弁護士、特に「企業内弁護士」を取り巻く採用市場は近年非常に活発化しています。大企業からスタートアップまで多くの企業が弁護士を求めていますが、コンプライアンス部門の強化や法務DXへの対応など、採用傾向が徐々にシフトしてきています。
そこで、「2026年以降の弁護士の転職市場動向はどうなのか?」という疑問について、エイペックスの法務・コンプライアンス専門コンサルタントである金谷 梨加が解説します。

金谷 梨加
2021年から法務・コンプライアンスチームに所属するプリンシパルコンサルタント。法律事務所に加え、外資・内資を問わず、多岐にわたる業界のインハウスポジションを幅広く担当。将来的なキャリア構築を見据えた提案に定評があり、シニアレベルのインハウス案件や法律事務所案件を数多く手がける。特に、法律事務所のパートナー採用や、大手ヘルスケア・IT・金融企業におけるシニアカウンセルやリーガルヘッドポジションへの紹介実績を多数有している。
目次
弁護士の転職市場動向
企業内弁護士の転職市場・採用トレンドは?
法律事務所の弁護士の転職市場・採用トレンドは?
弁護士の主な転職理由
弁護士の4つのキャリアパスと転職先
弁護士の平均年収
弁護士の転職成功のポイントと注意点
弁護士の転職市場動向はエイペックスにお尋ねください
弁護士の転職市場動向
転職市場は、企業内弁護士の採用が活況
現在、企業内弁護士の採用が非常に活発化しており、2026年度以降も引き続き求人募集が増加することが見込まれています。
エイペックスが賛助団体になっている日本組織内弁護士協会(JILA)によれば、2001年に全国でわずか66名だった企業内弁護士は徐々に増え続け、2024年には3,391名、2025年には3,596名と急激に増加しています。
弁護士を採用する事業会社も、1,539社と年々上昇しています。弁護士の採用が多い企業は以下になりますが、特に金融・商社・IT企業でインハウス弁護士の採用が多いことがわかります。
1. LINEヤフー 80名
2. 三井物産 41名
3. 丸紅 34名
3. 三井住友信託銀行 34名
5. アマゾンジャパン 33名
6. 野村証券 30名
7. 三菱商事 26名
8. 三井住友銀行 25名
8. 三菱UFJ銀行 25名
10. 三菱UFJ信託銀行 24名
男女比を見ても、2001年は男性:女性=80.3%:19.7%だったのが、2025年は男性:女性=59.0%:41.0%と、男女比が6対4の割合にまで差が縮まってきました。
弁護士全体での女性の割合が20.5%(男性:37,374名、女性:9,666名 2025年6月現在)であることを考えると、いかに企業内弁護士の女性割合が高いかがわかります。これは、法律事務所よりも事業会社のほうがワークライフバランスに優れているという点が関連していると考えられます。
出典:日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2024年)1. 弁護士等の実勢」
企業内弁護士の転職市場・採用トレンドは?
需要が加速している企業内弁護士ですが、ここ数年で求人募集や採用傾向に変化がでてきています。以下で、企業内弁護士の転職市場動向・採用トレンドを詳しく見てみましょう。
トレンド① 法務とコンプライアンスが分離傾向に
以前までは、「法務部門」または「法務&コンプライアンス部門」というひとつの部署で、業務全般が運営されることが一般的でした。しかし近年は、特に大手企業や外資系企業で、法務部(Legal)とコンプライアンス部(Compliance)を分けるケースが増えています。
従来は、法務がコンプライアンス業務も担えるという認識でしたが、近年は社会や投資家からの要求が複雑化・多様化してきており、これらに対処するためコンプライアンス部門が強化され、法務部門から分離されつつあります。
《コンプライアンス部門強化の背景》
コンプライアンスに対する社会的関心の高まりと関連法規制の強化
企業不祥事の多発によるレピュテーションリスク回避の必要性
内部通報制度・不正調査体制の強化ニーズの高まり
事業のグローバル化推進による人権・取引コンプライアンスのリスク管理強化
ガバナンス・コード改訂によるリスクマネジメント強化の必要性
従来の法務領域にとどまらないESG・サステナビリティ経営の推進
両者を分離することで役割と独立性を明確化し、責任の所在をはっきりさせるとともに、経営管理や内部監査との連携を強化する狙いがあります。結果として、コンプライアンス部門は企業経営に不可欠な戦略部門となり、採用ニーズも急増しています。
一方で、スタートアップや中小企業では依然として両機能を兼務するケースが多く、両方に精通する人材のほうが転職での選択肢が増えることになります。
トレンド②「ガバナンス」「リスクマネジメント」機能の独立
上記の法務部・コンプライアンス部の分化に加え、近年では、リスクマネジメントやガバナンスを専門的に統括する部署を新設する企業も増加傾向です。
こうした部署は、直接的な法令遵守業務やコンプライアンス確保というよりも、企業の外部環境も想定したリスク管理や、企業における透明・公正な意思決定を確保することを目指し、企業全体のリスク最適化や意思決定を支援する役割を担います。
こうした動きから、従来の契約レビューや紛争対応といった法務業務ではなく、経営に近いガバナンス・リスクマネジメント業務を担う“上流ポジション”の弁護士採用が増加しています。
《新設部署例》
リスクマネジメント室/統合リスク管理部:企業横断的に財務・非財務リスクを把握・分析し、リスクコントロールと経営判断の最適化に貢献
ガバナンス推進部:取締役会の運営支援・内部統制やESG開示対応など、ガバナンス機能を包括的に統括
トレンド③ 業務の細分化が進む
法務・コンプライアンス部門の専門性強化、ガバナンス・リスクマネジメント部門の新設の流れを受け、転職市場でも次のような細分化された求人募集が多く見られるようになってきました。
「コンプライアンスオフィサー」「内部通報対応担当」
「リスクマネジメント担当」「ガバナンス推進担当」
「リーガルオペレーションズ(法務DX)担当」
「Ethics & Compliance担当者」
「リスクマネジメント&コンプライアンス担当者」
法務出身者だけでなく、内部統制・内部監査・サステナビリティ等の経験者がコンプライアンス職にキャリアチェンジしたり、その反対のケースも増えています。
ただ、こうした細分化の動きは専門性が向上するメリットがある一方、幅広い業務に携われないデメリットもあります。
トレンド④ 法務DXにより「守り」から「攻め」の法務業務へ
近年は、どの企業でも法務DXの推進が顕著です。従来の事務的・反復的な業務が自動化され、法務部門は単なる「守りの部署」から、経営の意思決定に積極的に関与する「攻めのパートナー」へと変化しつつあります。
弁護士が担う業務も、新規事業の法的リスク分析や課題解決、スキーム構築、海外進出に伴う法制度調査など、企業の成長やビジネスに直結する領域へと広がっています。
そのため、採用時には経営陣の意思決定のサポートが可能な戦略的思考力や、課題解決力がこれまで以上に重視される傾向にあります。
トレンド⑤ AI活用の推進力が求められている
AIの活用により、法務業務の利便性・効率化の向上、リスク低減といたメリットとともに、AIの導入が新たなリスクを生んでいることも事実です。
そのため、法務・コンプライアンス担当者に対し「どのAIを導入するか・AIをどう活用するか」と同時に「AIをどう適切に管理するか」という視点も求められています。
《近年求められる業務》
AI関連契約の法務対応
リーガルテックの導入検討
AI/ITソリューションの活用による業務変革支援 など
《近年求められる資質》
AIを含む技術革新への興味関心
AIツール活用による法務業務の効率化・改革の推進力 など
法律事務所の弁護士の転職市場・採用トレンドは?
日本の弁護士数の増加に伴い、法律事務所に勤務する弁護士の数も着実に増加傾向です(2024年時点で45,808名)。弁護士同士の競争レベルも上昇傾向にあり、若手のうちから戦略的にキャリアパスをデザインする力が必要となってきています。
トレンド① 留学後が転職の絶好のタイミング
近年は、LL.M.取得など留学後のタイミングで転職を考える弁護士の方が多い傾向です。事務所側も、そのタイミングで優秀なアソシエイト~シニアアソシエイトを欲しがる傾向にあるため、転職エージェントなどを活用し今後のキャリアにどのような選択肢があるのかを知る絶好のタイミングとなっています。
トレンド② プラクティスエリアは明確でないことが多い
大手・中小事務所に関わらず、専門性に関しては事務所のイメージによるところが大きい傾向です。大手であっても、チームごとにプラクティスエリアを明確に分けていないことも多く、そのため採用面接ではチームの棲み分けについて質問し、理解してから転職することが大切です。
トレンド③ 将来インハウスを目指すなら幅広い業務経験を
事務所勤務から将来的に企業内弁護士を検討している場合は、専門性を深めるよりも幅広い業務に対応できるスキルを磨いておくことが重要です。インハウスポジションが細分化の傾向にあるとはいえ、特定分野に特化したスキルのみでは選択肢は狭くなります。
事務所時代から幅広い分野の業務を経験しておくのがベストですが、そうでない場合は入社後にキャッチアップする意欲を面接のなかでアピールしましょう。
トレンド④ インハウスから事務所への転職もある
事務所からインハウスへの転職は近年よく見られるキャリアパスですが、反対に企業から事務所に転職する方もいます。インハウス弁護士としての経験は、事務所でのクライアントとの関係構築や、業界知識を深めたりクライアント組織内の事情把握にも役立ちます。
今後パートナーを目指していく場合には、ポータブルな顧客の有無やその規模が重要となってきますので、インハウスでの人脈も活用していきましょう。
事務所勤務の場合にも、自分がどのような経験を積みたいのか、どのキャリアを目指すのかによって、最適な転職先を選び分けることがより重要になっています。
出典:日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2024年)弁護士志望者数 vs 採用枠の推移グラフ ー事務所における弁護士の人数」
弁護士の主な転職理由
弁護士の転職市場を知るうえでポイントのひとつとなるのが、転職理由です。弁護士が転職を決意する理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
下記は、エイペックスに転職相談に来られる弁護士の方の転職理由で、特に多い4つになります。
1. 働き方を変えたい
最も多い転職理由は、法律事務所特有の長時間労働やビラブルアワーの負荷を回避し、働き方を変えたいというものです。
特に、結婚や出産・育児などのライフステージの変化や、海外留学からの帰国後のタイミングでワークライフバランスを見直したいという方が多く見られます。少し前までは、若手であれば激務に耐えるのが当然という風潮もありましたが、近年はジュニアレベルであっても早くから仕事とプライベートの両立を考える方が増えている印象です。
インハウスで働くことの大きな利点は、ワークライフバランスの充実です。標準的な労働時間は9時~18時となり、深夜や週末に働く必要がなく、リモートワークも可能なことが多くあります。年収は法律事務所よりも下がることが予想されますが、近年は副業を許可する企業も多くあり年収ダウンをカバーする手段にできるなど、多くの方が事業会社を選ぶ理由になっています。
2. キャリアアップの限界
法律事務所勤務の場合、これ以上の昇進は難しいと感じ転職を選ぶ弁護士の方は少なくありません。特に大手事務所では、パートナー昇格の枠が限られているうえ、クライアント基盤や売上といった数値要件が厳しく、一定の年次までに成果が出なければキャリアが頭打ちになるケースがあります。
特に女性弁護士の場合、アソシエイトとして多忙ななか結婚・出産などのライフイベントが重なる年代に入ると、仕事とプライベートの両立が難しくなるケースが増えます。パートナーを目指すためには「時間」と「質」の両面で成果を上げ続けなければならず、そのような働き方でライフイベントを乗り切ることに現実的な限界を感じ、転職を決意される方が多い印象です。
3. ビジネスに直接関わりたい
もっと経営寄りの業務に関わりたい、経営判断に直接貢献したいという場合、事務所に残るよりもインハウスロイヤーとしてキャリアを広げるほうが実現しやすいと考える弁護士の方も増えています。
何か問題があったときにだけ相談にのる事務所弁護士ではなく、組織の中核でビジネス戦略・リスク管理を当事者としてサポートすることで、事務所とは違うやりがいを感じることができるでしょう。特に、事務所から出向で一時的に社内弁護士を経験した場合、経営陣と密接に連携して直接助言ができる充足感ややりがいを覚え、インハウスロイヤーを志す方もいます。
4. 人間関係を変えたい
国内の大手法律事務所は数百名規模の大所帯ですが、外資系の事務所は少人数体制のことが多く、パートナーやシニアアソシエイトとの相性が日々の働きやすさに大きく影響します。特定のパートナーの案件だけが常に偏って回ってくる、指導スタイルが厳しすぎる、風通しが悪いなど、能力とは関係のない人間関係のストレスが蓄積し、転職につながるケースも多くあります。
また、事務所によっては文化や価値観が固定化されており、「自分の成長スタイルと合わない」「新しい分野に挑戦しにくい」と感じることも転職の動機となっています。
弁護士の4つのキャリアパスと転職先
活況な弁護士の転職市場ですが、キャリアパス・転職先にはどのような選択肢があるのでしょうか。以下で、代表的な4つを見てみましょう。
1. 法律事務所でパートナーを目指す
法律事務所では通常、アソシエイトからシニアアソシエイト、さらに数年でパートナーという明確なキャリアパスがあり、多くの若手弁護士は所属事務所でのパートナーを目指します。パートナーは案件受注やメンバーへの割り振りを担い、早ければ30代前半で昇格する人もいます。大手渉外事務所の場合、30歳前後でLL.M.取得のため米国などに留学することが一般的であるため、昇格は30代後半以降になることが多いでしょう。
パートナーを目指すメリットとしては、報酬が大幅に上がり、エクイティ・パートナーになれば事務所の業績に応じた収入が得られる点が挙げられます。また、若手に作業を任せられるため、全体管理・サインオフが中心となり、働き方の自由度も高まります。
ただし、パートナーは誰でもなれるわけではありません。特に、外資系事務所では数値基準が厳しく、大規模案件の実績やクライアントからの信頼が昇格の必須条件で、昇格後もその関係性を維持し続ける必要があります。
パートナーになれなかった場合は、他事務所や事業会社へ転職するか、カウンセルに就任するのが一般的です。カウンセルとは、売上げノルマのないパートナーの立場と理解され、専門分野での知識と実績、クライアントベースが確立している人材が就任し、近年増加傾向にあります。
2. 法律事務所から事業会社へ転職する
お伝えしたように、法律事務所で経験を積んだあとインハウスカウンセルへ転職する弁護士が増加しています。法律事務所でのタイトルによって事業会社での職位は異なりますが、アソシエイトなら法務部員・リーガルカウンセル、パートナーであれば法務部長やゼネラルカウンセルなどでの採用が視野に入ります。
事務所から事業会社へ転職する人の多くは、ワークライフバランスの改善を強く望んで入職するのが一般的です。事務所のようにビラブルアワーのノルマはなく、休日返上対応も原則ありません。近年はリモートワーク・フレックスタイム制を導入する企業が多く、企業内部からビジネスを支えられる点や、法務専門家として直接社員の力になれる点に魅力を感じる弁護士の方も多くいます。
ただ、報酬は事務所よりも下がるケースが通常です。外資系企業や金融・IT・ヘルスケア業界などは高額オファーも期待できるため、業界・企業選びは慎重に行いましょう。上位ポジションになるほど会社運営や事業戦略に近い業務に携われるため、ビジネス寄りのキャリア志向の方には相性が良い転職先でしょう。
関連記事:インハウス弁護士(企業)のメリット
3. 法律事務所から別の法律事務所へ転職する
中小規模事務所から、大手渉外事務所や外資系事務所へステップアップするキャリアパスは一般的です。大手は多忙なため即戦力アソシエイトの需要が常にあり、国内よりも外資系のほうが通年採用が多い傾向にあります。
大手・外資系事務所へ転職するメリットは、一番は年収アップになります。一般的に年収1,000万円超が見込め、大規模クロスボーダー案件や話題の案件へ関与できるチャンスがあったり、英語研修・留学などスキルアップ環境も充実しています。
ただし、圧倒的な多忙さが最大のデメリットです。案件が動いている期間は週末含めプライベートを確保しにくく、家族の理解が必要になるでしょう。また、大手では国内案件だけを担当する弁護士はほぼいないため、ビジネスレベルの英語力は必須となりますので、準備と意欲が必要です。若手のうちのほうが新しい事務所へ馴染みやすいため、ステップアップ転職は早めの行動が有利です。
4. 独立する
法律事務所で経験を積んだ後、個人事務所を立ち上げる弁護士も多く、商事を扱う事務所であれば共同で事務所を立ち上げることも多いでしょう。アソシエイト時代の独立はほとんどなく、通常はパートナーやカウンセルとして実績とクライアント基盤を築いてからの独立となります。
独立すれば自分が経営者となり、扱う案件や業界を自由に選べる点が最大の魅力です。事務所維持のコストを抑えられれば、売上がそのまま報酬に反映されやすく、大手より低額での請求でクライアント満足を高めることも可能です。
ただし、大手のようにブランドに頼れないため、営業力と独自のクライアント基盤が必須です。独立前に「この先生に依頼したい」という顧客をどれだけ確保できるかが成功の鍵となり、元の事務所との競業制限の有無もポイントとなります。
関連記事:弁護士の4つのキャリアパス メリット・デメリットを併せて解説!
弁護士の平均年収
ここで、転職先を考えるうえで非常に重要となる平均年収についてご紹介しましょう。
法律事務所の場合、若手のうちから1,000万円を超える年収が実現しますが、インハウス弁護士の場合はどうなのでしょうか。
下記は、エイペックスが実施した企業内法務ポジションに従事する413名を対象とした年収調査です。各業界ごとに企業内弁護士の平均年収を算出していますので、ぜひ転職の参考にしてみてください(主に首都圏に本社を置く外資系企業が約75%、同じ条件の日系企業が約25%)。
*総報酬額=基本給+目標賞与
高年収ランキングの第1位は生命保険・損害保険業界(約2,415万円)であり、第2位も銀行・証券・金融業界(約2,304万円)と、複雑な規制環境への対応やリスクマネジメントを必要とする金融業界が年収の上位となっています。
不動産・建設・エネルギー(約2,219万円)、医薬・医療(約2,157万円)、IT・通信・エンタメ(約2,144万円)など、社会生活に欠かせないインフラ系や医療、IT系もランキング上位となっています。
インハウスへの転職を考える際には、企業カルチャーや業務内容とのマッチが重要ですが、業界によって報酬額に差があり(約867万円)、企業選びに注意が必要です。現在企業内弁護士として働く人にとっても、異業種への転職で年収アップを実現できる可能性があるといえます。
弁護士の転職成功のポイントと注意点

弁護士の転職は一般の転職と違い、景気に関係なく一定の市場価値と需要があるため、基本的に「転職先がなくて困る」という心配がない点が特徴です。
そのぶん、しっかりとキャリアパスを考えて戦略的に転職を行えば、年収アップやキャリアアップ、選択肢を広げて理想の働き方を実現できたりと、多くのメリットを得ることができます。
そこで、弁護士の転職成功に必要となる4つのポイントを、注意点とともにご紹介します。
1. 自分のキャリア軸を明確にする
一昔前であれば、弁護士のキャリアは事務所で昇進を目指すか、他の事務所に転職することが一般的でしたが、現在は企業内弁護士の需要が加速しているなど働き方も多様化してきています。
そこで大切なのが、転職の前に必ず自己分析を行い、「どのような方向性でキャリアを前進させたいのか」を明確にすることです。自身がパートナー志向なのか、事業会社でビジネスに深く関わりたいのか、特定の領域で専門性を追及したいのか、スタートアップで事業拡大やIPOに貢献したいのかなど、自身の志向や価値観について理解を深めましょう。
現在までのキャリアの棚卸しも同時に行い、自身の強みや実績・専門性についても整理しておきます。企業法務を選ぶ場合であっても、ガバナンス、内部統制・内部監査、コンプライアンス、M&A、IPなど、携わりたい専門性によってキャリアの方向性が大きく変わります。
同時に、理想とする職場環境についても整理しておきましょう。ワークライフバランス・勤務地・年収・国際的な職場環境など、絶対に譲れない条件とある程度フレキシブルな条件を明確にし、優先順位をつけておくと企業選びが効率的になります。
こうした「キャリア軸の言語化」ができているかどうかが、転職活動の質を左右し、内定後のミスマッチ防止にも直結するため非常に重要です。
2. 応募先企業とのマッチ度を見極める
キャリアの軸が明確になったら、興味のある企業やポジションとのマッチ度を見極めましょう。
例えば、上場企業であれば法務部門がある程度確立されているため、上司や先輩に学びながら業務が遂行できる点が安心です。自身の裁量や業務範囲も明確であり、安定した基盤で業務を行っていきたい人に向いています。
一方で、大企業であるがゆえにガバナンス、内部統制・内部監査、コンプライアンスなど新設部署・ポジションも多く、そういった部署では自身が先駆者となって体制を構築していく魅力もあるでしょう。
一方、スタートアップや成長企業では法務が事業の意思決定に深く入り込むため、ガバナンス・リスクマネジメントなどゼロベースから体制・プロセスを構築できる醍醐味があります。少数精鋭の組織であるためチームとの距離感が近かったり、将来的なIPOを目指す際に大きなやりがいを感じることもできるでしょう。
ただし、法務は一人体制であることも多く、自分で考え主体的に行動できる力が必要です。
また、外資系企業であれば海外との連携やグローバル案件への参画も多く、英語の使用も含めてグローバルな環境で仕事ができます。大規模M&Aや海外子会社管理などの専門性を磨くことも可能ですが、一方で意思決定や変革のスピードが速く、ときにグローバル本社の戦略に大きく左右されるため柔軟な対応力が求められます。
このように、企業規模や業界、事業フェーズ、法務の組織体制によって職務内容や範囲、働き方は大きく変わります。採用面接では、上司となる面接官との相性の確認も重要です。求人票だけで安易に判断せず、自身の志向や価値観、目指すキャリアにマッチするか、しっかりと見極めることが重要です。
3. キャリア目標達成につながる転職かを見極める
弁護士の転職は、単なる職場の変更ではなく「どの専門性を深め、どのような法務キャリアを築くのか」を再定義する機会でもあります。
求人情報を見ていると、年収アップやワークライフバランスの充実など「目の前の魅力的な条件」に引っ張られやすくなりますが、「その選択が本当に長期的なキャリア目標に近づくのか」を冷静に判断することが大切です。条件だけで企業を選んでしまうと、希望していた専門性が磨けなかったり、将来のキャリアの幅が狭まってしまうこともあるからです。
求人を選ぶ際には、以下のような観点も踏まえて多角的に判断しましょう。
その転職は、5年後・10年後の自分につながっているか?
そのポジションは専門性を深められるか?
キャリアパスが明確で、将来の選択肢は広がるか?
キャリアアップが可能な環境か?
応募の際だけでなく、選考を進めるなかで「入社後に自分が活躍しているイメージが持てるか」を判断していくことが重要です。
4. 業界専門の転職エージェントを活用する
弁護士の求人は、一般の転職サイトには公開されないハイクラス求人・非公開求人であることが多く、良い求人に巡り合うためには法務・コンプライアンス業界を専門とする転職エージェントの活用が欠かせません。
前述のように弁護士同士でも転職市場では競争が活発化しており、良い案件には複数の弁護士が応募してくるため、いかに応募先とのマッチ度が高いかを熱意を持ってアピールしなくてはなりません。
業界専門の転職エージェントであるエイペックスでは、法律事務所から企業内弁護士まで数多くのハイクラス求人を取り扱っており、弁護士の転職で豊富な実績を有しています。
特に、転職成功の大きな要因となる職務経歴書の作成・採用面接対策には大きな自信があります。各企業にマッチした応募書類の作成サポート、面接での想定質問や採用傾向・組織情報を含めた企業リサーチの提供、日英での模擬面接の実施など、内定獲得に向け首尾一貫した支援を行っています。
特に選考では、何が評価されて書類選考・前回の面接を通過したのか、次の面接では何がポイントになりそうかなど、個人では入手できない詳細なフィードバックも可能な限りお伝えし、選考通過の確率を高めるためのサポートを提供しています。
弁護士の転職市場動向はエイペックスにお尋ねください
近年は、法律事務所・企業ともに「即戦力重視」「専門性の高さ」を求める傾向が強まっており、弁護士であっても自身の強みを明確にした転職活動が必須となっています。
法務を取り巻く環境は大きく変わってきており、強みの言語化により自身の市場価値を正しく把握し、需要の高い領域で経験を積むことが中長期的なキャリア形成の差にもつながっていきます。
エイペックスでは、弁護士の方の転職・理想のキャリアの実現のために、最新の転職市場動向や各社の採用傾向、最適なキャリア形成のご提案を行っています。リーガル業界に精通する専門の人材コンサルタントが一貫したサポートを提供しており、キャリア相談から転職活動全般のサポート、入社後も定期的な情報提供を行うなどして、現在まで数多くの弁護士の方にエイペックスのサポートを利用いただいています。
働きながらの転職活動は、限られた時間で最大限の効果を出す必要があるため、転職市場動向を含めた詳細は転職情報はプロのサポートを利用して効率的に収集しましょう。ぜひ、下記からエイペックスのキャリアサポートをご利用ください。