更新日2026年3月13日
公認会計士の転職市場は、近年「超・売り手市場」ともいわれるほど活況が続いています。
以前のような監査法人間の横移動だけでなく、事業会社の財務・会計部門やCFO候補、金融機関、コンサルティングファーム・FASなど多岐にわたる選択肢があり、転職によって年収アップやワークライフバランスの改善を実現するケースも増えています。
一方で、「監査法人を辞めてもキャリアは安定するのか」「専門性は他業界でも通用するのか」「何歳までに転職すべきか」といった不安を抱える人も少なくありません。
そこで本記事では、公認会計士の代表的な転職先の一覧や最新の転職市場動向、ベストな転職年齢・タイミング、転職先の選び方など、転職を成功させるための具体的なポイントを徹底解説します。
要点サマリー(30秒)
公認会計士の転職市場は「超・売り手市場」であり、監査法人に限らず事業会社・外資系企業・IPO準備企業など多様なキャリアパスが広がっています
事業会社への転職でも年収維持〜アップを実現できるケースが増えており、特にCFOなどの上位ポジションを目指す場合にはスタートアップが最も効率的なルートです
転職に最適なタイミングは、「実務経験3~5年目(20代後半〜30代前半)」かつ「インチャージ(現場責任者)経験後」です
年収アップを狙う場合は、外資系企業・大手上場企業・コンサル(FAS・M&A)・PEファンド・外資系投資銀行など「意思決定や企業価値向上に直結する領域」への転職が有力です
転職を成功させるには、年収・働き方・キャリア目標など転職で実現したい要素に優先順位をつけ、中長期的なキャリア形成の視点で転職先を選ぶことが重要です
目次
公認会計士の転職市場動向①:「超・売り手市場」
公認会計士の転職市場動向②:「監査法人以外が人気の転職先に」
公認会計士の主な転職先一覧|広がるキャリアの選択肢
【転職先別】公認会計士の年収相場の比較
公認会計士の転職に最適なタイミング・年齢・経験年数
【転職先別】公認会計士の転職の「ベストタイミング」
公認会計士が転職を成功させるための4つのステップ
【失敗しない】公認会計士の転職先の選び方
公認会計士の転職成功事例
公認会計士が転職するときの注意点
公認会計士の転職に関するよくある質問
公認会計士の転職先選びはエイペックスにご相談ください
公認会計士の転職市場動向①:「超・売り手市場」
公認会計士の転職市場は、近年きわめて活況な「売り手市場」が続いており、転職活動を開始すると複数の企業からオファーを受けるケースも珍しくありません。専門性を活かせるポジションの選択肢が広がっていることから、年収アップやキャリアの幅を広げられる好条件での転職も十分に実現可能な状況です。
こうした背景には、監査法人に限らず事業会社においても高度な会計・財務知識を持つ人材へのニーズが急速に高まっていることがあります。従来の監査や税務といった「守り」の業務に加え、経営環境のグローバル化やビジネスモデルの複雑化を受けて、経営判断を財務面から支援できるプロフェッショナル人材の確保が企業にとって重要な経営課題となっています。
特に、M&AやPMI(統合プロセス)、IPO(新規上場)準備、事業再生といった戦略的プロジェクトに加え、近年ではESG(環境・社会・ガバナンス)や人的資本といった非財務情報の開示対応など、財務領域に求められる役割は年々拡大しています。このような領域においては、単なる数値管理ではなく、事業成長や企業価値向上に直結する意思決定を支援できる人材として、公認会計士の専門性が高く評価されています。
また、経理・会計業務におけるSaaSやAIの普及により、定型的なオペレーション業務の自動化は進んでいる一方で、内部統制の設計・評価や資本政策の立案、M&Aにおけるバリュエーション算定など、経営に直結する判断業務については依然として高度な専門知識と実務経験が求められます。そのため、テクノロジーを活用しながら企業に付加価値を提供できる存在として、公認会計士の需要は今後も継続的に高まっていくことが見込まれています。
公認会計士の転職市場動向②:「監査法人以外が人気の転職先に」
近年、事業会社の経営企画や財務・会計、内部監査、コンサルティングファーム、金融機関、IPO準備中のスタートアップなど、監査法人以外のフィールドへ転職する公認会計士が増えています。
以前までは、公認会計士のキャリアアップといえばBig4などの監査法人への転職が主流でした。監査法人でマネージャーレベルまで昇進した後に、独立するか税理士法人へ転身するのが王道とされてきましたが、ここにきて転職先の選択肢が増えています。
特に一般の事業企業の場合、ワークライフバランスが整った働き方が可能であったり、キャリアの選択肢が多く専門性の幅が広げられたり、昇進スピードが速く早期にキャリアアップを叶えられるなど、監査法人以外の転職先として魅力的な選択肢となっています。
こうした流れを背景に、公認会計士の事業会社における転職市場が非常に活発化しており、自身の志向や将来のキャリアビジョンに適した転職が可能となっています。もちろん単に資格を保有しているだけで希望通りの高待遇が得られるわけではなく、AIによる定型業務の自動化が進むなか「数字を正確に作る力」だけでなく、「その数値を経営戦略やリスク管理にどう活かすか」というビジネス視点を持った人材が、企業から求められているのです。
公認会計士の主な転職先一覧|広がるキャリアの選択肢
公認会計士の転職先は、自身のキャリア志向やライフスタイルにあわせて多岐にわたる選択肢があります。
主な選択肢として、下記の6つの転職先が挙げられます。
大手・上場企業(経営企画・財務・会計・内部監査)
IPO準備企業・スタートアップ(CFO候補・管理部門責任者)
コンサルティングファーム(FAS・M&Aアドバイザリー・事業再生)
金融機関(投資銀行・PEファンド・ベンチャーキャピタル)
監査法人
税理士法人
これらの転職先を、【キャリアの特徴】【平均年収】【働き方】にわけて解説していきます。
1. 大手・上場企業(経営企画・財務・会計・内部監査)
【キャリアの特徴】
大手・上場企業では、M&Aやグローバル展開の加速に加え、コーポレートガバナンス・コードへの対応やESG/非財務情報の開示義務化を背景に、経営企画・財務・会計・内部監査といったポジションで公認会計士の採用ニーズがかつてないほど高まっています。
公認会計士の役割は単なる決算業務に留まらず、中期経営計画の策定や業績管理(FP&A)、J-SOX対応を基盤としたリスクマネジメント体制の構築、さらには資本効率(ROE等)を意識した財務戦略の立案など、企業の経営判断に直結する業務に関与するケースが増えているのが特徴です。
大手企業という安定した基盤のなかで、経営層と密接に連携しながら事業成長や企業価値向上の施策に当事者として関与できる点は、公認会計士にとって極めて魅力的な選択肢です。将来的にCFOや執行役員、あるいは監査役といった企業の上位ポジションを目指す人にとって、有効な選択肢のひとつとなります。
【平均年収】
年収1,000万円〜1,500万円程度がオファーのボリュームゾーン
外資系企業やグローバル案件を扱うポジションが年収が高い傾向にあり、昇進に伴い年収も大きく伸びやすい
部門統括レベルになると、年収2,000万円~3,000万円程度も見えてくるため、監査法人時代を上回る待遇も可能
【働き方】
ワークライフバランスを重視したい人に最も選ばれる転職先
リモートワークやフレックスタイム制度の導入など、社員の働き方改革に力を入れている企業も多い
四半期ごとの決算期を除けば業務の繁閑が予測しやすく、プライベートの時間を確保しやすい
2. IPO準備企業・スタートアップ(CFO候補・管理部門責任者)
【キャリアの特徴】
急成長中のスタートアップ、とりわけ数年以内のIPOを見据える企業においても、公認会計士の専門知識に対するニーズは非常に高まっています。
業務は単なる管理機能にとどまらず、VCからの出資や金融機関からの融資による資金調達(Equity/Debt)の実行、資本政策の策定、適切な決算報告体制を構築するためのJ-SOX対応、証券会社や機関投資家とのコミュニケーション、監査法人による監査対応など、IPO実現に向けたプロセス全体を主導する役割が求められます。
スタートアップでは、入社直後から管理部長(コーポレート責任者)やCFO候補として、CEOに近い立場で経営判断に直結する財務戦略の立案・実行に関与できる点が特徴です。監査法人から将来CFOを目指す人にとって、スタートアップは最も効率的でおすすめのキャリアルートとなります。
また、上場を成功させた実績は市場においても高く評価されるため、将来的に複数企業でCFOを歴任する「プロCFO」としてのキャリア形成も可能となります。
【平均年収】
年収700万円〜1,000万円程度+ストックオプション(SO)が一般的
部資金調達・IR・投資家折衝などの経営関与がある場合には、年収~1,300万円程度まであり
部長・CFOクラスなら年収1,200万円を超えるオファーも多数
報酬体系が「固定給+賞与+株式報酬」である点が特徴
キャッシュでの給与は監査法人時代より下がるケースもあるが、上場成功時や企業の時価総額向上により大きなリターンを享受できるのが、ほかの選択肢にない魅力
【働き方】
少数精鋭の組織体制であるため裁量が大きい
経営上の重要な意思決定に、CEOに最も近い立ち位置で直接関与できるやりがいと責任の重さがある
IPO実現や事業の急成長を目指すスピード感のある意思決定と実行力が求められるため、エネルギッシュな就業環境を好む人に向いている
3. コンサルティングファーム(FAS・M&Aアドバイザリー)
【キャリアの特徴】
M&Aや事業再編を目指す企業の増加に伴い、FASやM&Aアドバイザリーに注力するコンサルティングファームでも監査法人出身者の需要が増加しています。
クライアントの経営戦略に直結するプロジェクトに参画し、主業務である監査スキルを活かした財務デューデリジェンス、PMI対応やMAS業務を活かした企業価値評価(バリュエーション)、さらに税務視点でのストラクチャリング支援、事業再生計画の策定など、M&Aに関する一連のプロセスに関与しながら投資判断や経営改善に必要な財務面からの分析・提言を行います。
ただし、ファームにより実務内容は異なり、Big4などの大手FASではクロスボーダー案件や大型ディールへの関与が多く、業務の分業化によって専門性を磨きやすい一方、中堅M&Aアドバイザリーやブティックファームなどでは、案件のソーシング〜エグゼキューションまで一気通貫で関与するケースが多くあります。
【平均年収】
年収800万円〜1,500万円程度がオファーのボリュームゾーン
マネージャークラスで年収1,000万円~、シニアマネージャー以上で年収1,500万円〜2,000万円程度が実現可能
ディールの成約実績など成果主義を採用しているファームが多いが、所属組織の規模によりボーナスの比重が大きく異なる
【働き方】
プロジェクト単位で業務が進むため、デリバリー直前などは一時的に業務負荷が高くなりやすい一方、近年は社員の働きやすさを重視するファームも増えており、プロジェクトの合間には長期休暇を取得できる場合もある
顧客の経営判断に直結するプロジェクトに参画するため、アウトプットの質やスピードに対する期待値が高く、成果主義の環境にストレスを感じやすい場合は注意が必要
4. 金融機関(投資銀行・PEファンド・ベンチャーキャピタル)
【キャリアの特徴】
近年、国内における事業承継案件の増加やスタートアップエコシステムの拡大を背景に、PEファンドやVC、投資銀行による公認会計士の採用需要は極めて高い水準にあります。
役割は単なる財務分析に留まらず、投資案件のソーシングから詳細なバリュエーション、エグゼキューション、バリューアップ(ハンズオン支援)まで多岐にわたります。投資実行からExit(株式公開や売却)までの全フェーズに一貫して携わることで、ファイナンスの専門性と実効性のある経営スキルの双方を同時に習得できる点が最大の強みです。
金融機関でのキャリアは希少性が高く、自身の市場価値を圧倒的に高めるため、将来的にCFOなどの経営リーダーを目指す人に向いています。
【平均年収】
VC:年収700万円~1,800万円程度
PEファンド:年収1,500万円~3,000万円程度
投資銀行:~5,000万円程度
監査法人からのキャリアチェンジとしては最も高年収を狙いやすい転職先である一方、投資判断に直結する高度な財務モデリングやビジネス分析能力が求められる
【働き方】
企業の成長や再生に深く関与するため、スピード感のある意思決定と高い専門性が求められるプレッシャーの大きい環境
案件ベースで業務が進むことから繁忙期は長時間労働となる傾向で、ワークライフバランスを求める場合には向かない
一方、経営に近い立場で戦略的な意思決定に携わりたい人にはチャンスが多い業界
5. 監査法人
【キャリアの特徴】
監査法人は、公認会計士にとって最も標準的なキャリアフィールドですが、法人の規模によって得られる経験は大きく異なります。
Big4などの大手監査法人では、グローバル企業の監査やIPO、ESG、IFRS導入といった高度なアドバイザリー業務に従事できる一方、業務が分業化される傾向にあります。対して、準大手・中小規模の法人では、主査(インチャージ)としてクライアント全体を俯瞰できるほか、監査に加え税務支援や経営コンサルティングといった幅広い領域をカバーできる「ゼネラリスト」としての経験を積める点が特徴です。
近年では、キャリアの早期段階で「大手の専門性」か「中小の汎用性」かを選択し、将来の独立やCFO転身を見据えてあえて異なる規模の法人へ転職する「戦略的なスライド転職」が増加しています。また、働き方の柔軟性や、特定業種(金融、製造、IT等)への特化を目指した転職も活発化しており、監査法人という枠組みのなかでもキャリアの多様化が進んでいます。
【平均年収】
スタッフ・シニアスタッフで年収500万円〜1,000万円程度、マネージャークラスで年収1,000万円〜1,500万円程度が相場
事業会社と比較しても高い水準にあり、資格手当や残業代が手厚く支給される点も特徴
準大手や中小でも、人手不足の影響から大手と遜色ない給与を提示する法人が目立つ
【働き方】
繁忙期(4月〜5月)の業務集中は避けられないが、近年はDX推進や働き方改革によりリモートワークやフレックスタイム制度が定着しつつある
閑散期には長期休暇を取得しやすく、年間を通じたメリハリのある働き方が可能
ライフステージに合わせて非常勤として働く選択肢もあり、資格を活かした柔軟なキャリア形成が可能
6. 税理士法人
【キャリアの特徴】
税理士法人は、クライアントの業界や企業フェーズに応じて幅広い実務経験を積める点が特徴であり、若手のうちから中小企業の経営者と直接コミュニケーションを取りながら、財務・税務の観点で経営課題の解決に関与できる機会も豊富です。
税理士法人は、公認会計士にとって「税務スキルの習得」と「経営支援の実践」を両立できる選択肢といえます。近年では、従来の税務申告や決算業務に加え、事業承継スキームの構築や組織再編、相続対策(資産税)、M&Aに伴う税務デューデリジェンスなど、高度なコンサルティング領域に注力する法人が増えています。
最大の魅力は、若手のうちから中小・ベンチャー企業の経営者と直接向き合い、財務と税務の両輪で経営課題を解決する経験を積めることです。クライアント開拓や事務所経営のノウハウを間近で学べるため、将来的に独立開業を目指したい人にとって、有効なキャリアパスとなり得ます。
【平均年収】
スタッフレベルで年収400万円〜600万円程度、マネージャーレベルで年収600万円〜900万円程度が相場
税理士資格保有者やクライアント対応・コンサルティング業務を担うポジションでは、年収1,000万円以上の年収を目指すことも可能
IPO準備企業の支援や国際税務など専門性の高い領域に関与することで、さらに年収アップが期待できる
【働き方】
クライアントごとの税務・会計業務を担当するため、繁忙期(決算・申告時期)は業務量が増える一方、閑散期は比較的落ち着いたメリハリのある働き方が可能
公認会計士の主な転職先の比較まとめ
【転職先別】公認会計士の年収相場の比較
近年の公認会計士のニーズの高まりから、監査法人と事業会社の年収格差は縮小傾向です。監査法人から事業会社へ転職しても、年収がダウンするケースは少なくなっており、転職先の企業やポジションによっては年収アップを実現できる可能性もあります。
ここでは、監査法人と事業会社の年収レンジの違いや、高年収を狙える職種の特徴について解説します。
監査法人と事業会社の年収比較
以下の表は、監査法人と一般的な大手事業会社、小規模事業会社(スタートアップ)における公認会計士の年収相場を比較したものです。
監査法人のマネージャークラスの年収は約1,000万円〜1,500万円ですが、大手事業会社のFP&Aやファイナンスポジションへ転職した場合でも、同等またはそれ以上の年収が提示されるケースも増えています。
監査法人の場合、一般的にマネージャーへの昇格は入社7年〜10年、おおよそ30代前半で着任するケースが多く、このタイミングで年収1,000万円に到達するのが通常です。
従来は、高い給与水準を誇る監査法人から一般企業へ転職すると年収ダウンは避けられないとされてきましたが、現在は事業会社側が公認会計士の専門性を高く評価しており、監査法人時代と同等以上の条件を提示するケースが増えています。特に、大手外資系企業やIPO準備企業では、シニアスタッフレベルであっても年収1,000万円前後を提示されることも珍しくありません。
ただし、事業会社では残業代の有無や住宅手当、業績連動賞与の比重などによって実質的な年収が変動します。目先の金額だけでなく、生涯賃金やストックオプションなどの期待値、福利厚生も含めた「トータル・リワード」の視点で比較することが重要です。
高年収が狙いやすい転職先はどこか?
公認会計士の転職で高年収が狙いやすいのは、金融機関、コンサルティングファーム、外資系の大手事業会社、IPO準備中のメガベンチャーが有力な候補となります。
最も高い年収が期待できるのは、PEファンドや外資系投資銀行でしょう。ベース給が高額であることに加え、投資利益に応じた成功報酬(キャリー)が支給されるケースもあり、パフォーマンス次第で数千万円単位の報酬アップが期待できます。
また、外資系コンサルティングファームやFASでは、M&Aディールや経営変革といった難易度の高い課題を扱うため報酬水準が非常に高く設定されています。シニアマネージャー以上に昇進すれば、年収1,500万円〜2,000万円以上への到達も十分に可能です。
一般の事業会社を選択する場合、大手外資系企業の財務部門や、上場目前のメガベンチャーが候補となります。外資系企業はベース給与そのものが高いうえに、成果主義によるインセンティブ制度を導入していることが一般的で、高年収が狙いやすい環境です。ベンチャー企業ではストックオプションが付与されることが通常で、将来の上場に伴うキャピタルゲインを含めることで生涯賃金を高めることが可能となります。
公認会計士の転職に最適なタイミング・年齢・経験年数
公認会計士が最も有利に転職できるタイミングは、「実務経験3~5年目(20代後半〜30代前半)」かつ「インチャージ(現場責任者)経験後」です。
この時期は、「若手特有のフットワークの軽さや吸収スピード」と「現場をリードできる即戦力スキル」を兼ね備えたバランスが高く評価され、年収や待遇が最大化された状態で豊富な選択肢から自分に合った転職先を選ぶことができるでしょう。
1. 転職に有利な「年齢」と「経験年数」
市場価値がピークに達し、転職で年収を上げやすい年齢と経験年数の目安は以下の通りです。
理想の年齢:27歳〜35歳 柔軟性や将来性と、現場での判断力・対応力といった実務スキルのバランスが最も取れている年代。年収レンジがまだ上がりきっていない点も企業にとっては採用コストを抑えやすく、事業会社やFAS、PEファンドなど幅広い転職先から高く評価される傾向にある
理想の経験年数:3年〜5年(インチャージ経験後) 監査法人で一通りのサイクルを経験し実務スキルが身についているため、企業側にとって「教育コストがかからず、即戦力として長く活躍してくれる」最も魅力的な層
2. 評価を高める「タイミング・実績」
年齢・経験年数だけでなく、以下のマイルストーンをクリアしていると市場価値が一段高くなります。
インチャージ(現場責任者)経験: 現場の最前線でチームをまとめ、監査計画から報告までの業務を統括した経験があると、プレイヤーでありながらリーダーも務められる証明となる。将来のマネジメント候補として、事業会社から高く評価される傾向
修了考査合格後: 「公認会計士」という正式な肩書きがあることは、事業会社やコンサルティングファームにおいて採用条件となることが多い
【転職先別】公認会計士の転職の「ベストタイミング」
公認会計士の転職では、「いつ動くべきか?」というタイミングが転職成功や年収アップ、将来選択できるキャリアパスに大きく影響します。
特に、目指す転職先によって企業側が求める経験値や役割が異なるため、評価されやすい「ベストな年齢」も変わります。ここでは、主な転職先ごとに公認会計士が市場で高く評価されやすい年齢の目安を整理します。
監査法人に在籍する公認会計士の場合、30代前半でマネージャーに昇進するタイミングで年収1,000万円に到達するのが一般的ですが、それよりも早いタイミングでFASや外資系事業会社へ転職することで、年収1,000万円までの道のりを短縮することができます。面接での評価によっては、入社3〜5年で年収1,000万円を達成することも可能です。
現職の監査法人で年収アップやキャリアアップが見込めない場合には、若手のうちから転職を考えることも有効な戦略となります。
公認会計士が転職を成功させるための4つのステップ
公認会計士の転職を成功させるためには、資格や経験のアピールだけでなく、自身のキャリア志向や市場ニーズを踏まえた戦略的な準備が不可欠です。
ここでは、公認会計士が転職活動を進めるうえで押さえておくべき具体的な4つのステップを解説します。
1. キャリアの棚卸しを行う
まず、これまでの監査経験や担当業務を振り返り、自身の強みや実績を整理しましょう。
自身の成果や学びが多かった主要プロジェクトを抜き出し、プロジェクトの「目的・規模」「直面した課題」「自身が実践したことや工夫した点」「成果」「学んだことや得たスキル」を書き出します。その際は、単なる職務経歴ではなく自身の行動プロセスと具体的な成果の両方を書くことで、面接官に「どう考えて動ける人か」を強く印象づけられる回答をこの段階で作成することができます。
また、実務経験だけでなく、業務改善提案や社内外の調整業務、チームマネジメントといったビジネススキルも可視化することで、自身の市場価値を客観的に把握しやすくなります。これにより、転職先でどのような役割を担えるのかが明確になり、選択肢の幅を広げることにもつながるでしょう。
関連記事:キャリアの棚卸しとは?具体的なやり方と転職活動への活用法
2. 転職目的に優先順位をつける
年収アップやワークライフバランスの改善、キャリアアップなど、転職によって実現したい目的は人によって異なります。転職活動の早い段階で「なぜ転職したいのか」を明確にし、それぞれの希望条件に優先順位をつけて整理しておくことが重要です。
例えば、短期的な年収向上を重視するのか、中長期的なキャリア形成を見据えるのかによって、選ぶべき業界やポジションは大きく変わります。判断軸を持つことで、提示条件の良し悪しだけに左右されない、納得度の高い転職先選びが可能になるでしょう。
3. 業界ごとの評価ポイントを理解する
事業会社やコンサルティングファーム、金融機関など、転職先により求められるスキルや評価基準が異なることを理解しましょう。
例えば、事業会社では現場との調整力や業務改善の経験が重視される一方、コンサルティングファームやFASでは、プロジェクト推進力や論理的思考力が求められる傾向があります。各業界がどのような経験や役割を評価するのかを理解し、自身の強みと一致する転職先を選ぶことが、入社後のミスマッチを防ぐポイントとなります。
4. 転職タイミングを見極める
実務経験や応募先ポジションによって、市場価値が高まりやすいタイミングは異なります。一般的には、実務経験を3〜5年積み、インチャージを経験した段階が即戦力として評価されやすく、転職市場での選択肢も広がりやすい傾向です。もし、そのタイミグを過ぎている場合には、マネジメント経験やプロジェクトリード、業務改善への関与といった付加価値をどのように示せるかが重要になります。
単なる監査経験の年数ではなく、「どのような役割を担い、どのような成果を出してきたか」を具体的に言語化することが、転職市場での市場価値を上げることにつながります。転職エージェントと、自身の強みをどの転職先で最も活かせるかを相談したうえで、キャリアステージに応じて戦略的に転職のタイミングを判断しましょう。
【失敗しない】公認会計士の転職先の選び方

公認会計士の転職では、「監査業務経験をこれからどう活かしたいのか」「転職によって何を実現したいのか」を明確にし、目標に応じた優先順位をつけておくことが重要です。転職によって自身の希望が叶うのかに加え、「転職先は長期的に活躍できる環境なのか」を慎重に見極めましょう。
ここでは、公認会計士が転職で失敗しないために、「何を転職の軸とするか」という観点から、転職先の選び方とミスマッチを防ぐポイントを解説します。
1. 年収で選ぶ方法
公認会計士が転職先を選ぶ際、「年収」は重要な判断基準のひとつです。監査法人と比較して年収を維持できるか、また中長期的な年収アップが見込めるかを見極める必要があります。
「年収」を重視する場合の主な選択肢は以下の通りです:
外資系事業会社・大手上場企業
コンサルティングファーム(FAS・M&A)
PEファンド
外資系投資銀行
特に外資系企業では成果に応じて報酬が変動するため、「基本給」と「インセンティブ・ボーナス」の割合を事前に確認することが重要です。成果主義の環境では、パフォーマンスによっては年収が下がる可能性もあるためです。
一方、IPO準備中のスタートアップでは、ベース給が低い場合でもストックオプションの付与により、中長期的な総報酬額が高まるケースもあります。その一方、福利厚生制度が限定的な場合もあるため十分な確認が必要です。転職先を選ぶ際は、以下を含めた「トータル・リワード」の観点から判断しましょう:
基本給および賞与の水準
株式報酬(SO等)
福利厚生(手当・退職金制度等)
副業の可否
2. キャリア目標で選ぶ方法
公認会計士にとって、転職は自身の専門性をどの方向に伸ばすかを決定する重要なターニングポイントとなり得ます。そのため、目先の条件だけでなく「将来どのようなキャリアを築きたいか」という中長期的な視点から転職先を選ぶ方法も有効です。
将来的なキャリア目標に応じた主な選択肢は以下の通りです:
経営ポジション(CFO等)を目指す場合
事業会社の財務部門・経営企画部門
IPO準備企業・スタートアップ
金融機関
専門性を高めたい場合
FAS
コンサルティングファーム
M&Aアドバイザリー業務
事業再生領域
内部監査
グローバル案件に携わりたい場合
外資系企業
グローバル展開する日系大手企業(海外拠点管理ポジションなど)
クロスボーダーM&Aを扱うFAS
転職先を選ぶ際は、「その環境で何ができるようになるか」「5年後、10年後の市場価値にどうつながるか」といった観点から判断することが重要です。
3. ワークライフバランスで選ぶ方法
年収やキャリアアップと並び、公認会計士の転職理由として多いのが「ワークライフバランスの改善」です。長く安定して勤められる転職先を選びたい人にとっては、転職エージェントに確認しながら、実際にどのような働き方になるのかを応募の過程で見極めていくことが大切です。
ワークライフバランスを重視する場合の主な選択肢は以下の通りです:
事業会社(経営企画・財務・会計・内部監査)
IPO準備が一段落した企業の管理部門
中小監査法人
税理士法人
一般の事業会社では、監査法人と比較しても年間を通じて業務量が安定しており、私生活との両立がしやすい傾向にあります。特に大手は社員の働き方に注力する企業も多く、リモートワークやフレックスタイム、独自の育休制度など柔軟な働き方を実現できる環境が多いでしょう。
一方で、外資系企業ではスピード感のある月次・年次決算の対応が必要であるため、完全な定時退社が保証されるわけではない点には注意が必要です。
ワークライフバランスで転職先を選ぶ際は、
チーム体制と役割分担、外部リソースの活用有無
月間の平均残業時間
有給休暇の取得実績
リモートワークの有無と頻度
フレックスタイムの有無とコアタイムの設定
グローバル本社との会議頻度(欧米企業の場合、夜間のミーティングがある可能性)
育児・介護との両立支援制度の運用状況、時短勤務社員の有無
といった点を確認しましょう。自身の専門性を活かしながら、勤務時間をコントロールできる環境かを見極めることが重要です。
4. 裁量の大きさややりがいで選ぶ方法
公認会計士としての専門性を活かし、「自らの判断で組織に影響を与えたい」「経営に近い立場で意思決定に関与したい」といった志向を持つ場合、裁量の大きさや業務のやりがいを軸に転職先を選ぶ方法も有効です。
ルールに基づいた業務遂行が中心となる環境から、主体的に意思決定に関与できる環境へ移ることで、経営視点が身につき組織の成長に直接貢献できるやりがいを感じられるでしょう。
裁量ややりがいを重視する場合の主な選択肢は以下の通りです:
スタートアップ(CFO候補/管理部門責任者)
IPO準備企業(管理体制構築・資金調達支援など)
事業会社の経営企画部門(社長直下で意思決定に関与)
少数精鋭の管理部門(業務プロセス・体制構築に関与)
一方で、裁量の大きいポジションを選ぶ際には、以下の点に注意が必要です:
意思決定の範囲(どこまで任されるのか)
担当領域の広さ(どこまで業務遂行できるのか)
経営層との距離(レポートライン)
社内の意思決定プロセス
チーム体制や業務負荷
これらの観点を面接や応募の段階で確認し、自身がどの程度の責任範囲で意思決定に関与できるのかを見極めることが重要です。役割の広さや経営への関与度を踏まえ、自身にとってやりがいのある環境かどうかを判断しましょう。
転職エージェントに相談するのが効率的
「どの転職先を選べば、自分の市場価値は上がるのか」「今転職すべきタイミングなのか」と悩んでいる人もいるでしょう。
公認会計士は選択肢が多いぶん、自身の志向に合う転職先の見極めが必要となります。しかし、キャリアビジョンや年収、ワークライフバランスなどの希望条件がどこまで現実的であり、自身の市場価値と採用ニーズがどこまでバランスが取れているのかなど、最適な転職先を自力で見極めるには限界があります。
そのため、公認会計士の転職においては財務・会計分野に特化した専門の転職エージェントを活用することで、より転職成功の確率を高めることが可能になります。
特化型エージェントを活用する主なメリットは以下の通りです:
キャリア目標・志向・市場価値の最大化を叶える求人情報の提供
中長期的なキャリア形成に関する客観的なアドバイスの提供
CFO候補などの非公開求人へのアクセス
応募先に最適化された職務経歴書のブラッシュアップ
企業情報の提供や面接対策による合格率アップのサポート
年収交渉や入社時期の交渉代行
転職を決断していない段階でも、今後のキャリア形成に向けてどのような経験を積むべきかといったアドバイスを得ることも可能です。
多忙な公認会計士にとって、信頼できるキャリアパートナーを持つことは納得感のある転職を実現するための有効な手段といえるでしょう。
公認会計士の転職成功事例
ここで、エイペックスのサービスを活用して転職を成功させた公認会計士の転職事例をご紹介しましょう。公認会計士として監査法人以外に転職したのち、どのようなキャリアパスや年収の実現が可能かについても参考にしていただけます。
転職成功事例①
洞察提供者(クレア・アンダーソン)
.jpg)
クレア・アンダーソン
2019年から財務・会計チームに所属するビジネスマネージャー。約10年の業界経験で培った強固なネットワークを活用し、これまでCFOやVP of Finance, Finance Directorなどの上位ポジションで数多くの紹介実績を持つ。世界的有名企業から日本市場進出間もないスタートアップまで、多岐にわたる業界のクライアント企業と協働経験があり、特に外資系企業のポジションの紹介を得意とする。2025年最優秀コンサルタント賞受賞。
【コンサルタントが考える転職成功のポイント】
「近年の傾向として、急成長中の外資系企業では、すでにHead of FinanceやCFOを長年務めてきた人材ではなく、将来的にHead of Financeへとステップアップできるポテンシャルを持つシニアレベルのFP&Aリーダーの採用ニーズが高まっています。
これは、そうした人材のほうが事業に新しい視点をもたらせること、高いハンズオン能力があること、CFOなどよりも長期的に企業にコミットしてもらえることがあるためです。この候補者もFP&Aとしての実績があるため、上記のような理由から高い評価を得ることができ、大幅な年収アップでの転職につながりました。」
転職成功事例②
洞察提供者(シリクル・シリピヤワタナ)
.jpg?locale=ja)
シリクル・シリピヤワタナ
2023年から財務・会計チームに所属するシニアコンサルタント。製薬、IT、エネルギー、リーガル、金融、コンシューマーなど、多岐にわたる業界の経理・財務ポジションの紹介を得意とする。世界的有名企業から日本市場進出間もないスタートアップまで、幅広い外資系企業のハイクラスポジションの紹介に豊富な実績を持ち、最優秀シニアコンサルタントも受賞している。
【コンサルタントが考える転職成功のポイント】
「事業会社のポジションでは、経営陣や事業部門と連携しながら業務改善や意思決定を支援する役割が求められます。そのため、現場に対して適切に意見を述べながらも、組織全体の合意形成を図る『マネジメント力』や『調整力』をアピールできるかが評価のポイントのひとつとなります。
また、中長期的な視点で企業価値向上にどう貢献できるかという観点から、『この会社でどのような役割を担い、どのように成長していきたいのか』といった長期的なコミットメントを示せた点も評価のポイントとなりました。こうした組織適応力や協働力、コミットメントの強さが、最終的な合否を左右するケースも少なくありません。」
転職成功事例③
【コンサルタントが考える転職成功のポイント】
「現職への不満をきっかけとした転職ではありましたが、面接ではネガティブな動機には触れず、自身の成長志向に焦点を当ててアピールできたことが好印象につながりました。
また、報酬や職責と自身の市場価値とのバランスを正しく理解したうえで、最も適した企業に戦略的に応募できた点も効率的に転職活動ができた成功要因です。」
転職成功事例④
洞察提供者(マイケル・ナランジョ)
.jpg)
マイケル・ナランジョ
2022年から法務・コンプライアンスチームに所属するマネージャー。リーガル業界のリクルーティングに10年以上従事しており、大手グローバル企業を中心にIT、ヘルスケア、メーカー、通信、不動産、メディアなど、多岐に渡る業界におけるインハウスポジションの紹介に豊富な実績を持つ。精緻なマーケット分析に基づいた深い市場洞察を提示しており、最優秀コンサルタントに複数年選出されている。
【コンサルタントが考える転職成功のポイント】
「前職の業務がキャリア目標や専門性と一致しなかったため、『グローバル企業における内部監査』という本来志向していたキャリアパスに立ち戻ることを希望していた方です。
転職市場では、英語を日常的に使用でき、かつ年収1,500万円以上の報酬を提示する外資系企業のCPA向け内部監査・内部統制ポジションは限られています。そのため、焦って転職先を探すのではなく、転職エージェントと連携しながら常に最新の求人情報を把握し、条件に合致するポジションが出た際に迅速に応募できる体制を整えておくことが重要です。
この方の場合も、事前にキャリアの優先順位について共通認識を持ちコンサルタントと上手く連携できたことで、希望する転職先からの早期の内定獲得につながりました。」
公認会計士の転職で気をつけるべき4つの注意点
特に公認会計士の場合、戦略のない転職はキャリア停滞のリスクがあります。
ここで、公認会計士の転職で失敗しないために、転職で気をつけるべき注意点と対応策を解説します。
1. 目先の年収・待遇だけでなく、業務内容を十分に確認する
目先の年収やポジションの魅力だけで転職先を選んでしまうと、入社後に「想定していた業務内容と違う」「裁量が小さく成長が感じられない」といったミスマッチが生じるリスクがあります。特に事業会社では、事業フェーズや組織体制によって求められる役割が大きく異なるため、報酬や待遇だけでなく、自身のキャリア目標と業務内容のマッチ度を見極めることが重要です。
そのため、選考段階で企業の評価制度やキャリアパス、チーム体制、期待される役割などを十分に確認しましょう。たとえ働き方の改善などが優先条件であっても、「今回の転職が中長期的なキャリア形成にどう影響するのか」という視点でも判断する必要があります。
2. 「監査経験が長い」=「市場価値が高い」と考えない
監査法人に長く在籍するほど、市場価値が高まると考えるのは過去の話です。特に事業会社やFASへの転職では、30代半ばを過ぎて監査経験のみの場合、「柔軟に実務をこなせない」「キャリアの割に年収が高く採用しづらい」といった理由から敬遠される、いわゆる「シニアの壁」に直面する可能性があります。
自身の目指すキャリアにおいて、所属している監査法人でのキャリア形成がどの時点でピークに達するのかを逆算し、希望年収に照らしながら現職のままで昇進を目指すべきか、キャリアアップを目指して転職を考えるべきかを見極めていくことが大切です。
3. 応募先企業のニーズに即した強みをアピールする
公認会計士の資格は確かに転職に有利ですが、転職先で評価されるのは会計や監査の知識だけではありません。転職後は、わかりやすい財務資料の作成能力や他部門との調整などのコミュニケーション力、経営課題を言語化する能力といった非財務スキルが必要となります。
また、企業ごとに求められる経験や役割は異なるため、事前にしっかりと求人票を確認し、「入社後に、自身のキャリアがどう活かせるのか」「それにより組織にどんな価値を提供できるか」を踏まえて強みや経験をアピールしなければなりません。そして、その論拠を具体的な数値や事例で示すことができなければミスマッチと考えられ、選考通過は難しくなります。
4. 「監査の延長線」で事業会社の実務を捉えない
例えば、事業会社のファイナンス部門は、各部門から集まる不完全なデータを整理・検証しながら、決算数値や予算、業績管理資料を構築していく役割を担います。あらかじめ整備された資料を前提に検証を行う監査業務とは異なり、実務では社内調整や業務プロセスの設計・改善といった業務の比重が高くなります。この違いを理解していないと、「想定以上に調整業務が多く、専門性を発揮しづらい」といったギャップを感じることがあるでしょう。
入社後のミスマッチを防ぐためには、事業会社が期待する職責の範囲と、自身がどのように価値を発揮できるのかを事前に明確にしておくことが重要です。例えば、同じスタートアップの経理ポジションでも、IPOを目指す企業と事業売却や事業拡大を志向する企業とでは求められる役割は異なります。監査のように個別論点を評価する視点にとどまらず、事業活動全体の流れを踏まえて数値を管理・活用するという意識への転換が求められます。
公認会計士の転職に関するよくある質問
ここで、公認会計士の転職に関するよくある質問に答えていきましょう。
Q. 監査法人を辞めてもキャリアは安定しますか?
A. はい。公認会計士は事業会社のFP&A、内部監査、財務部門などで高い採用ニーズがあり、監査法人を離れても中長期的に安定したキャリアを築くことが可能です。
会計知識は景気に関係なく継続的な需要があり、不況期には内部統制やコスト管理、好況期にはM&Aや資金調達などで活躍できます。監査経験で培った分析力やリスク評価能力はコンサルティングファーム、投資関連業務などにも展開可能であり、キャリアの選択肢が多いことから将来的な安定にもつながるでしょう。
Q. 事業会社への転職に向いている公認会計士の特徴は何ですか?
A. 事業会社への転職に向いている公認会計士は、会計知識の提供にとどまらず、社内外のステークホルダーと連携しながら業務改善や意思決定に主体的に関与できる人です。監査のように整った数値を検証するのではなく、不完全な情報をもとに現場と調整しながら数値を作り上げていく実務に対応できる柔軟性や、部門間の利害を踏まえたコミュニケーション力が求められます。
また、経営課題を自分ごととして捉え、財務・会計の視点から事業成長に貢献したいという志向を持つ人材が高く評価される傾向にあります。専門性を「チェック機能」ではなく「経営支援の手段」として活かせるかどうかが、事業会社で活躍できるかの重要なポイントです。
Q. 年収アップを狙える公認会計士の転職先はどこですか?
A. 公認会計士が年収アップを目指す場合、大手外資系企業やコンサルティングファーム・FAS、投資銀行、PEファンドなどが代表的な転職先となります。これらの領域では、会計士としての専門性が企業価値評価や投資判断などの意思決定に直接影響を与えるため、成果が報酬に反映されやすいという特徴があります。特に、M&Aアドバイザリーやトランザクション支援などディールに近い業務ほど報酬レンジが高くなる傾向にあり、経験や実績次第では年収1,500万円以上を目指すことも可能です。
また、大手外資系企業の経営企画や財務部門なども、年収アップを狙える有力な選択肢のひとつです。グローバル基準の報酬体系が採用されているケースが多く、基本給に加えて業績連動型のボーナスやインセンティブが支給されるため、成果次第では大幅な年収増加が期待できます。
Q. 公認会計士は将来CFOや経営層を目指せますか?
A. はい、公認会計士はCFOや経営層を目指しやすい職種のひとつです。事業会社のCFOは、企業の資金戦略や財務上の意思決定を担うポジションであるため、公認会計士のように高度な財務・会計知識を持つ人材が適任です。
特に、IPO準備企業や成長フェーズにある企業では、監査対応や内部統制構築の経験を持つ会計士が管理部門の責任者候補として採用されるケースも多く、CFOや経営に近いポジションへの早期のキャリアアップが最も現実的なルートといえるでしょう。
Q. 公認会計士が「転職最強」といわれる理由は何ですか?
A.公認会計士は専門性が高い希少な人材であり、あらゆる業界でニーズが高いため「転職最強」といわれます。単に資格が難関だからではなく、ビジネスの共通言語である「数字」を扱い、経営の根幹を支える専門性を備えていることが大きな強みです。
この専門性は業界を問わず、事業会社、コンサルティングファーム、金融機関などあらゆるフィールドで通用します。経営陣の意思決定を支える不可欠な存在として選択できる職種の幅が広く、結果として高年収での転職を実現しやすくなります。
また、好況期にはM&Aや新規投資といった「攻めの財務戦略」、不況期には事業再生やガバナンス強化といった「守りの領域」など、企業のあらゆる局面でその専門性が必要とされます。時代や景気の変動に左右されず、常に高い需要が存在し続ける点こそが「転職最強」といわれる所以です。
Q. ワークライフバランスが保てる転職先はありますか?
A. はい、大手企業の経理部門や内部監査部門は、ワークライフバランスを保ちやすい傾向があります。
監査法人のように繁忙期が極端に集中する働き方と異なり、事業会社では年間を通じて業務量が比較的一定であるため、残業時間や有休取得日のコントロールがしやすい点が特徴です。さらに、大手の事業会社ではリモートワークやフレックスタイム制度を導入している企業も多く、専門性を維持しながらプライベートとの両立を図ることも可能です。
特に、事業会社の経理や内部監査は企業活動を継続するうえで不可欠な管理機能であり、景気や事業フェーズの影響を受けにくい「安定性の高い職種」であるといえます。特に大手企業では業務分担やプロセスが整備されているため、過度な長時間労働に陥りにくく、専門性を活かしながら中長期的にキャリアを築きやすい環境といえるでしょう。
Q. 公認会計士が転職を考える場合、最適なタイミングはいつですか?
A. 公認会計士の転職で最適なタイミングは、20代後半~30代前半くらいで3〜5年程度の実務経験を持ち、かつインチャージ経験後がひとつの目安となります。この年代は、柔軟性や将来性と実務スキルのバランスが最も取れている時期として、高い市場価値で転職先が選択できる傾向にあります。同時に、監査プロジェクトを主体的に推進してきたインチャージ経験があればさらに評価されやすく、教育コストがかからない即戦力人材として市場価値が大きく高まります。
転職で重要なのは、現職に大きな不満がない場合でも、中長期的なキャリア形成を見据えて転職エージェントに登録しておくことです。担当コンサルタントと相談しながら、自身の市場価値を客観的に把握する目的でキャリアの棚卸しを行っておき、「好条件の求人」が出たタイミングで動けるよう準備しておくことが後悔しないキャリア形成につながります。
Q. USCPA(米国公認会計士)でも転職は可能ですか?
A. はい。USCPAの資格は、特にグローバル企業やコンサルティング業界において日本の会計士に引けを取らない高い需要があるため、十分に転職が可能です。US-GAAPやIFRSの理解に加え、ビジネス英語を駆使してファイナンス業務を遂行できる能力は、外資系企業の日本法人や海外展開を行う大手日系企業において「即戦力」として極めて高く評価されます。
日本の公認会計士が独占業務で強みを持つのに対し、USCPAは「国際基準の知識」と「ビジネスへの応用力」で評価されます。十分な実務経験があれば、年収1,000万円以上のハイクラスポジションへの転職も十分現実的です。
Q. 公認会計士が転職する際の代表的な応募ルートは何ですか?
A. 大きく分けて「特化型転職エージェント」「知人からの紹介(リファラル)」、「企業への直接応募」の3つの応募ルートがあります。
公認会計士はハイクラスポジションであるため、一般の求人サイトでは良い条件の求人を見つけるのは困難です。そのため最も多く利用されるのは、非公開求人を豊富に抱えるハイクラス専門の転職エージェントの活用です。エージェントを介することで、多忙な監査業務の合間でも効率的に情報収集ができるほか、職務経歴書の添削や面接対策、さらには個人では難しい年収交渉までをプロに一任できるメリットがあります。
なかでも「財務・会計領域に特化した転職エージェント」であれば、総合型エージェントとは異なり、コンサルタント自身が財務・会計業界の動向や各企業の組織事情・採用ニーズを深く理解しているため、単なる求人紹介ではないキャリアパートナーとして、長期的なキャリア形成を見据えたアドバイスが受けられます。監査法人での経験に応じた「今、動くべき正解」を提示してくれるため、ミスマッチのない確実なキャリアアップが実現できるでしょう。
公認会計士の転職先選びはエイペックスにご相談ください
公認会計士の転職は「売り手市場」と言われる一方で、事業会社、コンサルティングファーム、金融機関など選択肢が多岐にわたるからこそ、自身のキャリア志向や市場価値に合致した転職先を見極めることが重要です。年収アップやワークライフバランスの改善といった短期的な条件だけでなく、将来的にCFOや経営企画責任者といったポジションを目指すのか、専門性を活かしてディール領域でのキャリアを深めていくのかによって、最適な転職先は大きく異なります。
また、同じ「ファイナンス」「内部監査」「FP&A」といった職種であっても、企業の成長フェーズや組織体制によって求められる役割や裁量、評価ポイントは大きく変わります。そのため、求人票の情報だけで判断するのではなく、自身の転職目的に優先順位をつけたうえで、中長期的なキャリア形成の観点から転職先を選択していくことが、ミスマッチを防ぎ転職成功につなげる鍵となります。
現在監査法人に勤めており、今後新しいキャリアに一歩踏み出してみようと思う公認会計士の方は、まずはより確実で多くの情報にアクセスできる専門の転職エージェントに登録することをおすすめします。公認会計士に最適であるポジションはほとんどハイクラスであり、転職エージェントのみが扱う非公開求人が多いのが特徴です。
エイペックスは、外資系・日系企業のハイクラスポジションを専門とする転職エージェントです。財務・会計分野、法務・コンプライアンス分野に特化した専門の人材コンサルタントが、非公開求人を含めた最新の求人情報の紹介を行っています。
求人紹介のほかにも、転職成功を左右する履歴書・職務経歴書作成のサポート、企業研究の提供、面接対策・日程調整、給与交渉など、転職活動全体に渡りきめ細かな支援を行っています。コンサルタントは業界の市場動向に精通するプロであるため、今後のキャリアに関する的確なアドバイスが提供でき、効果的に転職活動やキャリア形成を進めることが可能になります。
公認会計士としてのキャリアをより充実させたいとお考えの方は、ぜひ下記のボタンからエイペックスのキャリア相談会にお申し込みください。