・報酬の統一ルールなど、経営判断を伴う人事課題が一気に顕在化します。こうした複雑な局面において、経営と一体となって人材・組織戦略をリードできるCHROが不可欠となるのです。
CHROの求人例・年収
下記は、エイペックスで取り扱うCHROの求人例・年収と、各企業の特徴です。スタートアップでは年収1,000万円~2,500万円程度が多く、大企業が募集する場合はさらに高額となり、4,000万円に近い年収オファーが出ることもあります。
ただし、CHROはハイクラス求人のため秘匿性が高く、求人サイトには掲載されない非公開求人が多くあり年収もさまざまです。一般の転職サイトをチェックするだけでなく、転職エージェントとの協働が必要なポジションといえます。
• スーパーフレックス
• 副業可
• 海外展開計画中
• スタートアップのためゼロからのスタート
• スーパーフレックス
• 海外展開・IPOを見据え拡大中
• チームビルディング・マネジメント重視
• フレックス勤務可
• IPO・海外進出準備中
• 独自技術を強みとするスタートアップ
CHROやそのほかのHR関連の求人募集は、エイペックスの人事領域専門コンサルタントまでお問い合わせください。
CHROを目指す転職成功のヒント
CHROは企業にとっても経営の行方を左右する重要なポジションであるため、転職を成功させるには戦略的なキャリア形成と転職でのアピールが必須です。そこで、下記の3つのポイントを見てみましょう。
経営陣と意思決定を行う戦略人事経験を積む
人事施策の成果を数値で示し、経営インパクトを語る
ハイクラス・人事領域に強い転職エージェントを活用する
1. 経営陣と意思決定を行う戦略人事経験を積む
CHROには、人事の専門性に加えて明確な経営視点が求められます。そのため、CEOや事業責任者と同じテーブルで議論し、人材に関する重要な意思決定に主体的に関与した経験が不可欠です。単なる助言者ではなく、経営判断の一翼を担った実績が評価されます。
具体的には、中期経営計画と連動した人員・組織計画の策定、採用投資や人件費配分の意思決定、組織再編や役割定義の見直し、経営幹部や後継者(サクセッション)の選定といったテーマに関与してきたかどうかが重要なポイントとなります。単に「経営会議に同席していた」だけでは不十分で、自身の提案が意思決定に反映された経験が求められます。
また、事業KPIと人事施策を結びつけて説明できることも欠かせません。人材施策をコストではなく投資として捉え、「施策の結果、売上や生産性がどう変化したのか」「離職率改善によってどの程度のコスト削減につながったのか」といった、ビジネスインパクトを定量的に示せる実績があると、CHRO候補としての説得力が大きく高まります。
一方で、労務管理や制度運用といったオペレーション中心の経験にとどまっている場合、CHROへのステップアップは容易ではありません。経営と一体となり、戦略人事をリードできるような経験を積みましょう。
2. 人事施策の成果を数値で示し、経営インパクトを語る
CHROは経営層としての採用となるため、成果は必ず具体的な事例や数値で示し、「何を実現したのか」「経営にどのような価値をもたらしたのか」までを言語化しておくことが重要です。
例えば、「採用計画の達成率を150%に引き上げた」「従業員エンゲージメントスコアを○ポイント改善した」「離職率を○%削減した」「次世代リーダー育成プログラムにより○名の管理職候補を輩出した」など、定量的な成果を明確に提示することが重要です。
加えて、その成果が事業に与えた影響までを説明し、説得力を一段引き上げましょう。「離職率を15%から8%に改善した結果、年間の採用コストを約3,000万円削減できた。結果、組織の安定化を通じて顧客満足度が10ポイント向上した」といった形で、人事施策と経営成果を結びつけたストーリーを語れることが理想です。
特に、CHROを設置するケースが多い外資系企業では、グローバル視点での組織変革経験が高く評価されます。本社方針のローカライズ、グローバル組織再編、M&AやPMI、リストラクチャリング対応といった変革局面での実績があれば、CHRO候補として「即戦力」と判断されやすくなるでしょう。
3. ハイクラス・人事領域に強い転職エージェントを活用する
CHROは高年収となるハイクラス求人であり、一般の転職サイトにはない非公開求人であることが多いポジションです。そのため、ハイクラス転職・人事領域に特化した転職エージェントを活用することで、良い求人に巡り合うチャンスが格段に広がります。
ハイクラス層に特化した転職エージェントは、企業の経営層と密接に連携しており、各社の採用背景や経営課題を深く理解しています。とりわけCHROポジションでは、CEOや経営陣がどのような役割を期待しているかが企業ごとに大きく異なるため、求人票を確認しただけでは適切な応募先を選ぶことは困難です。
例えば、ある企業では「グローバルでの変革経験を持つ人材」を重視する一方、別の企業では「日本企業特有の文化や慣習を踏まえつつ、組織改革を推進できる人材」が求められることもあります。こうした言語化されにくい期待値やニュアンスまで把握している転職エージェントに相談し、応募先企業のニーズに即した応募書類の作成や面接対策を行うことが、CHROへの転職を成功させるうえでの重要なポイントとなります。
エイペックスは、ハイクラスの外資系・日系転職に強みを持つだけでなく、人事領域を専門とするプロフェッショナルチームが、CHROなど人事領域でのキャリア成功を目指す方々に個別のサポートを提供しています。プロのサポートを受けて転職成功の確率を上げたいと考える方は、ぜひ下記のボタンからキャリア相談会にお申込みください。
CHROへの転職でよくある質問
ここで、CHROへの転職でよくある質問に答えていきます。
Q. CHROの平均年収はどれくらいですか?
求人募集の多いスタートアップの場合、CHROもしくは人事責任者という役職で採用を行うケースが多いでしょう。平均年収は1,000万円~2,500万円程度が多く、成長フェーズが進むほど上昇傾向にあります。ただ、スタートアップではベースとなる年収に加え、ストックオプション等のインセンティブが設計されることも多くあり、結果的に全体の報酬が高くなることもあります。
一方、大企業のCHROは、グループ全体の人材戦略やガバナンス、グローバル人事を統括する立場にあるため、責任範囲が非常に広くなります。そのぶん給与水準も高く、年収に加えて業績連動報酬や長期インセンティブが組み合わされ、結果として4,000万円に近い水準となるケースも珍しくないでしょう。
Q. CHROになるにはどうしたら良いですか?
CHROになるために共通して求められるのは、「人事の専門性」と「経営視点」です。人事部門でマネジメント経験を積む「王道ルート」のほか、事業部門責任者や経営企画部門から人事領域へキャリアチェンジする道があります。これらのルートでは、現場の課題や事業戦略を肌感覚で理解している「事業を理解した人事」として、実効性の高い人事戦略を立案・実行できる点が評価対象となります。
また、外資系企業でHR経験を積むことも有効です。外資系では、HRは経営戦略を実現するためのパートナーであり、CHROに近い戦略的な役割を比較的早い段階で経験できることが強みとなるでしょう。
Q. CHROとCHOはどう違うのですか?
CHOは Chief Human(Capital)Officer の略称で、一般的に「最高人事責任者」と訳されます。CHROも同じく最高人事責任者であり、いずれも人材・人事領域を統括するCレベルの役職を指しています。呼び方に違いはあるものの、実務上は同じ概念として扱われるケースが多いでしょう。
CHROへの転職はエイペックスのサポートを活用すると効果的
CHROは、人材戦略と経営戦略を統合し、事業成長に不可欠な「人材×経営」を担うキーパーソンです。人的資本経営が重視される現代において、その役割の重要性は高まる一方であり、採用ニーズも今後伸びることが予想されています。転職を成功させるためには、人事領域の専門性を磨きつつ、組織変革を実現した実績を持つこと、そして経営者としての視座を持つことが必須となります。
また、自身の強みを応募先企業のニーズと的確にマッチングさせ、適切にアピールすることも重要です。具体的には、中期経営計画と連動した戦略人事の経験や、人事施策の成果を経営インパクトに結びつけて定量的に語れることが、CHRO候補としての説得力を大きく高めます。
CHROのポジションは、高年収のハイクラス求人であり、一般の転職サイトには掲載されない非公開求人が多いのが実情です。そのため、ハイクラス転職・人事領域に特化した転職エージェントを活用することが、良い求人に出会うチャンスを格段に広げることになります。
エイペックスは、ハイクラスの外資系・日系企業への転職に強みを持つだけでなく、人事領域を専門とするプロフェッショナルチームを擁しています。企業の経営層と密接に連携しているため、求人票だけでは分からない「CEOや経営陣がCHROに期待する真の役割やニュアンス」まで深く把握しているため、応募先企業のニーズに即した応募書類の作成や、面接対策といった個別サポートを提供することができます。
CHROへの転職成功の確率を高めるためには、戦略的な転職活動が必須です。まずは、下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。